展覧会レポ:CHANEL NEXUS HALL「In Praise of Shadows ヴェルサイユ宮殿 森田恭通 写真展」
【約3,100文字、写真約20枚】
銀座のシャネル4階にあるCHANEL NEXUS HALLに初めて行き「In Praise of Shadows ヴェルサイユ宮殿 森田 恭通 写真展」を鑑賞しました。その感想を書きます。
総じて、とてもおすすめだと思いました。❶ハイコントラストな白黒写真はヴェルサイユ宮殿をよく表現している、❷展覧会場の迷宮のような雰囲気にこだわりを感じる、❸シャネルと森田さんの作風がうまくマッチしている、❹無料!、❺シャネルビルに入れる貴重な体験ができる。
▶︎きっかけ
今年は、銀座付近の企業系ギャラリーをよく回っています。CHANEL NEXUS HALLは、他のギャラリーと違い、展覧会を断続的に開催しています。そのため、今が良い機会だと思い、訪問しました。
▶︎アクセス
CHANEL NEXUS HALLは、銀座駅から徒歩約5分。松屋の向かいにある「シャネル 銀座」の4階にあります。入り口は、正面ではなく側面にあります。今まで、この入り口はVIP用の入り口かな?と思っていました😅
住所:東京都中央区銀座3丁目5−3 シャネル銀座ビルディング 4階
▶︎CHANEL NEXUS HALLとは
シャネル氏の精神を引き継いで、展覧会やコンサートを開催しているとのこと。私はシャネル氏に関する本を何冊か読んだことがあります。交友関係の広いシャネル氏は、ローランサンやコクトーなど、芸術関係の友人が多かったことが印象に残っています。
閑話休題。私はブランドとしてのシャネルのファッション性に加え、創業者シャネル氏の精神性を尊敬しています。シャネル氏は、女性のファッションに黒を取り入れる、コルセットから解放して動きやすいジャージー素材をファッションに組み込んむ、イミテーションジュエリーを使用するなど、意欲的に常識を破り、ファッションの民主化に挑戦しました。その精神は、デュシャン、村上隆、ユニクロなども同様のことが言えると思います。
「ネクサス」という言葉は「結びつき」を意味します。新たな才能との出合い、アートとの出合い、人々との出会い、芸術を愛し支援したシャネルとの出合いを期待して、ネーミングされたようです。
▶︎「In Praise of Shadows ヴェルサイユ宮殿 森田恭通 写真展」感想
本展覧会では、インテリア会社であるGLAMOROUS co.,ltd. 代表の森田 恭通さんがヴェルサイユ宮殿をライカで撮影した約100点が並びます。森田さんの作品を見ると、確かにグラマラス。ヴェルサイユ宮殿は森田さんが撮影する被写体としては、ピッタリと思いました。
全体を通して言えることは、ハイコントラストで撮影した写真が美しいこと!カラーよりも白黒の方がヴェルサイユ宮殿の荘厳な感じが際立ちます。
写真が大きいと迫力が全然違います。写真はPCでも見ることができます。しかし、アート鑑賞は「本物」を現場で見た方が良いと改めて思いました。
ヴェルサイユ宮殿の意匠のこだわりに感心しました。どんなに小さな部分にも抜かりなく装飾が施されています。日本の寺院のような「足るを知る」精神とは真逆な豪華さです。ヴェルサイユ宮殿は「権力と欲望の館」と呼ばれたそうです。最近読んだ『ルーヴル・美と権力の物語 』のヴェルサイユ宮殿はとんでもない税金が注ぎ込まれていたという内容を思い出しました。
ヴェルサイユ宮殿さながら、展示会場の雰囲気も素晴らしかったです。絵を壁に掛ける物理的な制約上、展覧会場は四角い部屋が基本です。しかし、この展覧会は、迷宮のようなカーブがある空間の中に作品が掛けられています。この空間演出から私は、森田さんとシャネルのこだわりを感じました。
CHANEL NEXUS HALLは、存在感が薄いため来館者は休日でもほとんどいません。見る側としては居心地が良いのでありがたいです。一方、とても良い空間と作品を感じることができるため、地上の入り口に大きなポスターや、本物の作品を1点展示するなどして、集客した方が良いと思いました。
▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?CHANEL NEXUS HALLは、存在感が薄いものの、空間演出は素敵で、森田さんの作品も荘厳なヴェルサイユ宮殿を見事に表現していました(しかも無料!)。また、シャネルビルに入れることは特別な経験でした。銀座に来た際は、フラッと寄ることをおすすめします。
▶︎おまけ(シャネルについて)
シャネルが財務状況をHPで公開していることは意外でした(2017年12月期から)。2022年12月期の売上は約2兆4,108億円、営業利益は約8,092億円だそうです。営業利益率は脅威の33.6%。株式上場していないため怒る株主はいないものの、さすがに上代を上げて稼ぎ過ぎではないでしょうか😨
シャネル単体だけで約2兆円の売上があります。それは、ハイブランド業界2位のケリンググループ(グッチ、バレンシアガほか)にほぼ匹敵します。その事実からシャネルのブランドポジションの高さを実感しました。
個別国ごと売上の開示はありませんが、エリア別の開示はありました。アジアは50.2%、欧州は27.4%、アメリカは22.4%。アジアがダントツの1位で過半数を占めます。日本と中国大陸でどの程度なのか知りたいところです。
シャネルはコラボを積極的に行わないため、他のハイブランドとは一線を画している印象があります。創業者であるシャネル氏の歴史的貢献が高いことに加え、ブランドの意志・軸が固い証左でしょう。
日本人の私からすれば、シャネル=お嬢様、高貴、時代に流されない、シック、ゴージャスというイメージです。黒を基調とするブランドイメージもしっかり定着しています。また、(上記に書いたように)個人的にシャネル氏の革新的な精神も尊敬しています。まさに、シャネルのブランドイメージと、今回の展覧会の雰囲気はピッタリ一致していると思いました。
▶︎今日の美術館飯
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