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【日記】「巻き肩」、「反り腰」問題はかなり根深くそして由々しき問題だと思う

「巻き肩」とおいう言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
「反り腰」も良く聞きますね。

でもどちらも医学では使いません。
医学の文献検索サイトで上記の二つを検索しても何も出てきません。

僕ら医療者と一般の方の言葉のイメージするもののズレは時にとても大きく、まるで違うものを指していることがあります。
そして、ヨガやピラティスのインストラクターのように、中途半端に人の姿勢に修正を加えたり、正しい姿勢という概念を説明する方が多いので、このズレは由々しき問題としてヨガ/ピラティス業界に存在していると僕は心配しています。

言葉の持つ危険性と曖昧さ、そして今回は特に上記の2つの言葉について詳しくみていきたいと思います。

【巻き肩】

巻き方というキーワードで検索すると、こちらの記事が上位に上がってきました。
ヨガジャーナルオンライン
EXGEL 
EPARK

どれも医学的な監修は入っていません。
そして面白いのは、肩の正しい位置は多くは後ろに引いた位置だと教えているところです。
また、巻き肩の判断基準が、横から見た時に耳よりも前にあればそうだという前述の矯正法との矛盾があるところがまた面白いですね。

肩の正しい位置は後ろではありません。
斜め前です。
その位置が耳の真下です。

そもそも、正しい位置を知らない人が、巻き肩と判断してい解説しているところが面白いですね。

また、猫背と巻き方は違うという記事も見つけました。
・日テレ バゲット

猫背とは、背中が丸い状態を指すようですが、胸椎の屈曲ですね。
胸椎の屈曲は肩甲骨の前方突出(外転)を伴います。
つまり、肩は前に移動します。

肩甲骨を動かさないで、胸椎だけ屈曲するということは至難の技です。
同じく、胸椎を屈曲しないで、肩だけを前に出すことも不可能です。
とても面白い解説をしている人が多いですね。

まず再確認したいことは、手は伸ばしたら体の真横に来るということはありません。
斜め前に肩が向いているので、手は太ももの真横ではなく、やや前に位置します。
そして、巻き肩は猫背に併発します。
猫背は頭が目に行きますので、耳よりも肩が前なのが巻き肩というのも変ですね。
肩がだけ前にして、頭をその肩よりも後ろに位置させると、とても変な姿勢になるのが分かりますね。
そんな姿勢を取る人は滅多にいないでしょう。

不思議なことを言う人がいるものです。
「巻き肩」という不思議な言葉には注意しましょう。

【反り腰】

さて、反り腰という言葉で検索すると以下のサイトがトップに上がってきました。
足立慶友整形外科
こちらは理学療法士の監修で、かつ僕の教え子でもありますので、間違ってはないですね。
ただ、明確な診断の基準は示していません。

伊集院整骨院
こちらは柔道整復師の先生のサイトですね。
こちらも、ある程度医療資格のある方なので、問題ないと思いましたが、やはり診断の基準が示してありません。
また、出っ尻になるけどお尻は垂れるとか、反り腰は太ももが太くなるとか、因果関係が不明確なことが多く書かれています。

大切なことは、何が正常でないが異常かということです。
なんとなく骨盤が前傾しているから反り腰だというのは、あまりにも浅はかです。

では、正常な骨盤の位置とはなんでしょうか?
実は、明確には規定されていません。
大まかにはAISI とPSIS の高さが、水平に対してPSIS が約3センチ上方とか、恥骨とASIS を結んだ線が床と垂直などと言われています。

基本は、上記の基準から前に傾けば前傾、後ろに傾けば後傾ということになります。

もっと明確には、股関節のニュートラルポジションからの逸脱で判断しますが、やや専門的なのでここでは割愛します。

さて、反り腰という言葉は、医学では使いません。
医学的にはhyperlordosis(過前弯)と言います。
原因は、腸腰筋の過剰緊張などによるもので、病的なもので完全な異常です。

こちらのついてはPysiopedia が参考になると思います。
背筋と腸腰筋が過緊張で起こるとされています。

また、脳性麻痺の方や新体操などで腰を反る姿勢を取ることが多い選手にも見られます。
鼠径部を縮めて、お尻が出っちり。
そして腰を後ろに引き上げているよな姿勢ですから、ある意味目立ちます。

さて、ヨガの指導で「あなたは反り腰だから骨盤をもっと後継させなさい。」と指摘される方が多いですが、上記のような姿勢の日本人は多いですか?
高齢者を見てもらえばわかりますが、ほとんどの方が骨盤後傾の腰が丸くなっている方々ですね。

ある日本人を対象とした研究では、8割が骨盤後傾だったという報告もあります。
僕の臨床的な視点でも、その報告に同意します。

過前弯では、腰椎分離症、滑り症などの問題が最悪の状態では起こってきます。
しかし、日本人で多いのは、椎間板ヘルニアです。

厚労省の「腰痛対策」より


また、再確認しておかなければいけないのは、腰椎は生理的に前弯しているという事実です。
そもそも反っています。
生理的前弯を過前弯と判断されてしまう傾向があります。
これは由々しき問題です。

老化すると圧倒的に後傾する傾向があるのに、後傾を指導するインストラクターがいるとするとかなり問題ですよね。
それも正常では腰に弯曲はないと思っている、、、。

【まとめ】

巻き肩、反り腰という言葉には注意しましょう。
まずは、判断基準を持つことです。
どこが正常で、どこからが異常なのか。

指導を受けるならば、判断基準を明確に説明できる人から習わないといけません。
また指導者側としては、自分が自信を持って解説できない場合には、上記のような言葉を使って闇雲に正しさを指導するのはやめましょう。

異常というには、正常の理解は必須です。
異常を指摘するには、明確な判断基準が必要です。

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特にミドルコースでは、アセスメント(検査)技術を学ことができます。

運動指導者であれば、知っておかなければいけない知識と技術です。
運動指導者として「知らない」ことは生徒さんやお客様への害につながります。
曖昧な言葉や概念ではなく、明確な基準と説得力のある知識を持ちましょう。

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