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自立、時々、女

「1杯奢らせて!」

女3人で飲んでいた19時半、大宮。
隣の席のおじさんたちに絡まれた。

「大丈夫です」
と私。

「いいんですか!ありがとうございまーーす!」
と満面の笑顔の友達たち。

普段はパートナーとのお出かけも基本割り勘で、奢られることが嫌いな私。とにかく他人に頼らず、自立していたい。若い女だからという理由で舐められたくもないし、甘やかされたくもないのが正直な気持ちだ。が、「奢りたい」と若い女を狙って寄ってくるおじさんたちと、そんな若い女ホイホイにまんまと引っかかる私たち。なんて自己矛盾だろう。。

結局奢ってもらうことに。

しかし、おじさんとの話は本当に面白い。さすが、奢りたいと言ってくるだけあって彼らは経営者。話題は「最近の若者はなぜ仕事をすぐ辞めるのか」から始まった。

幸いと言っていいのか、私たち女3人は新卒で入った会社を3年以内に全員辞めている、社会不適合者の集まり。全員病んで辞めたが、その中でも私以外の2人は仕事のストレスで適応障害にまでなった経験もあった。

おじさん世代との働き方の違い、モチベーションの違い、価値観の違い、ストレス耐性の違い、人間関係、未来の見えない安い給料、上司ガチャ、みなし残業という意味不明な制度、、、

「1つの理由じゃない、色々重なった結果じゃないかな」
と若者。

「たくさん働いて、たくさん稼ぎたくないの??」
と困り果てるおじさん。

こういう仕事関連の会話が尽きることはなく、2時間ほど語り合った。私たちの話を真剣に聞き、全く否定せず笑って受け入れてくれるおじさんたち。「病んでいた」と言えば真剣に心配し、私のタメ口も許容し、「色々考えてるんだね」と労ってくれる。うちの父親と同じ年代だが、父より話が通じる。世の中にも理解のあるおじさんたちがいるんだなあ、と感心した。(おこがましい)

私的に、単純に「奢られたい」という気持ちではなく、彼らのような社会を実際に回している経営者のお話を聞く機会が無料、というか無限ドリンクサービス付で、目の前で開催されていることが贅沢だった。

挙げ句の果てには、

「全員俺の会社に来い!」
とおじさん。

「嫌だwwwwww」
と若者。

帰ってパートナーに話したら、「俺もそういう人と話してみたい」と言われた。そうだよなあ。若い男が居酒屋で飲んでても、多分おじさんに絡まれることは少ないだろう。

最近読んだデヴィ夫人の本にも、彼女自身、高級ホステスでバイトをしながら経営者の方々と話し、ビジネスを学んだと書いてあった。もしデヴィ夫人が男に生まれていたら、あの人生はなかったのかもしれない。

女は男に比べ、身体的にも社会の構造的にも不利なことは確かにある。だが同時に、チャンスは平等になるように男とは別の形で転がっているのかもしれない。

若い女だからと意地を張って壁を作っていたのは私の方だった。これは甘やかされているのではなく、天からのボーナスタイムだと思うことにしよう。マリオで言うスター状態だ。タイムリミットがある。享受できる今のうちに有り難く受け取っておこう。

普段は自分で勉強してスキルをつけて、本当に時々、チートで女という武器を使って交流する。

そんな盛大な自己矛盾を抱えながら、少しずつ成長していこう。


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