AI活用から小説『こころ』を深掘りするフレームリーディングへの道が見えた!
皆さん、こんにちは!今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
今回は、少し前に高校2年生の小説『こころ』の授業で、いつもと違うアプローチを試す予定なので、そのチャレンジについてお話ししたいと思います。
前半戦:あえて「最悪」な手法に挑戦!?
実は、授業の前半で、あえて「生徒に棒線を引かせて問題を解かせる」という、私が普段は絶対にしないような手法を試してみました。
これは、先生が「ここを読んでほしい!」という箇所に線を引いて問題を出し、生徒に考えさせるという、ある意味「退屈」な授業です。
なぜこんなことをしたのかというと、私の学校の生徒たちは、問題を解くことにものすごく「チャレンジ精神と楽しみ」を持って取り組むようなんです。
正解すると達成感を得て、どんどんやりたくなる、まるでゲーム感覚。
彼らにとっては、正解することで優越感を得ることがモチベーションになっているようなんです。
国語の授業は、答えが一つとは限らないので、達成感を得にくい分野でもあるのですが、あえてこの手法で、生徒たちの「問題解決能力」と「記述力」を鍛えてみたわけです。
生徒の中には、「先生の用意した回答に近づけている」と批判的な意見を持つ子もいましたが、それこそが私の狙い通り!
この授業を通して、生徒の「力量」を測ることができたし、テストの出来も良かったので、一定の理解は得られたのかなと思っています。
そして何よりも、この授業が、後半戦への「地ならし」、つまり土台作りのようなものになったと感じています。
後半戦:フレームリーディングで『こころ』を多角的に読み解く!
いよいよ授業の後半戦は、「フレームリーディング」という手法に挑戦することにしました。
これは、物語に様々な「価値観のフレーム(枠組み)」を与え、そこから作品を読み解く方法です。
このフレームを先生が与えるのではなく、まずは生徒自身に、授業前半での「気づきや感想」をワークシートに書いてもらい、それを元にフレームを作ろうと考えました。
実は、ここからが今回の授業でデジタルツールが大活躍したポイントなんです。
まず、生徒の手書きの感想を音声変換でデジタル化し、Canvaのホワイトボード機能を使って付箋に書き出し、カテゴリー分けを行いました。
Canvaは、生徒の感想を「人間関係」「恋愛」「友情」など、見事にカテゴライズしてくれました。
次に、CanvaのデータをPNG画像でダウンロードし、Google Keepでテキスト化しました。
そして、Googleドキュメントにペーストしてテキストを整理し、生徒たちの「気づきと感想」をデジタルデータとして取り込むことができたのです。
NotebookLMとChatGPTを活用!フレームを生成
さらに、GoogleドキュメントのデータをNotebookLMに読み込ませ、ChatGPTを使ってフレームリーディングの手法を教えてもらいました。
そして、生徒の感想データと、ChatGPTに教えてもらったフレームリーディングの手法を元に、NotebookLMに以下のように指示しました。
「あなたはプロの国語教師です。フレームリーディングの手法というソースを参考に、生徒の気づき感想のデータを読み込んだ上で、どのようなフレーム=思考の枠組みが考えられるか10個出してください。」
すると、NotebookLMは、以下のような10個のフレームを提示してくれました。
●自己と他者の価値観の対立
●道と恋の二律背反
●友情と恋愛の衝突
●自己矛盾と自己認識の変容
●恩と裏切りの認識
●社会的な価値観と個人の感情の乖離
●自己の弱さと向き合う
●正直さと欺瞞
●近代における個人の迷い
●物語の語り手視点
詳細はまだ構想段階ですが、これらのフレームを生徒に提示し、自分が興味関心のあるフレームで『こころ』を分析してもらうことにしました。
最初からフレームを全て提示するのではなく、最初は生徒自身の考えを引き出し、その後、NotebookLMが提示してくれたフレームを参考にすることで、生徒の「思考力」をより深く引き出すことができると考えました。
トライアル後:AIの力を実感!
今回の授業構想を通して、生徒たちが多面的・批判的に作品を読み解く力を養う授業の構造をまたあらたにバージョンアップできたのではないかと感じています。
また、生徒の気づきや感想をAIが分析してくれたことで、授業の「効率化」が図れただけでなく、AIの「可能性」も実感できました。
『こころ』という作品は、非常に深く、重層的な構造をしているため、一つの枠組みで捉えるのではなく、様々な視点から読み解くことが大切です。
フレームリーディングを活用した授業実践の報告はまたおいおいということで・・・。
それでは、今日の報告はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました。またお会いしましょう!
追記:私の音声によるレポートはこちらです!