【マンガ】『ブルーピリオド』がすごい。
こんにちは ナカちゃんです。
今日の本はこちら。
ある生徒の親御さんから言われました。
「うちの子、藝大に行きたいらしいです。」
おお。
その子の家では、色々あった結果、芸大を目指すことを認めてもらえたようで、無事に高校に進学したのですが、
もし、自分の子どもが言い出したら、ワタシはどうするだろう?
自問しました。
長女は、そんな才能ない、と端からそんな進路は考えていないようです
が、2番目は、小さいときからお絵かきばっかりしています。
彼女の夢は「獣医さんになること」らしいのですが、
どうも、親からすると芸術系に進んでしまうような、そんな気がします。
「音大、芸大になんて行ったって、食えねえよ!」
オット君は一蹴するだろうな。
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でも、『ブルーピリオド』を読んで、
私もずいぶん考え方を変えられた人間です。
「芸術」って、こんなにも人を熱くするんだ。
人生を変える出会いって、こういうことなのか。
「芸術系スポ根マンガ」などども言われていますが、
今の時代の若い人の特徴を本当によく捉えていて、
どんな世代にも刺さるセリフがたくさんあります。
大学受験編の、母親とのやりとりは、泣きました。
藝大受験を打ち明けられない主人公が、自分で描いた母親の絵を親に渡しながら、絵を描くことで、母親の苦労にはじめて気づいたことを伝える場面です。
「絵を描いていなかったら、こんなことにも気づけなかった。」
親にも、本音を隠して生きてきた主人公の八虎くんが、母親に頭を下げて、「藝大に行かせてほしい。」と。
本気の言葉に、母親は心を動かされ藝大受験を応援することになります。
「そつなく、なんとなく、ウマく世の中をいきていこう。
本当の自分なんて、なくてもいいや。
他人よりちょっとデキる、上の立場で、生きていければそれでいい。」
そんな今時の男子高校生が、本気で芸術の道を突き進んでいくストーリーです。
今は、9巻まで出ているのですが、読めば読むほど、
「人間にとって、芸術とは何か。」を考えさせられます。
もし、これからいろいろな仕事が、AIに置き換わってしまったとしても、
最後まで置き換えられない仕事が、「芸術」の仕事だと言われています。
「人間が、人間のために創り出すもの」が、芸術であるならば、
太古から脈々と引き継がれてきた変わらないものであり、
その積み重ねが人間の歴史なのだと思うのです。
「不要不急」とか「無駄だ」とか言われてきた芸術・アートの仕事こそ 人間を人間たらしめる「コア」を守る仕事なのではないか。
教育の現場では、「効率重視」なのか、「芸術系の教科」を蔑ろにしてしまう傾向がありますが、ヨーロッパなどでは、逆に「芸術を必修科目にする」動きが広まっています。
ビジネス界でも、「アート的視点」や「美しいもの」を求める視点が必要であるという認識が広がってきているように感じます。
「美大・芸大=食えない」という公式は、 もはや時代遅れなのかもしれません。
1年生から「藝大生」として生きることを求められる人間と、何者でも無い「大学生」が積み重ねる4年間の重みは違うと思います。
「才能のある」人間に囲まれ、自分の「美」を追究し、審美眼を磨き続ける4年間は、その人を「本物」にしていくのです。
「モノを見る目」が本物であることは、これからの社会に必要とされる才能であり、その人にしかできないことができる「手」を持つことは、不確かな世界を生き抜くために必要な才能でもあります。
「人間にしか出来ないこと」の究極が「芸術」であるならば、
それを極めた人間の仕事が生き残っていくのは、至極当然のこと。
不確かな世界を生き抜くために、何が必要なのか。
『ブルーピリオド』は、あなたの知らない「芸術家の世界」を
垣間見せてくれる作品です。
あなたもきっと、美術館に行きたくなるはず。