【お仕事のご紹介】茶室研究の第一人者「建築家・堀口捨己の探求」展を取材しました
東京・湯島の「国立近現代建築資料館」で、2024年10月27日(日)まで開催されている展覧会「建築家・堀口捨己の探求 モダニズム・利休・庭園・和歌」展を取材し、Webメディア「タイムアウト東京」で記事を書きました。
構成・取材執筆に加えて、全ての画像の撮影も担当しています。
モダニズムと日本の美の共通項を見いだした茶室研究の第一人者、建築家・堀口捨己の回顧展
近代日本を代表する建築家の一人である堀口捨己(1895~1984年)さんは、ほぼ趣味が高じて、国内に点在する茶室の建築を現地調査し、研究した第一人者として知られる存在。
また、日本国内で最初の本格的な近代建築運動「分離派建築会」の創設メンバーでもあります。
建築の歴史や造園にも精通し、茶の湯を愛好し、歌人でもあったという多才な方。
今回、この展覧会でほぼ初めて公開される資料も多く、最新の研究成果をベースに、コンパクトながらも網羅的に、堀口さんがどんな方なのか、また、2つの大戦と社会の変遷をふまえながら、どんなお仕事を手がけてきたのか、を知ることのできる企画展でした。
ちなみに堀口さんに興味がわいた方、こちらのページもよろしければ。
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明治・大正・昭和と、日本の近現代建築を愛好する方々、本当に多いですよね。わたしも好きなので、昨今は特に、展覧会やイベントが増えたなぁと実感していて、とても嬉しい限りです。
今も、2020年に開催された人気企画の第2弾が日本橋高島屋で開催中です。細かなデザイン好きには本当に楽しい企画なので、ぜひ。
そんな方々にご紹介したい、建築にまつわる文化施設の一つが、今回の会場となっている、湯島の「国立近現代建築資料館」です。
2013年に開館し、近現代の建築に関する資料の保存収集、研究や展示活動を行っていて、文化庁が管轄しています。
正直なところ、建築好き以外には、それほど有名な施設ではないかもしれませんが(失礼)、なんと、展覧会が無料で観られ、希望する方には図録も無料で配布!!!
確か、丹下健三さんの企画展の際は、かなり話題になったかと。わたしも観に行きました。
少々話が逸れますが、実は昨今、わたしはとても気になっていることがありまして。
著名な日本人建築家の仕事に関する資料・アーカイブが、日本国内ではなく、海外のミュージアムへ収蔵された、というニュースが度々報じられています。
例えば、伊東豊雄さんはカナダへ、とか。
余談ですが、日本人の建築家と日本の都市計画を考察するような、こんな記事も気になりました。
アーカイブすることが好きなわたしは、こうした傾向や動きが長らく気になっております。
最近は建築に限らず、貴重なマンガの原画やアニメーションのセル画なども、例えばオークションにかけられるなどして、国内外に散逸するしつつありますし。
「国立近現代建築資料館」も、国立ゆえ、決して潤沢な予算があるとは言えないかもしれません。が、ぜひぜひ、収集・研究・保存・展示の各業務を頑張っていただきたい。
そして、世界的に活躍する日本の建築家の方々が増えた今、彼らの仕事の記録や資料をたくさんアーカイブしていってほしい、と切に思います。
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以下、余談です
芋づる式に広がる興味関心
そもそもわたしが、堀口さんらが立ち上げた「分離派建築会」のことを知ったのは、2020年に京都と東京で開催された企画展「分離派建築会100年 建築は芸術か?」がきっかけでした。
東京で観ましたが、告知のフライヤーを手にしたとき、このデザインは!!!と気になったくらい、展示室内の空間構成や造作、図録が素敵で!
今も記憶に残っていて、もともと好きだった同時代のいろんな物事への興味関心が、さらに広がるきっかけにもなりました。
そもそも「分離派」のことを知ったのは、その前年、2019年に相次いで開催された2つの企画展、「クリムト展 ウィーンと日本 1900」と、「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」がきっかけ。
ちなみに日本の「分離派建築会」は、ここから名前をもらっています!
そして、茶室の建築そのものに興味を持ったのは、さらにその前年、2018年から茶道のお稽古に通い始めたことがきっかけでした。
ということで、ほんの少しでも、なんだか気になったこと・なんか好きかもと思ったことを、ちょっとでも検索して調べてみたり、展覧会を観に行ったりするだけで、まさに芋づる方式のごとく、体験や興味が広がり、さらにいろんな物事が面白く見えてくるきっかけになる、と思うんですよね。
近代建築といえば、今年もまもなく「京都モダン建築祭」が開催される季節がやってきます。
こちらの運営に関わる方々が、今年5月末、東京で初めて「東京建築祭」を企画・開催してくれ、本当に多くの方で賑わいましたが
(わたし自身も 大好きな Ginza Sony Parkビルの工事現場見学ツアーに当選・参加でき、本当に嬉しかった&企画していただけて大感謝でした)
近代建築? え?堀口さんってどなた・・・?という方も、ぜひ物は試しに、展覧会や「京都モダン建楽祭」へ足を運び、何かと出会う‟きっかけの種”を拾ってもらえたら嬉しいです。