【フリーランス塾レポート】 フリーランスフェス2024 & B-side
ビール注ぎ名人・ビール伝道師の重富寛さんをゲストに迎え、フリーランス塾主催を掲げた初のイベント「重富ビールで乾杯!フリーランス・フェス2024」を2024年9月7日(土)に開催しました。フリーランスフェス2024の様子とそのB-sideをレポートします。
フリーランスフェス2024
フリーランスフェスが開催された2024年9月7日は9月になったというのにまだまだ夏を思わせるような暑い日。まさにビール日和の1日でした。 開場時刻になるとお客様が次々にやってきて、お客様が増えるたびにイベント会場のにぎわいも増していきました。
オープニング
フェスのオープニングは、フリーランス塾生で書家の田坂 州代さんによる大書実演から始まりました。床一面に広げられた大きな用紙の上に田坂さんが全身を使って大きな筆を走らせる間、会場は静寂に包まれました。
書き上げられた文字は「麦酒生笑顔」。ゲストの重富さんが伝導する「ビールは笑顔を生み出します」を書にしたものです。フェスの幕開けにふさわしい実演と言葉でした。この後、書かれた言葉の予言通りにビールを片手に笑顔があふれる場が生まれます。
トークショー
オープニングに続いては、ビールスタンド重富マスターの重富寛さんとフリーランス塾の塾長・田中靖浩さんのトークショーです。
トークショーは、重富さんのこんなお話から始まりました。
「お店に入って『とりあえずビールください』と言いますが、あなたが今飲みたいビールはどういう味なのか、どういう温度帯なのか、どんな喉ごしなのか、どんな余韻なのか、それを飲んで自分がどうなりたいのかを考えていくと、あなたにピッタリあったビールはあなたの人生をより豊かにします」
のっけから、日常的に飲むビールについてのあまりに哲学的な話にオーディエンスは少し驚いたかもしれません。けれども、この後、重富さんの人生を豊かにするビールへのあくなき探究心があの美味しいビールを生み出していることを知ることになります。
重富さんの6種類のビールの注ぎ方と味の違いの解説が続きます。
一度つぎ
二度つぎ
三度つぎ
シャープつぎ
マイルドつぎ
ミルコ
これを聞くと、重富さんが注ぐビールが飲みたい気持ちが最高潮に達します。
後半は、フリーランス塾主催らしく田中塾長が重富さんの経営の話に切り込んでいきます。
広島にあるビールスタンド重富は、最近では海外にまでその名が知れ渡り、待ち行列には訪日外国人の方も多いとか。初めて知った時は田中塾長も驚いたというビールスタンド重富の営業スタイルは、営業時間は17:00~19:00まで、ビールは2杯まで、おつまみはなし。その営業スタイルの理由は、ビールスタンド重富は街の0次会と位置づけており、美味しいビールを飲んだ後に美味しいものを食べたくなったら街の飲食店に繰り出してほしいから。
さらに、重富さんがビールを注ぐ目的の変遷へと話題は展開します。これまではきれいなビールを注ぐことが正解だと思っていた重富さん。仕事終わりに飲むビールはキレイに注いじゃダメだと気づいたと言います。お客様の笑顔を生み出すビールについて徹底的に考え抜いたロジックとその結論にオーディエンスは深く深くうなづきました。
「ちなみに、今日のビールはどうですか?」
との田中塾長からの問いかけに、重富さんが答えました。
「今日はキレイに注ぎます」
ビールの注ぎ方の答えは、コミュニケーションが深まったかどうかだからです。注ぎ方を極めるとは、唯一正解の注ぎ方をマスターすることではなかったのです。いやあ、深いですね~。
そうやってビールの注ぎ方を極めた重富さんは、商売でも結果を出しています。坪当たりの売上が50万円になるとモンスターと呼ばれる飲食店業界で、重富さんが広島駅に出しているビールスタンド重富ekieでは、2024年8月の坪当たりの売上がなんと500万円を超えたそうです。これを聞いた会場からは、「おぉ~!」というどよめきとともに大きな拍手が沸き起こりました。
田中塾長は重富さんのスゴさをこう説明して、トークショーを締めくくりました。
