どうしても書きたかった いのまたむつみ先生の話
前回から引き続き、私の10代を形成したカリスマの話です。
週刊少年ジャンプの「神時代」を体験した世代として、1980年代を小学生として生きられたことが、本当に幸せだったと思うのです。鳥山明氏をはじめとして、錚々たる漫画家の作品が毎週読める月曜日。楽しみで楽しみで仕方がなかった。
中学生くらいになると、漫画も読むけれど、本に興味が移っていく子が多かったように思います。
赤川次郎、氷室冴子の作品に人気が集まり、どの本読んだ?なんて話もするようになりました。
私は藤川桂介の『宇宙皇子』シリーズにどっぷりハマり、仲の良かった友人と一緒に読んでいた記憶があります。
カバーと挿絵が、いのまたむつみによるイラストで、このカバーがあったから読み続けられたのかも。
古代歴史ファンタジーの金字塔とも言える作品に、10代で出会えたこともラッキーだったのかもしれません。
1984年から、1998年まで角川ノベルズと角川文庫にて発刊された作品ですが、2013年に復刊されています。
全部で52冊にわたる大作なので、大人になった今、最後まで読了してみたいと思っています。
『宇宙皇子』シリーズを読みつつ、アニメ雑誌も毎月読んでいた私は、今度は『吸血鬼ハンター”D"』にも手を出すようになってしまいました。
菊地秀行の小説に、天野喜孝のイラスト。
ライトノベルの先駆け、美麗なカバーイラストに魅了されて読み続けた読者も多かったのではないでしょうか。
どちらの作品も、アニメ、OVA、オーディオドラマなどで広く人気を博していましたが、1980年代から2000年にかけての漫画、アニメーションのクオリティの高さには、本当に驚かされます。
この時代の最先端を担っていた漫画家やイラストレーターの先生方が、最近になって鬼籍に入られるニュースを聞くたびに、ショックというか、とても寂しい、悲しい気持ちになります。
アニメ、漫画の世界を、アートの領域まで引き上げた才能高きクリエイターがたくさんいた時代に、思春期を生きられたことが本当に奇跡的だったと、今改めて思うのです。
ファンタジーの世界を描く時、視覚的イメージというのはとても重要です。
いのまたむつみ先生の描くキャラクター、宇宙皇子、幻夢戦記レダ、大好きでした。
ガンダムSEED、テイルズ オブ、挙げたらキリがありません。
いのまた先生のつくるアニメの時代に生きられて良かった。
時間をかけて、また、あの時代を振り返ってみたい。
素直に、そう思えるようになりました。