【お仕事のご紹介】特別展「田名網敬一 記憶の冒険」展を取材しました
東京・六本木/乃木坂の「国立新美術館」で、2024年11月11日(月)まで開催されている展覧会「田名網 敬一 記憶の冒険」展を取材し、Webメディア「Tokyo Art Beat」で記事を書きました。
構成・取材執筆に加えて、全ての画像の撮影も担当しています。
「田名網敬一 記憶の冒険」(国立新美術館)レポート。
デザインとアートの越境者が繰り広げてきた表現世界
絵画、コラージュ、立体作品、アニメーション、実験映像、インスタレーションなど、60年以上にわたって縦横無尽な創作活動を続けた田名網さん。
本当に残念ながら、この展覧会の開幕後すぐ、天寿を全うされ旅立たれてしまわれました。まさにこの展示空間全てが、最後の田名網さんのお仕事、とも言えるものでしょう。
膨大なお仕事をされ、とにかくものすごいパワーで人生を駆け抜けていった方ゆえ、作品一つひとつも、ものすごいです。
初めてご覧になる方は、ちょっとびっくりされるかと。
わたしも、もう何年も前に初めて田名網さんのお名前を知り、作品を観たときは、ちょーっと苦手、というか、たぶん、どちらかというと好きになれない作風・作品の方だな…と思いました。
なんだか怖い、どぎつい
ごちゃごちゃっとしていて観ていてなんか落ち着かない
そして、何をどうしたいのかよくわからない
そんなことを思っていたような記憶があります。
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それからしばらくして、大好きな美術作家のお一人、束芋さんの初期の書籍に、田名網さんが寄せた文章を偶然発見します。
田名網さんはなんとなんと、わたしが卒業した京都芸術大学で1991年から教鞭をとられていたのです。そして束芋さんは教え子の一人で、かつて田名網さんのアシスタントもされていたと知ります。びっくりしました。
大学のWebページには、かつて|DOMMUNE《ドミューン》の宇川直宏さんと対談した際のレポートや、2022年に開催された講評の様子も。よろしければぜひ。
その後、TOKYO MXで深夜に放映されていたインタビュー番組『POST FAKE』で、偶然、田名網さんに遭遇します。2021年のことでした。
録画して観ていた番組だったのですが、お話しされる田名網さんを初めて観て、束芋さんの書籍の文章の記憶と重なり、あぁ なんだか理知的で穏やかな紳士で、でもものすごい狂気のようなものが渦巻く方なんだな、とハッとしました。
★これらの映像は、展覧会の最後の展示室でも上映されています。
2023年。お仕事でインタビューさせていただいたアーティスト Keeenueさんも、田名網さんのもとでアシスタントをされていたそう。
田名網さんからかけられた言葉やアドバイスなど、当時の貴重なエピソードを伺いました。
そして2024年のお正月。
Eテレ『日曜美術館』の新春スペシャルにも登場され、大回顧展の開催告知に改めてワクワクし、
8月に開幕した本展の内覧会。展示室に一歩足を踏み入れた瞬間から、本当に圧倒されました。
プレス向けの時間では全然足りなくて、結局、休憩をはさんで一般内覧の時間にも伺い、3~4時間は滞在していたかと。
展示室をぐるぐると何度も巡り、とにかくすみずみまで膨大な数の作品を浴びるように観て、たくさん歩きました。
本当にくたくたなはずなのに、なぜが観れば観るほど元気をもらい、とにかく楽しくなってしまった自分が、本当に不思議でならなかったです。
それくらい観ていても、田名網さんの作品が好きか、と問われると、好き、とは言い切れないし、結局よくわからないこともあるのですが…
作品が、というより、それを手がけた田名網さんという方が好きなのかも、と今は思います。
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そして今月。大変ありがたいことに、田名網さんが所属されていたギャラリーからお招きいただき、田名網さんのお別れの会に参列してきました。
長年の盟友であり同志であり親友だった、という、美術家の篠原有司男さんをはじめ、生前に交流のあった方々によって企画された場。
美術館の休館日に、この展覧会の会場で催されました。
ゆっくりと展示室を巡るうち、再び田名網さんから圧倒的なパワーを授けてもらい、背中をぐぐぐっと押してもらった気持ちになりました。
この展覧会を取材して伝えるお仕事に関わることができ、本当に感謝の気持ちでいっぱいだったし、引き続きますます精進せねば、と思ったのでした。
展覧会、ぜひぜひぜひ。
最後に2つだけ。
展覧会を記念して国立新美術館で開催されたシンポジウムの記録映像が観られます。束芋さんも登壇されていました。
そして、束芋さんの同級生であり教え子だった、ライターの高山しのぶさんによる、田名網さん最晩年のインタビューがとっても素晴らしいので、ぜひぜひお読みください。
(お別れ会の当日、高山さんにもお目にかかれて嬉しかったです)
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