「重富さんのスゴいところは、決して主役になることのなかった当たり前にそこにあるビールの見方を変えたことです。これはホンモノのイノベーションだと思います」
トークショーの間中、重富さんと田中塾長は用意された椅子には目もくれず、ずっと立ったままで熱いトークを繰り広げました。
二人のトークショーの最後には、フリーランスマルシェに出店協力いただいた「小島屋」「EAT UP MANIA」「ルポン企画」の出店者が紹介されました。
「小島屋」の小島 靖久さんは、上野アメ横に実店舗を構えるナッツ・ドライフルーツ専門店の三代目店主です。フェス限定のミックスナッツ「重富&田中ミックス」と「幻のスペシャルソフトナッツ」を用意して、マルシェに出店してくれました。
「EAT UP MANIA」の鈴木 亮さんは、湘南地域を中心に出店をするチキンステーキをメインとするキッチンカーの店主です。フェス会場となった東京の麹町までキッチンカーを走らせて、マルシェに出店してくれました。
「ルポン企画」の梶塚 謙さんと吉田 成彦さんは、群馬県太田市を中心にキッチンカーで日本三大焼きそばのひとつ「上州太田焼きそば」をメインに提供されています。フェスでは、キッチンカーではなく、その場で焼きそばを焼くスタイルでマルシェに出店してくれました。そして、なんと「上州太田焼きそば」と「冷やしパイン」を無料!で提供してくれたのです。
フリーランスフェスは、フリーランス塾生以外の方ともコラボしての開催したのです。
フリーランスマルシェ
フェスでは、トークショーと並んでのプログラムとして、フリーランスマルシェを開催しました。フリーランスマルシェは、フリーランス塾生および先に紹介した出店協力者の方がフェスという名にふさわしいにぎわいをつくってくれました。
マルシェの目玉は、なんといってもビールスタンド重富です。提供されるビールの種類は1種類でも注ぎ方は6種類。会場にいるのは、さきほどのトークショーでビールへの期待が高まったお客様。
重富さんが長い年月をかけて探求した注ぎ方の味を求めて、ビールスタンド重富には長い長い行列ができました。長い行列ができることはもちろん想定済。ワタシたちは整理券方式により、お客様がマルシェを巡回したり飲食したりできる時間がとれる工夫をしました。
フリーランス塾生はフリーランスマルシェに実に多彩なお店を出店しました。出店内容の詳細はこちら。
どのお店でも出店者とお客様との楽しそうな交流が行われていました。この多彩なお店が並んだことによって、フリーランス塾主催らしいフリーランスフェスになったことは間違いありません。
自分でビールを注ぐ体験
フェスでは一般チケットの他にVIPチケットを販売しました。その中でもフェス当日にスペシャルVIPな体験を満喫できるのがスペシャルVIP「自分でも注げる券」です。
15:30~16:00の30分間は「ビールスタンド重富」でのビール販売は中断。その間は、スペシャルVIP「自分でも注げる券」購入のお客様のための時間になりました。ビール販売中断にも関わらず、「ビールスタンド重富」の周囲はギャラリーで埋め尽くされました。
この時間帯の主役は、燦々と輝く金色のスペシャルVIPバッジをつけた「自分でも注げる券」を購入したお客様たち。ちなみにVIPバッジのデザインはフリーランス塾生の手によるものです。
マイクを持った重富さんからの解説を聞いて、まずはスイングカランのひねり方の体験から。続いては、重富さんが解説を交えながら、注ぐ時に傾けるコップの角度、注ぎ始めるタイミング、注ぎを止めるタイミングの見本を見せてくれます。体験者の皆さんは、一人ずつ交代しながらビール注ぎへの階段をステップ・バイ・ステップで登ってゆきました。
重富さんは、時には手を差し伸べて体験者のビール注ぎを細やかにサポートしたかと思えば、「まだまだ、まだまだ、今だ」と容赦なく厳しい一面を見せたりもしました。
ビール注ぎを体験されたお客様のお一人にお話を伺いました。きっと大のビール好きに違いないと思いきや、意外なことに普段はビールは一杯程度しか飲まないそうです。が、「重富さんのビールなら何倍でも飲めます」と笑顔で教えてくれました。実際に自分で注いでみたビールのお味やいかに?
