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心療内科を受診するハードル #不登校の親 7

お正月休みも終わり、学校ではそろそろ3学期がスタートしたところでしょうか。
大人の社会でも新しい年の業務が始まり、社会全体が動き出した感じがします。

昨年末から今年のお正月にかけて最大9連休だった方もいらっしゃるかと思いますが、
「会社に行きたくないなあ」とか「学校に行きたくないなあ」と数日前から憂鬱な思いをしていた人も多いはずです。

例にもれず、私もそうなのですが、
不登校中のムスメに至っては、学校に登校する気配さえなく、未だにのんべんだらりと家で過ごしています。

でも、7日から始まった週1回のフリースクールには、行くことができました。

12月にフリースクールの先生から勧められて、初めてメンタルクリニックを受診し、血圧をあげる薬と夜の緊張感を取り、入眠しやすくなる漢方薬を処方してもらいました。
そのクリニックは、私のかかりつけ医でもあるので、安心ではあったのですが、先生は、娘に対しても、彼女の気持ちや意見を尊重して治療をすすめてくれています。

最初は、苦い漢方薬を嫌がっていたのですが、「これを飲んだら調子が良い」という感覚がわかってきたようで、自分で忘れずに服薬するようになりました。

折しも、2025年1月1日に放送された
星野源さんのオールナイトニッポンで、
ニセ明さんの人生相談なるコーナーがあるのですが、
そのコーナーのあとに
「辛いときや、調子が良くないときに、無理をせず 心療内科医に相談するのも大事ですよ」と、源さんがさらっと言っていたことがとても印象に残っています。

脳内出血で2度の手術を経験した源さんですが、
子どものころからの生きずらさがあったり、まだサケロックからソロになったばかりの辺りでメンタルダウンしている時期のことをエッセイで書いたりしています。

隠すわけでもなく、自分の病気のことや、調子の悪いときにどうやって乗り切るかを包み隠さず語ってくれているので、そういう裏表のない源さんを尊敬してやまないわけで。

心療内科とか、精神科って、受診のハードルが高くて、
とにかく家族に理解してもらえないというのが、一番きついです。

体が不調であれば、病院に行きます。
でも、心が不調なら、どこにいけばいいのか。

「学校にいかない」とか「学校に行かない」とか、
目に見える現象は一つかもしれませんが、
その奥にある理由は、本当に様々で、こんがらがって、絡まっている場合が多いような気がします。
(なので、子どもに聞いてもわからないことのほうが多い)

大人でも、仕事やめたくなったり、死にたくなったり、再起不能になる前に、医療につながって、薬で助けられたり、楽になっている人がたくさんいます。

私自身も、鬱病になって、
最初の頃は「薬を飲んでまで、続ける仕事ってなに?」と悲しいような
腹立たしいような気持ちでいっぱいでしたが、
今は通院と服薬でコントロールできているなら、
この状況で低空飛行していくのが一番いいのかなと思うようになりました。

精神障害や躁鬱、鬱病は、治るという言葉ではなく、完解という言葉を使うそうです。

内科的、外科的病気であれば、こうすれば、このくらいの期間で
治癒する見通しを持つことができますが、
心の病気は、どこまで、いつまでかかるのか、見通しが立ちにくい。

あせって何かをしようと思っても、
他動的な要因でどうにかなるものでもないわけで。

脳の仕組みがうまく機能していなかったり、ストレスなどの要因で欠損したり、傷ついてしまった仕組みをたてなおしていくために、必要な医療を頼ることも大切だと思うのです。

人間の心や精神について、意外と私たちは無知だったりします。
子どもの成長に伴う心と体の変化について、どれだけの知識を持っているのか。

自分自身の心でさえも、思い通りにならないのに、
子どものことを、どれだけわかってあげられるのだろうか。

動けなくなってしまった子どもをなんとかしようとがんばるお母さんが、
同じように倒れてしまうケースがあまりにも多い。

あなたが、うつや双極性障害、気分障害や適応障害になったからといって、
母親失格とか父親失格とか、絶対に思わないでほしい。
だれでもいいから、「助けて」と言ってほしい。

でも、家庭の外に、「助けて」と呼び掛けても、助けてもらえないケースが現実ではあまりにも多い。

不登校の子どもにだけ注力するのではなく、子どもの回復に欠かすことができないのは家族関係、特に親の心の回復なのではないかと感じています。

パートナーや、他の家族、祖父母、親族が
「不登校は異常だ。」「だめなことなんだ。」と寄ってたかって
否定し続けることで、傷はどんどん深くなっていきます。

責めるのではなく、支える。
歩み寄る。
適切な支援につなげる。

家庭の中でこのことができれば、きっと少しずつではありますが
前に進むことができるはずです。

心療内科の診察を希望する患者さんが多すぎて、
医療につながるまでに時間がものすごくかかるという問題もありますが、
そこに至るまでに、受診すること自体を躊躇してしまっている人がもしかしたら多いのかもしれないと感じています。

心療内科や精神科を受診したら、もう人生終わった。

そんな世の中になってほしくないです。

治療や服薬をしながら、仕事をすること、病を抱えながら、仕事をすることに社会全体が理解を示してくれることで、
学校に行かない、行けない子どもたちに注がれる視線が、きっと変わってくると思うのです。

それが本当の、インクルーシブ社会、成熟した社会。

2025年、少しでもそんな社会に近づいて欲しいと願っています。

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那珂(なか)
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