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10月5日に先生たちはストライキを決行します

こんにちは!先週、日本から来られた11名の方々とのオランダ学校視察ツアーが終了しました。8日間、オランダを歩いて、観察して、学校を見て、たくさんリフレクションをした日々が終わりました!参加者の皆さんはもうそれぞれの場所に戻って、オランダでの学びをどう活かせるかということを考えながら生活されているようです!

10月5日にストライキが決行されることが決まりました

一方で、オランダの教員不足は深刻化し、6月頃に報道された通り、10月5日にストライキが決行されることが決まりました。ストライキを行うのは、初等教育と中等教育機関です。今恐らく、それぞれの学校でどれくらいの人たちがストライキを行うつもりか…つまりその日の教育活動を行わないつもりかということを聞いていると思います。その数によっては、学校を開ける判断を下すところも出てくるでしょう。

そもそも、何のためのストライキか?ということですが、要となっているのはインフレに伴う教職員の賃金アップです。

労働組合は教師に少なくとも12%の賃上げを求めているが、政府は最大5%の賃上げを提示している。 「私たちの周りでは、あらゆる分野ではるかに高度な労働協約(教師に比べて高待遇の労働協定)を締結しているのが見られます。 教師不足が存在する中、インフレ是正がないことを私たちは受け入れるつもりはありません。 私たち教師は「待遇が今以上に改善されるつもりはない。教師にできることは"(インフレにより)買い物がしづらい"という事実を受け入れるだけだ"と言われます。 教師や校長などにこのテーマを取り上げてもらうにはどうすればよいのでしょうか?」 AOb理事会メンバーのThijs Roovers氏は言う。

https://www.telegraaf.nl/nieuws/540962264/landelijke-staking-basisscholen-en-middelbare-scholen-op-5-oktober

つまり、オランダの社会で働く一般労働者はインフレに伴う賃金の上昇が見られるにも関わらず、教師たちはそれらを享受することが出来ていないという見解です。

教員不足はより深刻に

オランダの学校の教員不足はとても深刻化しています。特に都市部では顕著で、LinkedInなどを見ていると「先生を探しています」という投稿が多く散見されます。それくらいどの学校も先生を探しているということなのでしょう。

政府はこの教員不足解消のために色々手を尽くしてはいますが、その効果は現場が「助かった!」と声を上げられるほどの効果を得ていないことも事実かもしれません。一方で、この教員不足はオランダだけの話ではなく、世界各国で同時に起きている問題でもあります。それぞれの国が、時に他国から学びながら、それぞれの国に適した方法を見つけ出していくしかないのかもしれません。

2021年にオランダの教員不足について記事を書きました。ご興味がある方はお読みください。

勤務先からのレター

かくいう私も、現地校に勤務している1人の教員です。フルタイムではないにせよ、授業を受け持っている人間として、「教員が足りない!」というメッセージのやり取りを日常的に目にしています。

昨日はこのストライキの決行について、勤務先から連絡がきました。その内容を紹介します。

親愛なる同僚の皆さんへ、
合同教育組合は、2023年10月5日の"教師の日"に初等中等教育における全国的な学校ストライキを呼びかけています。現在、初等教育において新たな労働協約が再度議論されていて、 これには賃金がどれだけ上がるかについて合意することが含まれます。 政府は現在、約5%の賃上げを提示していますが、労働組合はインフレによって、より給与の高い企業への教師の流出を阻止するには、現在の給与は少な過ぎると主張しています。彼らは、公正かつ公平な賃金と、仕事量の軽減のために、追加の資金を求めています。

