【バーテンダーがゆく、アンダルシア・ヘレス旅行 : 2023年2月】
皆様、ごきげんよう。バーテンダーの安部直柔(アベ ナオナリ)です。現在はメルボルンでバーテンダーをしています。
2023年12月末までロンドンで約2年間バーテンダーをしていました。その間に、ヨーロッパへ旅行に行くこともあり、からその旅先で出会ったオススメの場所、レストランやバーなどをいくつか紹介していこうと思います。
前回の投稿で『バーテンダーがゆく、バルセロナ旅行 : 2022年10月』について綴ったので是非そちらも読んでみてください。
今回は『バーテンダーがゆく、アンダルシア・ヘレス旅行 : 2023年2月』
ロンドンに行く前に決めていたことがある、「シェリーを現地で飲みたい」
『シェリー』
それはスペイン南西部アンダルシア地方の『Jerez: ヘレス』という地域でしか作られていないお酒。いや、そこでしか作れないお酒がある。
シェリーを求めて
世界には数え切れないくらいのお酒の種類があり、その中には特定のエリアや材料でしか生産されたものしか名乗れないお酒がある。例えばだがシャンパーニュやテキーラなど、業界的には原産地呼称と言っている。国によって正式名称は違うが、その国の伝統的なお酒や食べ物の保護制度して使われてることが多い。
バーテンダーを始めて1年くらい経過した頃の話しだが、鳥レバーのパテを食べた時に、ふっ。と「シェリーのアモンティリョードを飲みたい」という言葉がでてきた。その時初めて、「あー。俺もバーテンダーになったんだ」と感じる出来事があった。
その時からかな。
「君を意識するようになったんだ」
そう、こんな臭い言葉を出させるくらいに魅力的なお酒に会いに行ってきました。
Google Mapで、東京からだと約14,580km
徒歩とフェリーだと132日かかるらしい(休憩無しでの計算だ)
というより、この経路で行けることを提案してるGoogle Mapに、この投稿を書きながら感動している。
当時、住んでいたロンドンからだと約2,045km
これも徒歩とフェリーだと18日(もちろん休憩無しだ)
こうやって数字で見ると、いかにロンドンに住んでたことが便利だったか明確に分かる。
もちろん、私は歩いていくというほど体力も時間もない。
実際にどうやって行ったかは言うまでもないが飛行機だ。確か2ヶ月くらい前に航空券を購入し、ロンドンからセビリアの片道£40~50(約¥5,000円くらいの感覚)だったはず。ロンドンからヘレスまで直行便が出てはいるが、本数も少なく値段が高い。
なので、同じアンダルシア地方のセビリアを、経由していくことにした。
ちなみに今回の旅で、セビリア、バレンシア、また2回目のバルセロナにも行ってきたので、追って投稿していきます。
そのセビリアからヘレスまではバスか電車を使って、どちらも1時間くらいでいけるのだが、バスのほうが値段が安かったので、バスにした。ヨーロッパは格安バスも発達してるので、節約旅をしたい人には、バスがオススメだ。
夢の目的地ヘレス
前置きがだいぶ長くなったが、バスに揺られて遂にヘレスに到着。
ついてすぐに向かったのは、ヘレスに訪れたことがある友人がオススメしてくれた『マグロ料理のタパス・レストラン』
El Trastero Tapas
早速、アモンティリャード・シェリーをオーダー。
待ちに待ったこの日。バーテンダーを始めて6年経ったが、1つの目標が叶った瞬間だった。正直、味なんかは覚えてない。ただあの場所で初めてシェリーを飲んだことは死ぬまで忘れないだろう。
もちろん忘れてはならないのが、マグロ料理である。
これが、、、、ね。
両方とも、アモンティリャード・シェリーと合うのよ。
マジで美味すぎっす。
ちなみに、ヘレスは海が近いので魚介料理が美味い。
ちょっと残念だったのが、支払いが現金のみ。ヨーロッパでは珍しいが、たまに田舎へ行くと、現金のみの場所もある。その時、持ち合わせの現金がなくて、財布の現金とメニューの金額を見ながら現金で払える分だけしかオーダーすることができなかった。金が無かった若かりし頃の自分を思い出すような瞬間だった。
「側から見たら金ないやつみたいだよな」とか考えながら飲んだシェリーも格別に美味い。
シェリーとは?
