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国語教育界のレジェンド、野地潤家先生から教えていただいたこと。


今日はこちらのPodcastの文字版になります。

野地潤家先生とは


皆さんは、国語教育界ではレジェンドと言われている野地潤家先生をご存知でしょうか。
私は直接教えを受けたことはありませんが、広島大学教育学部で長年にわたり国語教育を教えておられました。

野地先生は国語教育において、理論から実践まで幅広く研究を深められ、その厚みと深さにおいて卓越した存在です。
先生の研究は、教育の理論から実際の授業にまで及び、オールラウンドな視点で教育を探求されてきました。

私は、野地先生の厳しさとその教育に対する真摯な姿勢について、先輩の先生方から多くのエピソードを聞いていました。
先生は、教育者としての覚悟や信念をしっかり持ち、学生にもその姿勢を求められた先生でした。
先生のエピソードを紹介させていただきます。

実践発表での思い出


私が野地先生と直接接したことは少ないのですが、一つ心に残っているエピソードがあります。それは私が教員になりたての頃のことです。

当時、教育困難校での授業に悪戦苦闘していた私は、授業をどう成立させるかに日々苦心していました。その中で、生徒たちに少しでも授業に集中してもらいたいという思いで、様々な工夫を凝らしていました。

そんな私に、恩師である大槻和夫先生が「あなたの取り組みを学会で発表してみてはどうか」と声をかけてくださいました。
その時は、生徒をどうやって主体的にさせるかというテーマで実践発表を行ったのですが、その内容は、今振り返るととても拙いものでした。
生徒にハンコを押してプリントを返したら喜んでやるようになったとか、自分で描いた漫画に生徒が夢中になったとか、本当に小さな工夫の積み重ねでした。

発表が終わった後、学会の事務局の先生に呼び止められ、「野地潤家先生がお話ししたいとおっしゃっています」と告げられました。

その時の私は、怒られるのではないかと真っ青になり、震える足で先生の元へ向かいました。

しかし、野地先生は静かに私を迎え、「あなたの発表は素晴らしかった。これからも頑張りなさい」と、温かくも毅然とした声で励ましてくださいました。あの時の野地先生の言葉は、今でも私の胸に刻まれています。

生徒を励ますことの大切さ


振り返ってみると、野地先生がくださった励ましの言葉が、私が授業や実践報告に取り組み続ける大きなエネルギー源となっていたことに気づきます。

生徒を褒めることや、励ますことがどれほど大きな力を持つのかを、あの時の経験から学びました。
それはすぐに結果が出るものではないかもしれませんが、長い目で見れば、大きな影響を与えることは間違いありません。

野地先生の言葉が私にとってどれほど支えになったかを考えると、先生は本当に偉大な教育者であり、生徒を励まし、支えることの重要性を私に教えてくれたのだと思います。

教育者としての道を歩み続けて


後に知ったことですが、私が苦労していた状況は、戦後の荒れた時代に中学生を指導していた大村はま先生の経験に似ていると感じることがありました。
野地先生が大村はま先生を重ねていたのかは今となっては知るよしもありませんが(汗

私も野地先生のように、教育に対する真摯な姿勢を持ち続け、生徒たちに良い影響を与えられる教育者でありたいと思っています。まだまだその域には達していませんが、努力を重ねていきたいと考えています。

今日のエピソードは、私にとって非常に感動的なものであり、皆さんにぜひお伝えしたいと思いました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。また次回、お会いしましょう。

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