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展覧会レポ:21_21 DESIGN SIGHT「もじ イメージ Graphic 展」
【約3,500文字、写真約40枚】
六本木の21_21 DESIGN SIGHTで「企画展"もじ イメージ Graphic 展"」を鑑賞しました。その感想を書きます。
結論から言うと、普段当たり前に触れている日本語のデザイン的な面白さ・特殊性に気付くことができる展覧会でした。アートに興味がない人や、外国人にとっても気軽に楽しめるため、幅広い人におすすめです。
展覧会名:企画展「もじ イメージ Graphic 展」
場所:21_21 DESIGN SIGHT
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
ベビーカー:ー
会期:2023年11月23日(木・祝) - 2024年3月10日(日)
休館日:火曜日、年末年始
住所:東京都港区赤坂9丁目7−6 ミッドタウン・ガーデン
アクセス:六本木駅から徒歩約10分
入場料(一般):1,400円
事前予約:不要
展覧所要時間:約1時間
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:全て撮影可能
URL:https://www.2121designsight.jp/program/graphic/
▶︎訪問のきっかけ
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21_21 DESIGN SIGHT(以下、21_21)には、2015年ぶりに行きました。訪問のきっかけは、1)仕事の関係上、タイポグラフィに若干興味があった、2)他の方のクチコミで面白かったと見た、3)しばらく21_21に行っていなかったためです。
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▶︎安藤忠雄による建築
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今回の訪問で、改めて安藤忠雄さんの建築に注目しました。直近で、国際子ども図書館に行った際、安藤忠雄さんの建築に惹かれたためです。
21_21の建築の特徴は、三宅一生のコンセプト「一枚の布」から着想を得た長さ54mの鉄板屋根です。私は、21_21の地下への階段から「住吉の長屋」、21_21のほとんどのボリュームが地下に埋まっている造形から「地中美術館」を想起しました。
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格好いい建築もさることながら、安藤忠雄さんの「熟したらアカン!」と常に挑戦し続ける建築・姿勢に、改めて感銘を受けました。
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▶︎「企画展"もじ イメージ Graphic 展"」感想
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本展では(略)1990年代以降のグラフィックデザインを、日本語の文字とデザインの歴史を前提に紐解いていきます。展示の中心となるのは国内外54組のグラフィックデザイナーやアーティストによるプロジェクトの数々。(略)日々大量のビジュアル情報が飛び交い、つくり手も受け手も効率性を重視せざるを得ないことの多い現代において(略)あらためてグラフィックデザイン本来の楽しさや豊かさを発見する機会となれば幸いです。
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この展覧会は、展覧会ディレクターとして3人(室賀清徳、後藤哲也、加藤賢策)が務めています。彼らの語る趣旨は概ね同じでした。日本語の「デザインの可能性」「グラフィックデザインが持ち続ける力」「コミュニケーションの豊な世界」を楽しむことです。
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日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、ルビなどがあります。さらに、それを縦や横でも書けるため、世界の中でも特に複雑怪奇な文字デザインです。そのような独特の文から絵文字も発展しました。
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普段、当たり前のように接している日本語。改めて指摘されると「ルビ」のデザイン性に注目したことはありませんでした。また、英語には縦書きがないため、デザインの制約も日本語と違うことに気付きました。
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1980年にDTPが登場し、デザインは「書く」から「打つ」に変わりました。それに伴って、デザインの技術や幅が広がりました。今は、ワードやパワポでデザインできるため「DTP」という言葉は死語に近いかもしれません。
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私は過去、プロカメラマンから「動画よりも静止画撮影の方が難しい」と聞いたことがあります。動画は場面が次々と変わります。一方で、静止画は、パッと見て全体のバランスを判断されること、細かい部分のミスなども気になりやすいためだそうです。
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その意味では、ポスターや本の表紙は、特にデザインが重要なことに加え、難易度が高いと思いました。メッセージの主張や、デザインのバランスを取る上で、文字の配置が重要になるためです。
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ポスターや表紙は、その1枚のみが商品を手に取るかどうかを左右します。ただインパクトをもたせるだけでなく、そのコンテンツをぎゅっと1枚に凝縮して、分かりやすく伝えないといけません。難易度が高い仕事です。
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今まで私は、漫画の表紙は漫画家が描いていると思っていました。しかし、表紙専門のデザイナーがいるそうです。やはり、絵を描くだけでなく、絵と文字の組み合わせは、特別な技術やセンスが必要なようです。
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外国人観光客が「大日本タイポ組合」の作品を見て 、英語の教科書にあるように「This is interesting!」と言っていました。この作品は、日本語独特の遊び、ユーモアのセンスを感じる作品です。このような作品を見ると「ただの文字、されど文字」だと改めて感じました。
なお、来場者に外国人の多いことが印象的でした。外国人にとって、日本語で書かれている意味は分からなくとも、日本語のデザインに独特なアート性を感じられる面白い企画だからだと思います。
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世の中に溢れている文字。それらをよく見ると、どれも文字自体に何らかのメッセージが付加されています。何気ない日常にデザインが満ち溢れていることを再認識しました。その後、岡本太郎の言葉を思い出しました。
“それを見て、ああ、いいなあ、と感動してもいい。
なんだこんなもんつくりやがって!と言ってもいい。
横目で一瞥しただけで無視して通り過ぎてもいいんだぞ。
芸術とはそういうものなんだ。
道端の石ころと一緒なんだよ。”
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展覧会の最後に、韓国のポスターが展示されていました。ハングルはふにゃふにゃしており、私にとって記号にしか見えません。翻って、海外の人が「もじ イメージ Graphic 展」で感じる印象は「これだ!」と気付きました。
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展覧会の全体を通して、日本語をデザインの独自性という側面から検証し「日本語=アート」と認識できて楽しいと感じました。この感覚は「デザインあ展」に通じると思いました。
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なお、(私が韓国のポスターを見て感じたように)日本と海外のタイポグラフィを並べた展示があれば、日本語のデザインの特殊性を、相対的に際立たせることができると思いました。普段、日本語ばかり見ていると「日本語は海外の言葉に比べてちょっと変」と感じる瞬間がないですから。
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また、入場料1,400円は若干高いと感じました。私が数年前に21_21に訪れた際は1,000円だったためです。物価上昇をヒシヒシと感じます…💰
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会場に、タイポグラフィの例として、様々な企業の広告やプロダクトが展示されていました。そこにユニクロもあっても良かったな、と思いました。身近なブランドのため、展覧会の趣旨がクリアに伝わるためです。
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▼その他の会場内の写真
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▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?21_21らしい日本語の特殊性・アート性を分かりやすく、面白く紹介している展覧会だと思いました。アートに興味がない人でも、毎日触れている身近な日本語の意外な側面に気付くことで、アートの面白さを理解できるかもしれません。
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