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英語を問題なく話せる私が、オランダ語学習に対してどう思っているか

こんにちは!

今日は少し教育から離れて、言語について書きたいと思います。
オランダに住んで3年目に突入した私がオランダに住んで、オランダ語の重要性についてどう感じているか。についてです。


世界で最も第二言語としての英語を流暢に話す国の1つ

オランダ語という言語があるにも関わらず、オランダでは英語が問題なく通じます。無論、この国において学校で習う学習言語はオランダ語であり、多くの人々がオランダ語を日常言語として使用しています。

「オランダは多くの人たちが英語を話すから大丈夫です」

時にそんな言葉を聞くこともあるかもしれません。

確かにそれはそうで、カフェやあらゆるお店でオランダ語で話しかけられても"sorry?"と返せば、相手が自然と言語を英語に切り替えてくれる。
私には未だにそういった場面が多いですが、そういったオランダ人の器用さ(?)に何度助けられたことかわかりません。

自治体や法的な手続きに関する書類はオランダ語で届く

しかし、移住した際や、細々とした手続きに関する書類はオランダ語で届くのがこの国。今ではGoogle翻訳があるため、難しい書類に関しては英語に翻訳すれば大体のことは理解できますが、それが手間と言えば手間です。

また、英語に翻訳してもその純度は100%とは言えないこともしばしばあります。英語とドイツ語ができれば、より深く理解できるのだろうとは思いますが、英語だけではまだまだ不十分だと感じることもあります。

道路標識や、ちょっとした看板はオランダ語

また、生活する中で目にする道路標識やちょっとした看板は当然のことオランダ語で書かれています。道路標識は慣れるにせよ、街の中で目にする看板は、ある意味「その国の人々がどのように購買意欲を掻き立てるようなメッセージを使っているか」「どのような表現が用いられているのか」ということでもあるので、個人的にはどういったことが書かれているのかは気になります。(私だけかもしれませんが)

そういった生活の中で目にする「些細なこと」でも、言語が理解できるか否かで印象として感じるものは大きく異なると私は思います。「言語は文化である」というのは、つまりこういうことだと思うのです。

どこまでいっても、オランダ人にとっての英語は第二言語

私たちの子どもはいわゆるオランダの現地校に通っていますが、「オランダ語を家庭言語としない家庭」の割合は極めて少ないです。厳密に言うと、23世帯のうちオランダ語を母国語としない家庭はうちを含めて2世帯しかありません。WhatsAppで形成されるクラスグループの会話はもちろんオランダ語で、先生からくる連絡もオランダ語です。(学校によっては丁寧に二言語で送られてくる学校もあると聞きます)

送迎で校門前に立てば、保護者同士から聞こえてくる会話のほとんどはオランダ語。保護者たちは、私と話す時には英語に切り替えてくれる訳ですが、複数名で立ち話をしている保護者のグループに自分が入ることで、彼らが英語に切り替えないといけない訳で。そういったことを申し訳なく感じる私にとって、小さな心の負担は積み重なっていきます。

また、全ての保護者が流暢な英語を話す訳でもないため、私と話しをすることが億劫だと感じている保護者もいると思っています。

つまり、私は個人的に、彼らにとっての英語はどこまでいっても第二言語なのだと感じてます。もちろん「うちはそんな風に感じない」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。それはつまり、その場所、地域、コミュニティにおいて異なる言語バックグラウンドを持った人たちの割合がどれくらいかによるということなのだと思います。

オランダ語話者と話せば"英語"はフィルターだと感じる

そんなこんなで、私はオランダに暮らす人々がオランダ語で話している時と、英語に切り替えて話をしてくれている時のテンションに違いがあるのではないか、そもそも、話している内容が異なるのではないかと考えています。つまり、言語はアイデンティティなのだと。

日本語で話せば面白い冗談も、英語にしてみれば面白くなくなることは多くあります。それはつまり、韻を踏んでいるから面白かったり、語呂合わせが影響していたり、その文化独特のシニカルな笑いなどが影響しているのだと。

よって、オランダ語を話す人たちががオランダ語で話す内容には、彼らの思考や文化が乗っかった純度の高いコンテクストが存在していると思います。ここまで書いて「そりゃそうだろうよ」と自分でも感じているのですが、彼らの言語を操る器用さに、社会全体が寄りかかっている風潮も強いと思うのです。

自分はオランダを(もっと)知りたいか

とどのつまり、英語で話しているとフィルターがかかっていることを考えると、その状態で納得なのか、それとももっと純度の高い文化を吸収し、オランダ語を話す人々とコミュニケーションを取りたいと思っているのか。これがキーになるのではないでしょうか。

それを考えた時、私はやはりこの国の人たちの中に溶け込み、もっと彼らを知りたいと思っています。彼らがバス停や電車の車内などで何気なく話している内容や、お店の中で突然他人同士で始まる会話、飲食店のオーダーで笑いあっている店員とお客が何を話しているのか...そういったことを知りたいという欲求がかなり強くあります。

要するに、私は彼らと対等にコミュニケーションが取れる日本人として、彼らのコミュニティに潜入していきたいのです。

そういった欲求は誰しもがもっているものではないでしょう。よって、「オランダに住んでいるんだから絶対にオランダ語を勉強せよ!!」と言うつもりは毛頭ありません。
しかし、日本に住んでいて留学生や海外から来られた社会人の方々が「日本語を勉強しています」と言ってくれた時に「嬉しい!」と思う私は、オランダで暮らす人々にとってもそういった存在になりたいと思っています。

言語学習は一朝一夕で成り立つものではありません。ひょっとすると、ダイエットよりも難しいものなのではないかとさえ思います。しかし、そのモチベーションを失うことなく、毎日少しでも前に進めることができれば、その先には見たことのない大海原が広がっている。個人的にはそれが言語だと思っています。

ということで、これまで同様、これからも私はオランダ語学習を続け、この国でこの国の人たちのことをもっと知りたいと思っています。なんだか決意表明のようになってしまいましたが、今日もオランダ語学習をがんばります!

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🇳🇱三島菜央<現地小学校TA/ET|元高等学校教諭>
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