玻璃盤に露のしたゝる… - 好きな俳句
坪内稔典・三宅やよい編『漱石東京百句』より引用します。
今日も漱石の句です。
玻璃盤に露のしたゝる苺かな
漱石
”玻璃盤”は「はりばん」と読み、硝子器(ガラスの器)のことだそうです。
”苺”はイチゴですね。
『東京漱石百句』によれば、”硝子の器に苺が盛ってある。露は季語で言う露ではなく、洗ったばかりの苺についている水滴だろう。水滴が硝子鉢の底に少し溜まって、その水も苺もきらきらしている”情景を詠んでいる、のだそうです。
なんとも、イチゴがおいしそうな句ですね。
こういう素直な句もまた、いいものです。
おいしそうなだけではなくて、赤いイチゴ、玻璃盤、露のいずれも実にきれいです。
瑞々しく、透明感が感じられます。
現実の生活には、イヤなこと、辛いこと、腹の立つことが多いものです。
ニュースを見ても、ろくな話がない。
そういう現実から一歩引いて、漱石先生の俳句世界に遊ぶ。
実に楽しいではありませんか。
1903(明治36)年作だそうです。
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