【変えたい常識シリーズ】「頑張って立つ」それ必要?
姿勢について語る方は多いです。
僕のような理学療法士や医師もそうですが、〇〇インストラクターという方や、整体師などの民間の健康に関するアドバイザー、武術系の方から学校の先生まで、色々な方がそれぞれの視点で姿勢について語られます。
そんな中で、以下のようなことを聞くことがあります。
胸を張るために肩を後ろに引いて立ちましょう。
お尻も内股もギュッと締めて立ちましょう。
体重は前にかけてふくらはぎを使って立ちましょう。
顎は引いて首の後ろを伸ばして。
これら全て頑張って立ちましょうというメッセージです。
中には、「立つだけでも大変でしょう!なまけちゃだめなのよ!」と言ってる人もいるみたいです。
えっとですね。
生物の原則は、効率化、省エネです。
飽食の現代の人間には理解できないかもしれませんが、基本的に食べ物が手に入る確証がない野生の世界では、無駄なエネルギー消費は死を意味します。
ですから、肉食獣は基本狩以外はじっとしてますし、草食獣はカロリーが少ない草なので、ずっと食べ続けなくてはいけません。
人間くらいです、わざわざジムに行ってカロリーを消費しないと!と躍起になっているのは。
これまで姿勢の代名詞で見てきたのは「立位」です。
立位は、人間だけが編み出した最高の省エネ姿勢です。
重力方向と身体を一致させることで、最も効率よく姿勢を取れるようにしたのが直立というメカニズムです。
また、この姿勢からのロコモーションが歩行であり、最も効率が良かったから世界中に人類が移動して繁栄してきたのです。
当たり前過ぎるからその重要性に気づかないのも無理ないのですが、立位を取ることを頑張ってはいけません。
別の言い方をすると、立ってるだけで無駄なエネルギー消費はしません。
上記の、頑張って〇〇して立ちましょうというのは、人間という動物の姿勢制御からすると有り得ない意見です。
一番楽に、省エネで立てるのが本来の立位姿勢です。
頑張るのは、坂を昇降したり走ったり、ジャンプしたりと特別な時です。
立つ、歩くは最高なコストパフォーマンスが人間です。
何か、頑張らせることが運動指導者のすべきことと思っている人が、大体勘違いした助言をされていますね。
そして、そういう指導を受けてあちこちに障害が出た人が僕のところに相談に来るので困るのです。
この「頑張って立ちましょう!」は変えたい常識ですね。