10月5日に先生たちはストライキを決行します
こんにちは!先週、日本から来られた11名の方々とのオランダ学校視察ツアーが終了しました。8日間、オランダを歩いて、観察して、学校を見て、たくさんリフレクションをした日々が終わりました!参加者の皆さんはもうそれぞれの場所に戻って、オランダでの学びをどう活かせるかということを考えながら生活されているようです!
10月5日にストライキが決行されることが決まりました
一方で、オランダの教員不足は深刻化し、6月頃に報道された通り、10月5日にストライキが決行されることが決まりました。ストライキを行うのは、初等教育と中等教育機関です。今恐らく、それぞれの学校でどれくらいの人たちがストライキを行うつもりか…つまりその日の教育活動を行わないつもりかということを聞いていると思います。その数によっては、学校を開ける判断を下すところも出てくるでしょう。
そもそも、何のためのストライキか?ということですが、要となっているのはインフレに伴う教職員の賃金アップです。
つまり、オランダの社会で働く一般労働者はインフレに伴う賃金の上昇が見られるにも関わらず、教師たちはそれらを享受することが出来ていないという見解です。
教員不足はより深刻に
オランダの学校の教員不足はとても深刻化しています。特に都市部では顕著で、LinkedInなどを見ていると「先生を探しています」という投稿が多く散見されます。それくらいどの学校も先生を探しているということなのでしょう。
政府はこの教員不足解消のために色々手を尽くしてはいますが、その効果は現場が「助かった!」と声を上げられるほどの効果を得ていないことも事実かもしれません。一方で、この教員不足はオランダだけの話ではなく、世界各国で同時に起きている問題でもあります。それぞれの国が、時に他国から学びながら、それぞれの国に適した方法を見つけ出していくしかないのかもしれません。
2021年にオランダの教員不足について記事を書きました。ご興味がある方はお読みください。
勤務先からのレター
かくいう私も、現地校に勤務している1人の教員です。フルタイムではないにせよ、授業を受け持っている人間として、「教員が足りない!」というメッセージのやり取りを日常的に目にしています。
昨日はこのストライキの決行について、勤務先から連絡がきました。その内容を紹介します。
つまり、私の所属する教育団体(日本で言うところの学校法人のようなもの)は、今回のストライキに参加する人には給与を支払わないということを決めたようです。一方で、レターにもある通り、ストライキを行うことは個人の自由であり、尊重される行動であるとも明記されています。労働組合に所属している教職員に関しては、組合から給与補填がされるため、給与が支払われないということはないということです。
ただ、教育団体としてはこの日に学校を開けるのかどうかの判断を下すために、どれだけの人数の教員がストライキを決行するつもりなのかを知る必要があります。それは「ストライキに行かないで欲しいな〜」という意味ではなく、現実的な判断をするために必要な情報であるということです。
無関心がもたらす功罪
この日は私は勤務日ではないので、実質給与に影響することはありません。また、デモ行為も予定されていないそうです。ただ、今後どのような動きになるかはわからないので、もしデモがあるようであれば参加してみようかなと思っています。
保護者や教育現場の外の人たちからは見えないものですが、実際のところ教職員が病欠や家族の事故や怪我によって欠勤した時、教職員の連絡網はかなり活発になります。
「私があっちのクラスに行くね!」とか「その予定ではちょっと2つのクラスは見られない」とか「その時間は空いている先生を見つけるのは難しそう」とか、本当に調整が難しくなることが多いのです。
そういった様子や事態を、教職員が社会に伝えるためにもストライキを決行することは意味がある行為であると私は思います。そうでなければ、「学校は問題なく回っている」と保護者が、社会が判断しかねません。そしてそこで生まれた「無関心」が巡り巡って我が子の教育に影響するということが想像できなければ、それは「無関心の功罪」となって、社会を誤った方向へと導きかねないと考えます。
「声をあげること」をやめない先生たちの行動を私は支持したいと思います。
…とはいえ、ストはない方がいい
とはいえ、教育現場でストライキが行われない方が良いのは事実です。このストは結果的に行われることになったのですが、実はちゃんと日時を考慮して行なっています。年度はじめとなる9月に行うと、教師や児童生徒にとっても不利益となってしまうため、組合は10月に決行することにしたのです。
残念ながらストが行われるという結果になってしまいましたが、本来であれば潤沢な予算が教職員の給与として確保され、それに納得するかたちで教職員が満足して働ける社会が理想です。しかし、あらゆる社会情勢の影響を受けて、教員不足を一つの発端としてオランダという国の教育は脅かされている部分があります。それはただ「先生が足りない」という事実から、十分なケアができないことによって学力低下にも繋がっていきます。
ストが行われて一時的な不利益を被ることは避けられませんが、ここからどう学び、次の政策などにつなげていくのか。これからもこの社会の進みを見続けていきたいところです。
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