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「古きよき、と、新しきよき貴方」中田裕二の謡うロマン街道 4/20埼玉:茶陶苑 感想
トキです。 中田裕二さんの弾き語り公演、謡うロマン街道@川越公演の感想です。古きよきを謡う中田さんは新しき時代の良さも持ち合わせた可憐さで。この宵も楽しませて頂きました。
嫁さんと観光も出来たのでそれは別途書きたいと思います。今回はライブの方だけ。良かったら聞いていってくださいね。
この日の会場は、埼玉県川越市の「茶陶苑」。
1850年に建てられたそうです。
池田屋事件が1864年だから幕末かぁ。桜田門外の変が1860年だからその10年前か。なんて思いを馳せてみたり。
こういう時にぱっとこの位の時代だなと思い付けると、知識を増やすことは楽しむ為のフックを増やす作業だよなと改めて感じます。
幕末に建てられた蔵の内装は眩しい白壁と、時を重ねた特有の深い木の色のコントラストが美しかった。
平面上に扇状に用意された座席。
この日は弾き語りということでやっぱり下手側だなと着席しました。
段差の低い階段をゆっくり降りて、中田さんは姿を表した。
ざっくりとしたカーキのシャツがとても似合ってらした。
セットリストは下記。
幻を突き止めて
ランナー
恋人はワイン色
ワインレッドの心
静かなる三日月
SO SO GOOD
愛の摂理
不時着
IT'S SO EAZY
酒と泪と男と女
はじまりはいつも雨
シクラメンのかほり
Deeper
LOVERS SECRET
リバースのカード
恋わずらい
輪郭のないもの(新曲/仮タイトル)
タイトル未定(新曲)
髪を指で巻く女
正体
まさか初っ端2曲が来月発売の「Sanctuary」からの2曲!
やるかな〜とは思っていたものの、最初から聴けてしまってなんだか得した気分。
アコースティック弾き語りにした時に、意外と「幻を突き止めて」の方が「ランナー」よりギャップがあって良かった。
切なさが3割増し、と言ったところ。弾き語りにすることで、心描写がよりまざまざと明るみに出るような印象だった。
「ランナー」は空間との掛け算を楽しめた。幕末の建物でラップを聴くなんてなかなか出来ない体験だと思う。
古きよき、と新しきよき、の共存だった。
「恋人はワイン色」を柔らかに、「ワインレッドの心」を味わい深く、まるで本当にテイスティングをさせるように歌い上げる。ワインに纏わる両曲をどちらか選ばせて貰えるなら、この日は「恋人はワイン色」だったかなぁ。春の午後の柔らかさのような風味豊かな歌声が、嫁さんと観光がてら周辺を散策した幸せな感覚によく似合った。
1曲終える毎に、ふっと表情を解く様子を見て「なんて可憐なんだろう」とやっぱり思い知らされた。
下記でも書いたけれど、やっぱり中田さんは「可憐」だと感じる。
芯の強さと儚さを同時に表現すると、「可憐」なんじゃないかな。
「不時着」は骨っぽい、ごつ、とした感覚があるし、「恋わずらい」も掴んだ手を離さんとする強さというか迫るものがある。
そうかと思えば「LOVERS SECRET」なんかはシャンパンのようなキラキラとした軽さでパッと周囲を明るくする。
「IT'S SO EAZY」のように穏やかな幸せをそっと包むような描写も忘れてはいけない。
アコースティックでこれだけの描写を表現しきってしまうところが、中田さんのすごいところで。同時に、その世界観を更に膨らませて届けるバンドメンバーの凄さも再確認できるんだなと感じた。
アコースティックは小説を体感している感じで、バンドセットはその小説を映画化したものを体感してるイメージというか。
原作の良さが際立つのは、この場合やっぱり小説だと思うので。アコースティックの中田さんの音楽も良い。
そういう意味では、カバー曲を織り交ぜることで、中田裕二という音楽の描写がより鮮明になっていた印象。
小説、映画化と表現したけれど本当に情景が浮かぶ音楽だと思う。
ライブの途中、中田さんは「昭和の人は華やかな人がたくさんいて、平成の人は…う〜ん…」と言葉を濁していた。
僕は元年生まれだから昭和を体感したことはない。
確かに昭和の名曲を祖母と歌った記憶も多くて(殆どが祭りの小唄だったりするので昭和以前のものもあると思うけど)、きっといい時代だったんだと思う。
だけど、僕は平成に中田さんや椿屋の音楽に出会えて心を震わせることが出来たし。そんな音楽が生まれた平成もいい時代だったと思うし、思いたい。
音楽が大衆のものから、より細分化された個人のものになって所謂ヒットチャートも、昭和より局地的なものになったかもしれない。
それでも僕は平成に出会えた音楽が大好きだ。
少なくとも、昭和を愛した人による平成の曲としての中田さんの音楽を体感したくてこの日川越に足を運んだ。
現に中田さんの音楽では新しきよき、もたくさん盛り込まれている。それが古きよき、をより良いものにしていると感じる。
古きもよいし、新しき中田さんもよいのだ。
そんな事を感じながら、歴史ある茶陶苑でのライブを楽しんだ。
バンドセットで行われるツアーも参加するので、アコースティックとの違いという点でもより楽しめそうです。
ご清聴ありがとうございました。
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