教職員として、あなたにはストライキをする権利があります。 それぞれ個人的な意見を持っていることは事実ですが、希望する人はぜひ参加してください。 ストライキを選択した学校職員の数に応じて、学校が開校するか閉校のになるかがを決定する予定です。
私自身はストライキを行うという選択を心から支持していますが、今回はストライキを行った従業員には給与を支払わないという経営判断を下しました。 私たちが財団として受け取る資金は教育を目的としたものであり、私の個人的な考えとしては、これには教育ストライキへの資金提供は含まれていません。 GMRと協議して、源泉徴収された給与の全額を教育目的に使用するかどうかを決定します。 これはすべての学校の利益のために財団レベルで決定されることになります。
ストライキ権を行使した従業員には、前述したように、報酬を含む給与は支払われません。 ただし、AOb、FNV、または CNVの組合員は、源泉徴収された給与を補うためにストライキ基金から手当を受け取ることができます (所属する組合の Web サイトを参照してください)。これは明らかに、10月5日が正式な勤務日である同僚にのみ適用されます。 控除額の詳細については、添付資料を参照してください。
ストライキに参加したくない人が、同僚のストライキ参加のために余分な授業をしたり、通常業務をしたりすることができないことが起こることは避けられません。その場合、ストライキに参加しない教職員が、それらの業務を引き受けることになります。 これらのストライキに参加しない従業員の給与は引き続き通常通り支払われます。 学校が10月5日に閉鎖されるかどうかを判断するため、また給与計算のために、誰がストライキの権利を行使しているかをできるだけ早く知ることが重要となります。 したがって、10月5日(木)が通常の勤務日である教職員には、遅くとも9月8日(金)までにストライキを行うかどうかをそれぞれの校長に知らせてください。 固定の場所を持たない教師は、それぞれの担当者にメールをしてください。

以上、よろしくお願いします。質問があればいつでも電話、またはメールで問い合わせください。

つまり、私の所属する教育団体(日本で言うところの学校法人のようなもの)は、今回のストライキに参加する人には給与を支払わないということを決めたようです。一方で、レターにもある通り、ストライキを行うことは個人の自由であり、尊重される行動であるとも明記されています。労働組合に所属している教職員に関しては、組合から給与補填がされるため、給与が支払われないということはないということです。

ただ、教育団体としてはこの日に学校を開けるのかどうかの判断を下すために、どれだけの人数の教員がストライキを決行するつもりなのかを知る必要があります。それは「ストライキに行かないで欲しいな〜」という意味ではなく、現実的な判断をするために必要な情報であるということです。

無関心がもたらす功罪

この日は私は勤務日ではないので、実質給与に影響することはありません。また、デモ行為も予定されていないそうです。ただ、今後どのような動きになるかはわからないので、もしデモがあるようであれば参加してみようかなと思っています。

保護者や教育現場の外の人たちからは見えないものですが、実際のところ教職員が病欠や家族の事故や怪我によって欠勤した時、教職員の連絡網はかなり活発になります。

「私があっちのクラスに行くね!」とか「その予定ではちょっと2つのクラスは見られない」とか「その時間は空いている先生を見つけるのは難しそう」とか、本当に調整が難しくなることが多いのです。

そういった様子や事態を、教職員が社会に伝えるためにもストライキを決行することは意味がある行為であると私は思います。そうでなければ、「学校は問題なく回っている」と保護者が、社会が判断しかねません。そしてそこで生まれた「無関心」が巡り巡って我が子の教育に影響するということが想像できなければ、それは「無関心の功罪」となって、社会を誤った方向へと導きかねないと考えます。

「声をあげること」をやめない先生たちの行動を私は支持したいと思います。

…とはいえ、ストはない方がいい

とはいえ、教育現場でストライキが行われない方が良いのは事実です。このストは結果的に行われることになったのですが、実はちゃんと日時を考慮して行なっています。年度はじめとなる9月に行うと、教師や児童生徒にとっても不利益となってしまうため、組合は10月に決行することにしたのです。

残念ながらストが行われるという結果になってしまいましたが、本来であれば潤沢な予算が教職員の給与として確保され、それに納得するかたちで教職員が満足して働ける社会が理想です。しかし、あらゆる社会情勢の影響を受けて、教員不足を一つの発端としてオランダという国の教育は脅かされている部分があります。それはただ「先生が足りない」という事実から、十分なケアができないことによって学力低下にも繋がっていきます。

ストが行われて一時的な不利益を被ることは避けられませんが、ここからどう学び、次の政策などにつなげていくのか。これからもこの社会の進みを見続けていきたいところです。

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