【フリーランス塾レポート】 1枚の写真で人生が変わる?
さわやかな五月晴れの2024年5月18日(土)の午後、とある会議室にてフリーランス塾主催で開催された3時間にわたるプロフィール写真撮影会つきセミナーのレポートです。講師はフリーランス塾の田中靖浩塾長とその友人の写真家・濱口 太さん。
オーディション・マインドの発揮で実現したセミナー
セミナー企画から運営までの実行担当はフリーランス塾生の勝並 進さんです。会場手配から始まり、濱口さんとの連絡、塾生に向けたお知らせときめ細やかなフォロー。このほぼすべてを勝並さんが一人で担ってくれました。彼は会社に勤務しながら副業も行い、フリーランス塾にも参加しています。
フリーランス塾では、フリーランスにはオーディション・マインドが必要だとされています。オーディンション・マインドとは、やってみる機会を自ら見つけて実行するマインドのことです。田中塾長から濱口さんを招いたセミナーのアイデアが発表された後、フリーランス塾生の勝並さんは、まさにオーディション・マインドの何たるかを見せてくれました。
セミナーは講義1時間と撮影会2時間の計3時間で行われました。セミナー名「写真家に学ぶセルフプロデュース術と異業種アンサンブル成功の秘訣」も勝並さんが考えたものです。
講義
濱口 太さんの紹介
セミナーは田中塾長による濱口太さんの紹介から始まりました。
濱口さんが生業とする写真は急速にデジタル化が進んだ業界です。デジタル化の進展を背景に仕事をやめた人も多いそうです。田中塾長は言います。
「技術革新により、技術だけで勝負していた人は技術が制約になったんです」
一般的に仕事に必要なのはその分野の技術であると言われます。けれども、デジタルによる技術革新がありとあらゆる分野で進む今、武器として磨いてきた技術が足かせになることもあり得るのです。じゃあ、一体どうすれば?
田中塾長の濱口さんの紹介の中に、その答えがありました。
「濱口さんは写真家だけど、センスのよいビジネスマンでもあります。だから、技術革新が進んでも生き残っているんです」
技術を磨くだけでなく、ビジネスを作り出すことが生き残る道です。
濱口さんは、一体どうやってビジネスを作り出しているのでしょう?それは様々な業界とのコラボによってです。コラボの例として挙げられたのが、着付教室、ヨガ教室、葬儀屋、婚活イベントなど。
どれも言われてみれば写真と相性がよいものばかりです。ただし、その内容を聞けば、そこには単なる写真との組み合わせにとどまらないことがわかります。コラボによって生まれる価値を最大化するために、写真と撮られる側の心理を知り尽くした濱口さんのビジネスセンスが光っています。しかも、これらのコラボはすべて濱口さんからの提案で実現したそうです。
仕事とは何か
濱口さんの紹介が終わった後は、フリーランス塾生向けに田中塾長から今日の一番重要なポイントが示されます。「仕事と何か?」という根源的な問いへの回答です。
田中塾長は、仕事には「技術と場づくり」の両方の要素が必要だと力説します。場づくりとは技術をお金に変えること、いわゆるマネタイズです。この解説を聞けば、濱口さんが仕事の達人であることが浮き彫りになります。
プロフィール写真の技術
ここからは濱口さんにバトンタッチになり、プロフィール写真に関するノウハウを惜しげもなく教えてくれました。
笑顔は七難かくす
自分の写真は自分で選ばない
自撮りのススメ
撮影後の写真修正(レタッチ、修正、CG)
モデル立ち
20秒で20ポーズ
それぞれについて、時には笑いを誘いながら、詳細な解説をしてくれます。
例えば、「3. 自撮りのススメ」は仕事をしている自分の様子をSNSに投稿するための自撮りについて。自分でスマホを手にもっての自撮りはNG。必ずどこかにスマホを置いてタイマーを10秒にセットして撮ることを教えてくれます。
実際、その場での実演もしてくれました。10秒の時間の長さがしっかりと体に刻まれているようで、濱口さんはタイマーをスタートしてからゆっくりと定位置に移動しました。シャッターがおりる瞬間にいかにものポーズをとるのも慣れた様子。
セルフタイマーで撮影された写真がこれです。いかにも2人でセミナー講師をやってる風のポーズで写っていますが、実際の講義中は2人ともずっと座ったままでした(笑)
ここまで手の内を明かしてしまっても大丈夫なの?と心配になるくらいに充実したノウハウを濱口さんは教えてくれました。
が、心配にはおよびません。なぜなら、そのノウハウを聞いて誰もができるようになるほどに写真の技術は甘くないからです。
それを思い知らされたのはCG加工のbefore/afterのいくつかの例を見たときでした。afterの写真の方が明らかに良い印象を受けるのです。ところが、よく見てもbeforeとafterの写真の違いがわかりません。