そもそも、「シェリーって何なの?」って話だが、シェリーの師として私が勝手に仰いでいる、『中瀬航也』大先生の説明を拝借させていただくことにする。
- シェリーとは白ワインの一種で、原料は100%白ブドウである。白ワインよりアルコール度数を高くしてある。度数を高くしたのは、大航海時代に日持ちしない白ワインに葡萄の蒸留酒であるブランデーを足して、日持ちする白ワインにしたから。白ワインなのに、茶色のシェリーがあるのは、熟成過程で出てくる色でアミノ酸や糖分が変化したもの。大豆で醤油ができるのと同じ。-
勝手に説明文を拝借し、尚且つ要約するという無礼をお許しいただきたい。
ただのシェリー好きの1人で、大先生のファンなだけです。
平たく、シェリーと紹介してきましたが、シェリーには分類とそれに使われる葡萄の種類が決まっていて、辛口から甘口にかけて分けられます。ただ単に辛口と甘口という括りだけではなく、香り味わい、色合いがことなるのでそこは要注意。
辛口タイプ
①マンサニーリャ(品種: パロミノ)
②フィノ(品種: パロミノ)
③アモンティリャード(品種: パロミノ)
④パロ・コルタード(品種: パロミノ)
⑤オロロソ(品種: パロミノ)
甘口タイプ
⑥モスカテル(品種: モスカテルを天日干しか過熟)
⑦ペドロヒメネス(品種: ペドロヒメネスを天日干しか過熟)
⑧ペイル・クリーム(マンサニージャかフィノに濃縮葡萄果汁を添加)
⑨ミディアム(アモンティリャードに濃縮葡萄果汁かモスカテルもしくはペドロヒメネスを添加)
⑩クリーム(主にオロロソに濃縮葡萄果汁かモスカテルもしくはペドロヒメネスを添加)
なんと10種類も、、、、。
各分類の細かい規定はこのサイトを是非読んでください。
さてシェリーの説明を一旦終えたので、旅の続きに戻りましょう。
ヘレスの楽しみ方 タバンコ編
1日目はタバンコ巡り。
1軒目は、先程紹介した、マグロ料理のEl Trastero Tapas
2軒目は、TABANCO EL PASAJE -VINOS y FLAMENCO en JEREZ-
このTABANCOといのが、ヘレスでのバルの呼び名である。お店によっては生のフラメンコ・ダンスを見れたりもする、本場のフラメンコを観ながらシェリーを飲む。何て乙なんだ。それが観光向けにやってる訳ではなく、昔からの伝統としてやってるのは、もう胸熱である。
もちろん、ここTABANCO EL PASAJE -VINOS y FLAMENCO en JEREZ-でも生のフラメンコを観ながらシェリーを飲める。
というより、ヘレスで1番有名なTABANCOはここだろう。
この下の写真の樽から出てくるのか!と思ったが、瓶にボトリングされたものからサーブされた。そりゃそうだ。時は2023年、効率化と衛生管理など大変だからな。とか思ったりしながら、またアモンティリャードを飲んでいた。
フードもオーダーしたんだが、目の前のカウンターにチョークで書かれ、提供したら消すというシステム。これまた乙なスタイルで感動。
どこまでも、興奮させてくれるヘレスに感謝だ。
3軒目は、Tabanco Cruz Vieja
ここもフラメンコを観れるようだが、週末だけらしい。割と新し目なTABANCOだった。
4軒目は、Tabanco Plateros
ここは地元の人で溢れかえるタバンコ。フラメンコはやってないが、賑わってたので〆の1杯で入った。飲んだのは、、、クリーム・シェリーだったはず。
5軒目は、HELADERIA MARGARITA LA FRESCA JEREZ
結果、酒だけでは〆られずジェラート屋さんで〆る。店員さんが可愛いから寄ったわけではない。ただ、酔っていただけ。と言わせてほしい。
ボデガ巡り編
2日目は、昼からボデガ巡り。シェリーを作ってる場所だ。ヘレスではシェリー蔵のことをボデガという。ミーハーなので、有名どころを2カ所回ってきた。
Bodegas Lustau (ボデガス・ルスタウ)
世界的に有名なボデガである。ここは日本でも有名なシェリー・ブランド。もちろんツアー予約して行ったのだが、まさかの私だけである。ガイドさんのやる気もない感じで、電光石火の20分くらいで終わってしまった。ガイドさんの巻き具合をヒシヒシと感じながらサクッと終わってしまった。
ただ、ボデガのシェリーをその場で飲むほど美味いものはない。浪漫にお金を払ったと思えば安いものだ。
特にユニークだったのが、同じ種類のシェリーを熟成場所で味が変わるという飲み比べ。
場所は省くが、私が訪れた場所以外にシェリーを熟成させる為の熟成庫を他に2箇所持っているという。
実際に飲み比べをすると味わいが違った。香りと味わいの余韻が違う。おそらく日本でも飲み比べはできることだろうが、お酒が作られた現地の気候で飲む酒が1番美味い。
Gonzalez Byass (ゴンザレス・バイアス)
続いては、フィノ・シェリーと言えば『Tio pepe』というくらい有名なブランドを持っているこちらへ。先に伺ったLustauとは違って、ツアー客だらけである。
敷地内の移動が驚きの列車型のバス(名前なんだっけ?遊園地とかで見るやつ)
って、まさかの写真を撮ってない。大失態である。
感想でいうと会社の資本力を感じるツアーだった。ツアーの最後に試飲したのだが、場所がミュージアムみたいな場所だったのが凄く印象的だった。
無事にツアーも終え、ホテルへ戻る途中にどうしても気になったパティスリーがあったので寄ってみた。
La Rosa de Oro - Pasteleria & Confiteria
全く英語が通じなかったので、本当に地元の人向けなパティスリー。見た目はエクレアなんだが、味は和菓子みたいな感じで、気に入ってしまった。もし、ヘレスに行くことがあれば行ってほしい。
ミシュラン・レストラン編
ヘレスでの旅締めくくりは、ミシュラン1つ星のレストランだ。
Mantúa | Israel Ramos | Restaurante Jerez de la Frontera
このレストランに来て確信したんだが、平日のディナーではあったものの、店内が私だけしかいない。行ったのが2月で街が閑散期だった。
ミシュランの1つ星なのに!?と思うが、そういうこともあるだろう。サービスを1人占めする稀な体験をできた。もちろん料理も美味しいし、何よりもシェリーのペアリングを現地で体験できたのが良かった。家族経営のボデガが作っている生産量の少ないシェリーを飲む機会は日本だとなかなか無い。あとアンダルシアの料理は味が濃い印象だったが、さすが星付きレストラン。料理の味わいのバランスが日本人の私にも合う。
最高に楽しいヘレス旅行であった。
参考までにだが、私が訪れた2月は現地の休暇シーズンだったので、閉まってる店が多かった。
正直、次がいつになるのか分からないが必ずまた行きたい。近い将来に。
では次回まで、アディオス アミーゴ!
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