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猫を飼えない僕らとねこちゃんのルームソックス
僕と彼女が暮らすマンションは、ペットが飼えない。
女性の身体でXジェンダーの僕は、2020年の終わりに女性で幼馴染のパートナーとマンションを購入した。
ペットが飼えないこの物件を購入したけれど、動物が嫌いなわけではなくて。いつかくる別れがお互いに怖かっただけ。
「お待たせ」
都会の狭小な100円均一ではレジ待ちの列に並ぶのも一苦労。一緒に買い物に来ていた彼女は先に店先で僕を待ってくれていた。
「ねぇこれかわいいよ」
店先の商品ラックにかかったあるものを指さす。その表情はちょっとだけ「かわいい」以外のなにかを含んでいる気がしたけど、気にする間もなく僕は彼女の指す先に目をやった。
掛かっていたのはルームソックス。フワフワの素材で出来ていて、履くと猫の足のように見えるデザインが、たまらなくかわいい。
そういえば彼女が穿いていたルームソックスが、最近くたびれてきたと話していたばかりだった。
ふむ……
気付けば僕は、
「今からこれを買ってくるから履いてくれ、頼む!」
と頼み込んでいた。
臆面もなく言ってしまうと、僕は彼女のことを「子うさぎちゃん」とか「ペンギンちゃん」とか「小さなお耳ちゃん」なんて日常の中で呼んでいる。もちろんそれらの定番である「子猫ちゃん」なんてのももちろん呼んでいるわけで。
そんな彼女に履いてもらうためのルームソックスに他ならないのだ、これは。確信しかない。
本当はもっと種類があったのかもしれないけれど、その時ラックにかかっていたねこソックスは2種類。三毛猫風と、グレーで足先だけ白い「おてぶ(手袋)」のデザイン。
「どっちがいいかなぁ」と数分悩んだ末、選んだのはおてぶの方。これは間違いない。絶対にかわいい。
決まればあとは買うだけ。急ぎ足で狭い店内に分け入り、サッと会計を済ませる。
店先で待たせたままの彼女のもとへ、ソックス購入RTAを終えた僕が到着すると、何事もなかったかのように岐路についた。
入浴後、履いてくれるらしい。
試しに買ったソックスをこたつにぺそっと置いてみた。なんて可愛いんだろう……
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つま先には肉球のマークも。かわいいでしょこんなの。
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起毛しているところも子猫みたいでかわいい。子猫って毛がちぱちぱしているよね。シルバニアファミリーのペルシャ猫の赤ちゃんも毛がちぱちぱしているよね。かわいいよね。
見ているだけでニコニコしちゃうくらい、かわいいなぁ。履いてもらう前からデレデレが止まらないよ。
しかしこれは序の口だった。
履いてもらった状態の破壊力ったらなかったのだ。
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のあーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!
かわいい!!!!すっごくかわいい!!!!!なになになになに!!!!!なにこの子猫ちゃんのあんよ!!!!!あんよあんよあんよ!!!!!!あんよじゃんよ子猫ちゃんのーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!子猫ちゃん!!!!!!
ちょっとつま先立ちしてみて……そそ、猫ちゃんてつま先立ちみたッッのーーーーーーーーーん!!!!!つま先立ちかわいい!!!!!!よりいっそう猫ちゃん!!!!!!!!圧!!!!倒!!!!!的!!!!!!!!猫ちゃん!!!!!!!!!!!やったーー!!!猫ちゃんだ猫ちゃんだわーっしょい!!!!わーっしょい!!!!!!猫ちゃんわーーーーーっしょーーーーーーーいいいいいいい
びっくりした。令和7年にルイズコピペしちゃうかと思った。それくらいかわいすぎた。ちょっとしてたかもしれない。ルイズコピペ。わかる奴は同年代のオタク。
かわいすぎて眺めているだけで半狂乱でした。翌朝冷静になって、「あんなにかわいいのだから、撫でたりすればよかったのでは?」とも思ったけど。おそらく昨晩は、子猫のあんよと化したパートナーの足をかわいすぎて触ってはいけないものと考えてしまっていたのではないだろうか、と気付いた。
あの瞬間の僕にとって、あの子猫ちゃんのあんよは不可侵領域であり、パートナーといえど僕が安易に触れてはならぬものに他ならなかった。守りたい、あのあんよ。
ありがとう、この商品企画を考えてデザインして仕入れ先とかと折衝して生産して物流管理して納品してくれたすべての皆様よ……
卸して販売して店頭に並べてレジ打ってくれたキャン★ドゥの皆様もありがとう……
とてもかわいいソックスです……買ってよかった……
30代半ばがパートナーに子猫みたいになれるソックスを履かせて、半狂乱になっている様は傍から見れば気持ちが悪いのかもしれない。
しかし、映像でお届けしているわけではないので実際気持ちが悪かったとしても、当の本人であるパートナーは半狂乱になって喜ぶ僕を見てけたけた笑っていたのだから何の問題もないはず。きっと何の問題もないのだ。……何の問題もないのだよ。
恋人やパートナーの足を子猫ちゃんにしたい人はぜひ店舗を覗いてみてほしい。もしくは自らの足を子猫のあんよにしたい、という方にもおすすめだ。疲れた夜に子猫になった自らのあんよを、「子猫にしては、頑張ってるよね……」と愛でて労うのも一興だと僕は思う。それを気持ちが悪いなんて誰にも言わせやしない。誰もが子猫のあんよになる権利があるのだから。
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