インセクトホテル(昆虫を守る越冬ホテル)
先日、ガーデンセンターで面白いものを見つけました。
かわいい家の形で、中の構造はアート的。庭飾りかと思ったのですが、「インセクト(昆虫)ホテル」とあるので何か昆虫に関係しているっぽい。
蜂を集めて蜂蜜をとるもの?それとも虫が家に入らないよう窓に吊るして捕まえるもの?これを初めて目にした友人と私はいろいろ想像を膨らませました。
インセクトホテルとは
調べたところ、インセクトホテルは、昆虫が冬眠できる場所を提供するためのものでした。
庭や畑、自然環境を維持するためには、豊かな生態系が機能していることが大切です。蜂は農作物の花粉を運んで受粉を助け、いくつかの昆虫は植物の害虫を食べてくれます。そして昆虫を捕獲する鳥や動物がいて、人間がいる。昆虫がいなくなれば生態系のバランスが崩れると言われます。
インセクトホテルは、ただの飾りでもなんでもなく、生態系を守るという立派な役割を持っているんですね。
昆虫別のお部屋
昆虫は冬眠をする。小学校の頃に学んだ気がするけど、すっかり忘れていました。体温維持機能がないから、越冬するためにじっと冬眠するんですね。ノルウェーの冬はさぞ厳しいだろうから、寒さが防げて居心地のよいホテルは喜ばれそう。
インセクトホテルの構造を見てみると、いくつか趣の違ったお部屋に分かれています。
入り口が縦に細長いのは、大きな羽を持った蝶々のお部屋。
筒状の部屋が好きな蜂には、乾燥した茎や竹筒を集めたり、丸太に穴をくり抜いたお部屋をデザイン。
松ぼっくりや小枝の間に枯葉をしきつめると、テントウムシのお部屋に。彼らには集団でお泊りします。
樹皮のついた枯れ木や朽ち木を用意すれば、カブトムシがやってくるかも。
インセクトホテルはヨーロッパやアメリカで広まり、いろんな形状のホテル・マンション・コンドが創作され、見るだけで面白い。手作りDIYも人気で、作り方サイトがたくさんあります。(末尾の参考URLを参照ください)
来てほしいお客さんを意識しながら材料を準備し、設計・建築するのはきっと面白い作業だし、子供達と作るのも楽しそうです。
ホテルのおもてなし精神
人間のホテルと同様、作ればそれで終わりというわけではなさそうです。
適した場所に設置したらしばらく放置し、来客を待ちます。冬の時期は冬眠している昆虫たちの邪魔にならないよう、そっとしてあげるのがよさそう。しかし、時間がたてば有害な寄生虫や害虫がやってきたり、カビや病原菌が繁殖することも。そうなると逆に生態系に悪影響です。
1年ごとに作り替えたり、材料を入れ替えたり、適切なメンテナンスが必要とのこと。次の冬もリピートしてもらうには、ホテルオーナーには管理サービスとおもてなし精神が求められます。
本来なら自然の住処が昆虫にとっては最適で、ホテルの必要がないのが理想のはず。ですが、環境が壊され昆虫の生息が危ぶまれている状況があるのなら、私たち人間ができることをしてあげたい。
これもひとつのSDGs なのでしょうか。
参考
Wikipedia. "Insect Hotel". https://en.wikipedia.org/wiki/Insect_hotel (2023-1-15)
Insteading. "Insect Hotel". https://insteading.com/blog/insect-hotel/ (2023-1-15)
The Entomologist Lounge. "Insect Hotels: A Refuge or a Fad?". https://entomologistlounge.wordpress.com/2017/09/18/insect-hotels-a-refuge-or-a-fad/ (2023-1-15)
Woodland Trust. "How to make a butterfly house: A step by step guide". https://www.woodlandtrust.org.uk/blog/2019/07/diy-butterfly-house/ (2023-1-15)
The Wildlife Trust. "How to make a bug mansion". https://www.wildlifetrusts.org/actions/how-build-bug-mansion(2023-1-15)