読書記録📚うみべのストーブ
前回の読書記録に「帯で本を選ぶ」と書いたが、まさにうみべのストーブは黄緑の帯に惹かれて購入を決めた本。わたしのキラーワード「このマンガがすごい!」と「本屋大賞ノミネート」の2つ。この文字が見えたら、まずは手に取ってみるように知らずになっている。太鼓判を押している作品ですよ、間違いないですよ、って言ってもらえてるようで安心して読めている。(もちろん読み進めていて自分の好みではない、今の自分が読みたいものじゃないなっていうものもあります。)
読書するときに、今の自分にフィットした世界観に入り込みたいという気持ちが強くて、自分と近い世界にいる主人公と気持ちを同じになることを求めている。だから、最近はお仕事ものや食べ物、旅行や夫婦の話が多い。昔はバリバリの恋愛もの大好きだったのに変わったんだなとしみじみする。心が枯れているときにキュンキュン系を求めて読んでみるけれど、心臓がちくちくして読み進められなくなるから、おもしろいなあ、落ち着いたなあと、またしみじみする。
#うみべのストーブ 大白小蟹短編集
#大白小蟹
#リイド社
わたしと相方さんは結婚して3年目を迎える。彼は優しすぎて、相手に合わせる天才、そして自分のことを話すのが苦手で言葉数が少ない。彼の少ない言葉から本当の気持ちを読み取ることがものすごく難しくて、わたしはいつも頭を悩ませる。わたしに合わてくれちゃうものだから、彼の本当の気持ちが見えなくことがあって、Aと言ってるけど本当はB なんじゃないのか、と裏の裏の、そのまた裏を考えて疲れることがある。
何に対してありがとう?君は普段からそんなこと言わないから何がありがとうかわからない。
わたしといてもいつも黙ってんじゃん。
スミオは私といて楽しい?
わたしが1でスミオが1でふたり足して2かそれ以上になりたかった
でもふたりでいるときみはゼロでわたしはどんどん減ってずっと苦しかった
だから別れよう
わたしが彼に伝えたかった、ずっと胸につっかかってたモヤモヤの表現に出会えた。このページを忘れないように10回以上読み返して自分に置き換えた。一緒にいるのに孤独なんだよってことを伝えたかったんだ。目の前の白いもやがすーっと晴れていく。彼に対する黒い気持ちがなくなっていく。
代弁してくれてありがとうって、また本を読んで思えた。
妊娠したけど自分の体じゃなくなることが許せない整体師さん、雪女と夏の花火を見に行く約束をする運送業の女性、お守りみたいな存在の友達を急に亡くしてしまった女性、旦那さんが急に透明人間になってしまって存在のありがたみを抱きしめ合いながら確かめる奥さん、友だちの才能に嫉妬しながらも自分のペースで前に進む会社員。
主人公がみんな女性なのが読みやすかったのかもしれない。納得と同意、そして女性独特の悔しさと悲しさ。わたしが女性だからだけど、全ての作品の、どこか一部分にわたしがいた、間違いなく。こんな風に思ってもいいんだって背中を押してくれる言葉にたくさん出会えた。
仕事も妊活も夫婦関係も、忙しない日常の中で、全てに同じ力を注ぐのは難しい。だからこそ、こんな日常をほんの少しだけスピードを落として歩いてみれば、きらきら光っているなにかが見つけられるかもしれない。そう思わせてくれる、大切で不思議と前を向かせてくれる魔法のマンガ。きっとまた読み返す、女性として壁にぶつかったときに。