「重富さんのビールの方が美味しいです!」
まあ、そうですよね(笑)何しろ、泡きり3年、注ぎ8年とも言われる奥深いビール注ぎですから、30分やそこらでそうやすやすと美味しいビールが注げるはずがありません。
体験者の皆さんは、大勢のギャラリーが見つめる中で重富さんの手ほどきを受けながら自分でビールを注ぎ、注ぎ終えた時にはギャラリーからの拍手喝采を浴びました。
拍手喝采を浴びる体験者の皆さんのご満悦な笑顔は、自分でビールを注ぐ体験がプライスレスな体験になったことを物語っていました。
フェス会場の様子
フェスの会場では、至るところでビールを片手に笑顔が生まれていました。ビールに合わせて用意したおつまみもお楽しみいただけたようです。準備を進めながらワタシたちが思い描いていた笑顔が生まれる場の光景を見ることができました。
さて、真ん中の写真がどういうシチュエーションかおわかりになりますでしょうか?
予定時刻に突如として会場に流れる音楽。
チャンカチャンカ♪、チャンカチャンカ♪、チャンカチャンカ♪、チャンカチャンカ♪
阿波踊りの音楽に合わせて、フリーランス塾生が阿波踊りを踊り出しました。何がおこったのかとポカンとするお客様をよそに、にわか練習の阿波踊りを踊り続ける塾生。そして、1分ほど後に音楽が止まると、何ごともなかったかのように塾生はそれぞれの持ち場へと戻ってゆきました。
これは会場を盛り上げようというサプライズ企画のフラッシュ阿波おどりでした。お客様にもきっと楽しんでいただけたと思いますが、一番楽しんだのは踊った塾生だったと思います。
フリーランスフェス2024のB-side
なにごとも表から見えるA-Sideとは別のB-Sideがあります。そして、B-SideにはA-Sideとはまた違ったオモシロさが潜んでいます。ここからは、フリーランスフェス2024のB-Sideレポートをお届けします。
企画から準備まで
フリーランスフェスの企画はどのように始まったと思いますか?
どんな人を対象にどんな目的でイベントをやろうかとガッツリ議論をして、そのイベントにふさわしいゲストとして重富さんにお呼びした。
なんていうわけではなく。。。
田中塾長の
「9月7日(土)に重富さんを1日おさえたから、フリーランス塾でイベントをやろう!」
という勢いのあるかけ声から始まりました。ですから、重富さんありきで企画をつめていったのです。まるで演劇や映画の脚本でいうところの当て書きのように。
商売について学ぶフリーランス塾が主催するイベントですから、赤字を出さないことは大きな目標でした。そのために必要だったのがプライシングの設計です。塾生にとっては、フリーランスフェスはプライシングの何たるかを実践的に学ぶ機会になりました。
スペシャルVIP「自分でも注げる券」は、当て書きの企画でもありプライシング戦略でもありました。
イベントで最も難しいのは、なんといっても集客です。ましてや有料イベントとなれば、たとえ人気者の重富さんがゲストであってもです。
魅力あるイベント企画とプライシングだけでなく、いかにしてPRするかも集客を大きく左右します。PRについてフリーランス塾生にアドバイスをくれたのが、知る人ぞ知るスゴ腕書籍PR/非効率家の黒田剛さんです。
黒田さんからのアドバイスを受けて、それぞれの塾生がPR活動を行った結果、一般チケットは完売になりました。いくつかのVIPチケットも売り切れました。
なぜ、フリーランス塾生は黒田さんからアドバイスをもらうことができたのか?それは、黒田さんがフリーランス塾の顧問だからです。ちなみに重富さんもフリーランス塾の顧問です。フリーランス塾は顧問の層も厚いのです!
