福岡の音楽シーンを支えたメディア、ライヴハウスについて〜その③ 音楽誌『Blue Jug』と『BEATMAKS』
ラジオ、テレビと来て、地元ミュージシャンを支えたメディアの最後は音楽誌『Blue Jug』とその後発『BEATMAKS』です。
Blue Jug(以後BJ)は1979年に創刊。福岡のアマチュア及び福岡出身でプロになったミュージシャンを中心に応援する音楽誌としてスタート。
第7号と8号ではTHE MODSを2回に分けて大特集。アマチュア時代からデビューまでの軌跡をメンバーや関係者へのインタビューで徹底的に取材した。
ロッカーズ、ルースターズ、モッズがデビュー以降に爆発したバンドやムーブメントも毎号紹介。インタビューやライヴ写真、イベント情報を食い入るように読んでた。アマチュア・ミュージシャン・カタログも何回か掲載されてる。
このように福岡出身じゃなくでも、福岡で人気あったバンドも並列で取り上げてた。
「めんたいロック」という有り難くないネーミングのために、福岡の街は高速8ビートのバンドばかり、みたいに思われがち。もちろんそんなことはなくてハード・ロックやニュー・ウェーヴ系も結構居たし、音楽性は幅広かった。
アメリカン・ロックなテイストを持ったハカパラ。
BJに続けとばかりに、『BEATMAKS』が創刊。こちらはどちらかというと写真中心。数バンド集まってのイベントもあちこちで行われてたし、会場に行くといつもの見かける顔が多かった。そういった連中はこの2誌で情報を得てた。バンドマンも仲間のライヴによく来てた。
ピークは80年代半ばで、モダン・ドールズは600名収容の都久志会館をソールドアウトにしたのだ。
このシリーズで紹介して来たように、福岡の音楽シーンやアマバン達を取り上げるラジオ、テレビ、雑誌という3大メディアが存在していたというのは物凄く大きい。当時のディレクターや編集者の音楽愛、バンドマン愛は素晴らしかった。
BJには、ジュークレコードの松本康さんによる『LET IT BEAT』という連載があり、ロックの基礎である60年代のブリティッシュ・ビートはここで学び、ジュークにレコードを買いに行った。僕らは福岡のバンドや松本さんを通じてマージー・ビートやモータウン、ブルースを聴いて吸収したのだ。これは「継承」という意味で非常に意義深いことである。
ともかく毎週のようにアマバンのライヴに通ってたし、今でもモダン・ドールズやフルノイズ、キッズ、アンジーなんかの曲はほぼ歌えるし、ラジオで流れた曲をテープに録音して毎日のように聴いてた。
他の街にはない独特の音楽文化を形成していたと思うし、それは60年代後半から受け継がれるミュージシャン魂とメディアの応援があったからこそである。
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