2023年、最新型のThe Street Sliders
今年デビュー40周年を迎えたThe Street Sliders(以下スライダーズ)が復活した。デビューから2000年のLAST LIVE武道館までライヴに通った。レコードを買い、音楽にずっと夢中だった。復活の知らせには驚き、もちろん嬉しかった。
2000年の武道館はやはり悲しかった。その切ない記憶を今回の復活で上書きすることが出来た。最新のスライダーズにアップデートされたのだ。
スライダーズのデビューは1983年。教えてくれた友達の家でアルバムを聴いたのを今でも覚えてる。
福岡での初ライヴは冨士映劇という映画館。映画だけでなく、演劇やイベントも出来る会場だった。当時の福岡の人気アマチュア・バンド、モダン・ドールズ、アンジー、アクシデンツらが集まって福岡市の大名にあった多夢でライヴをやっていた。もっと大きな会場を探す中で冨士映劇でやることになった。それを地元のイベンター、『くすミュージック』がサポートしていた。
スライダーズも同じ『くす』。おそらくその関係でスライダーズはアンジーらをサポート・アクトにつけて冨士でやることになったのではなかろうか。
福岡と北九州小倉で、それぞれ地元のアマバンがサポートしている。いずれも当時動員力のある人気バンド。5/2のライヴはFM福岡『ライブエクスプロージョン』でオンエアされた。曲は"So Heavy" "Jumpin' Shoes" 『のら犬にさえなれない』の3曲。
2ヶ月後の7/27, 28の2日間、同じ冨士映劇でライヴを行っている。この時もスーパースカンツ他がサポート出演した。
この日の一曲目は『あんたがいないよる』。翌日はカバーの”Walking The Dog"だったらしい。黒人音楽をベースにした、粘っこい腰の座ったグルーヴ。独特の歌詞世界。MCは殆どなかったけど、この日珍しくハリーはメンバー紹介をやった(当時としてはレアかも)。
「めんたいロック」という有り難くないネーミングの影響からか、福岡は高速8ビートのバンドとそのファンばっかり、みたいなイメージを持たれがち。でも、そんなことはなくスライダーズもすぐに多くのファンがついて、次のライヴは600人収容の都久志会館に移った。
今年の復活武道館は個人的事情により行けなかったんだけど、ツアーでの福岡公演は観ることが出来た。
一曲目は『あんたがいないよる』。原点を見つめ直し、40年経って今の4人が出す音、というのを確認する意味での一曲目だったのかもしれない。オリジナルのテイクを踏襲しつつも、より厚みを増したサウンドとボーカルの艶を感じた。バンドの姿勢が極めてポジティブだったからか、会場全体のムードも和んだ感じではなく、復活を大歓迎する熱気と緊張感に包まれていた。この祝祭ムードはとても心地良かった。
だから、「2023年、最新型のスライダーズ」だったのだ、この日のライヴは。僕が最初に浴びたR&Bマナーたっぷりのグルーヴは、より進化と深化を遂げていた。それがやれる確信があったからこそ復活したのだろうし。ただただ、嬉しかった。来年春のツアーが楽しみだ。