種明かしを聞けば、ああなるほどとわかります。けれども、言われなければ見つけられないほどに絶妙な塩梅で加工されているのです。こんな加工もあんな加工もできるんだとその種類の豊富さにも驚かされます。もっともふさわしい加工箇所を見つけるレンズは一朝一夕には身につかなないだろうと感じました。
写真における場づくり
写真技術の解説に続いては、写真における場づくりの講義です。
デジタル技術の進歩によって写真業界がシュリンクした一方で、写真での場づくりは楽になったと濱口さんは言います。その鍵となるのがSNSの登場です。SNSに写真を載せて、うまく情報発信を行えば、SNSで直接に仕事の依頼がくるからです。
濱口さんは、SNSの影響の大きさを背景に選挙のコンサルタントも始めたそうです。当選する写真と落選する写真の違いの指南、立候補者に対するSNSでの発信方法などのコンサルティングビジネスも行っているそうです。
講義の最後に、濱口さんは名刺よりコストパフォーマンスのよい「自分チラシ」についても紹介してくれました。自分チラシは、プロフィール写真と簡単な自己紹介文、連絡先などを組み合わせたA4サイズのチラシです。
撮影会
セミナー講義の後は、待ちに待った撮影会です。会議室の後方には撮影スタジオができていました。カメラを手にして撮影の準備を進める濱口さんはすっかり写真家の顔になっていました。撮影の前にはBGMを流してリラックスした雰囲気をつくることにもぬかりがありません。
撮影は、立ちポーズ、小道具をもっての立ちポーズ、ホワイトボードを使って、椅子に座って、とシチュエーションを変えて複数パターンの撮影をしてもらいました。おまけで希望者にはジャンプ写真の撮影も!
ポーズは自分で考えなければなりません。1秒ごとにポーズを変えて自由に動いているところを撮影してくれます。色々なポーズで撮ってもらえるわけですが、同じポーズやありきたりのポーズになりがちで、ポーズをとるのは思った以上に難しいものでした。我らがフリーランス塾の田中塾長も、この時ばかりはその頭角を現せず、カメラに向かってとまどうただのおじさんと化しておりました(笑)
モデルさんといえば容姿の美しさだけが必要なのかと思っていましたが、バラエティ豊かなポーズがとれるスキルをもったスゴい人達なんだと、体験して初めて知りました。
撮影には小道具がアクセントとしてとても有効でした。コーヒーショップを開く妄想を抱くMさんは、しっかりとコーヒーを持ってきておりました。もちろん衣装はエプロン姿で。
要するに、服装や小道具やポーズを考える前に必要なのは、プロフィール写真でどんな自分を伝えたいかを知ることでした。己を知ることの大切さをまたしても痛感した次第です。己を知ったならば、自分を演出する服装や小道具、ポーズを考えるのはこの上なく楽しくなりそうです。
今回のようにグループでの撮影会は想像以上に良かったです。なぜなら、他の人の撮影シーンを見ることで、そこからポーズや小道具を発想できるからです。自分ひとりで撮影するより、圧倒的にグループ撮影の方がよい写真がとれると思います。
グループでの撮影会のもうひとつの利点は、そこに自然とコミュニケーションが生まれることです。撮影された写真はカメラと接続したPC画面に瞬時に映し出されます。撮影シーンを見ている参加者は、PCに映し出された写真を見てつい言葉を発してしまいます。写真はコミュニケーションツールにもなるのです。
女子にとって自分を演出するのに欠かせないのがアクセサリー。フリーランス塾生である高木 延子さんは、副業として n’s wire art のブランドでアクセサリーの制作・販売を手掛けています。なんと今回は高木さんが持参してくれたアクセサリーを試着して撮影できるという嬉しい特典つきでした。
おわりに
オーディション・マインドをもった塾生のおかげで実現した企画。濱口さんの何に注目すべきかのガイドを示す田中塾長からのビジネス解説。多彩なメンバーが揃っているフリーランス塾ならではの撮影会。いやはやなんとも充実した時間になりました。
この日の翌日には、撮影会で撮影された全データが濱口さんから参加者に共有されました。参加者同士で自分以外の人のベストだと思う写真を1枚選ぶ企画も立ち上がり、塾生仲間が選ぶ自分のベスト写真はどれだろうとセミナーが終わった後も楽しみが続きました。
一人あたり何十枚もの写真を、しかもそれを何人分も見ながらしみじみと思うのです。写真の写り方でこんなにも受ける印象が変わるのかと。そして、こんな妄想も膨らみました。
たった1枚のプロフィール写真で人生が変わる。
いつかフリーランス塾からそんなことが起こるかもしれません。