開場前の準備
長い時間をかけてオンラインで準備を積み重ねてきたフェス当日、会場に集まったフリーランス塾生には、フェスの開催以外にも特別な思いがこみあげました。それは、塾生同士が、初めて、または久しぶりに対面で会う機会でもあったからです。
開場前準備作業に入る前に、フリーランスフェスという場を共につくりあげる仲間がズラリと円陣になって並びました。こういう時はまず全員集合して、気持ちをひとつにしてから作業を始めるものだからです。
とカッコよく言いたいところですが、実際には、作業を始めてしばらく後に円陣を組みました。果たして、その深い理由とは?
ありていに言うと、田中塾長が集合時間に現れなかったからです(笑)
けれども、そのことにあたふたする塾生は誰一人としていませんでした。トークショーに間に合うように現れるだろうという確信があり、準備に塾長がいなくて困ることは何ひとつなかったからです。遅れてきた田中塾長に合わせて円陣を組んだ後は、それぞれの持場に分かれて、お客様を迎える準備をテキパキと進めました。
ビールスタンド重富も開店に向けて着々と準備が進められました。スイングカランをセットする重富さんの後方では、チーム重富のメンバーがこの日会場に納品されたオリジナルグラスを丁寧に洗浄しました。
開店準備が整った重富さんは、「n’s wire art」のお店を訪れ、ビールのピンバッチを購入してエプロンにつけることも怠りませんでした。
祭りの後
フェスが終わった5日後に運営スタッフがオンライン上に集まって振り返りのミーティングを行いました。ワタシたちにとって振り返りは当日の運営と同じくらいに大切なものでした。
振り返りでは、良かったこと、良くなかったこと、成長したことを一人ずつ話して全員にシェアしました。 それぞれのフェスでの活躍ぶりを思い出しながら、 そこにはそれぞれの成長物語があったんだなぁとしみじみと耳を傾けました。
振り返りの最後は、もちろん田中塾長からのコメントです。しみじみした雰囲気の中で、田中塾長からも感動的なコメントがあるかと思いきや、そこで発せられたのはハッとするような内容でした。
「良くなかったこともあったよね、もし次にやることがあったらそこは改善しようね」
と思っていたワタシたちは頭をガツンを殴られたような気分でした。
振り返り会では、
「ここが良かったよね、こんなに成長したよね、またオモシロイことをやろうね」
と勢いだけをつければよかったのです。
振り返り会の話はここで終わりません。最後に田中塾長から衝撃的な告白がありました。なんとこのフリーランスフェスでのとある光景は、田中塾長の50年越しの夢だったと言うのです。50年ですよ、50年!
「いやぁー長かった。ここまで。こういうのをやりたかったんだよ俺は」
画面上で満面の笑みを浮かべる田中塾長の顔を見て、フリーランスフェスをやってホントに良かったなあと誰もが思いました。
おわりに
さて、目標に掲げていたイベントの黒字化は果たせたと思いますか?
答えはYESです!
フリーランスフェスにとって黒字化の意味はとてつもなく大きいのです。スタッフはみんな、準備から当日まで楽しみました。楽しんだけれど、結果は赤字でしたではダメなのです。
田中塾長は常々、塾生に言っています。
フリーランスフェスでお客様のための工夫を楽しんで、なおかつお金を稼ぐ体験をすること。それがワタシたちには必要でした。それぞれの塾生が自分の商売において何かあった時に立ち戻る経験になるために。