🇯🇵高校生のプロジェクトのお手伝いをして、日本の高校生に希望を感じた

こんにちは！先日、東京都の私立高校に在籍する3名の高校生から、彼女たちが取り組んでいるプロジェクトを「インタビュー」というかたちで手伝ってもらえないか？という連絡がinstagram経由で届きました。

そして、元高校教諭としてはもちろんよろこんで協力させてもらいました。日本の高校生、たいしたもんです。こうやって外の世界に自分たちでアプローチできる高校生の背中をしっかりと押したい。そう思います。

「こんな人がいるよ」と先生が教えてくれました

「どうやって私を見つけたの？」と聞くと、「先生が"こんな人がいるよ"と教えてくれたんです」とのこと。おぉ、先生、ありがとうございます。私としては結構久しぶりに日本の高校生と話をしたのですが、やっぱり高校生いいな〜と思いました。一気に学校に戻りたくなりました。笑

私も日本の教育現場が嫌になって日本を離れた訳ではないので…日本で高校教諭として勤務していた頃、本当に「明日仕事嫌やな〜」と思ったことは一度としてありませんでした。私と夫の義則にとって天職とも言えた「高校教員」という仕事。1つ、どうしても譲れない問題があったとすれば「教育者なのに自分の家族を十分に大切にできない暮らし」でした。私たちは教員であることよりも、"自分たちが思い描く"「親」や「家族」をまっとうする生活を選びました。

さて…少し話がずれましたが、「こんな人がいるよ」と先生が教えてくれたとて、なかなかそこからSNS経由でその人に連絡をして、実際にインタビューを取り付けるなんていうのは、高校生の中でも「想いを行動に移せる生徒」しかできません。そのハードルを超えてきた3人の高校生を見て、とても輝いて見えるし、希望だな、と思いました。

オランダや北欧の英語教育について知りたい

どうやら彼女たちのプロジェクトは「オランダや北欧を含む国々の英語教育」に関するもので、「オランダの英語教育」にまつわる色々をお話ししました。私は今、オランダの小学校の中でも少し特殊な、公立のバイリンガル小学校の英語教育に携わっています。そこで、どのようにしてバイリンガル教育が展開されているかについて、オランダという国の歴史的背景なんかも交えながら「何故、オランダは世界一英語が流暢な国になったのか」を事実的側面、経験的側面から話しました。

予め送られてきた質問に答え終わった頃、彼女たちからは次々と質問が出てきます。すごく素敵な姿勢だなと思いました。人からの回答を得て、頭を働かせなければ、追って質問は出てきません。

私が何を話したのかを聞いて、頭の中で整理して、「じゃあ、これはどうなんだろう？」という疑問を膨らませて、その人の話を深掘っていく。そんな風に質問されると、質問される側としても喜んで質問に答えようと思います。彼女たちは限られた時間でたくさんメモを取り「できる限りたくさんのことを持ち帰るんだ」と思って話を聞いてくれていることがこちらにも伝わってきました。

社会課題を「自分で解決できる」という高校生を育てる

「日本の英語教育がより良く発展するためには、オランダにお住まいの視点からどうすれば良いと思われますか？」

外国人教員からオールイングリッシュの授業を受けたり、英語で哲学対話をするような機会があるという彼女たち。日本の英語教育を1つの社会課題と捉え、それにどうアプローチすれば良いか…ということに対しての方法を探っているところです。

高校生が「社会課題」を考える時、彼ら/彼女たちが「その社会課題へのアプローチを(自分ではなく)他の誰か(大人)が解決するとすればこうだ」という視点で考えることがあります。つまり、

「社会課題へのアプローチ方法を見つけた！きっと(誰か大人が)こうすれば良いんだ！」

とアプローチを見つけるのです。…が、私は「高校生」にこそ、社会課題を解決する当事者になれる可能性がかなーりあると思っています。「誰かに頼らないと社会は変えられない」のではなく「私たちの行動で社会に変化を加えられる」と思う高校生や若者の考え方は、開口一番に「それは難しい」と口走る、凝り固まった大人のそれとは異なるはずです。笑

個人的には「インターナショナルスクールと公教育が手を取り合ってノウハウを共有する」ということを1つの可能性として提案しました。これは、オランダがバイリンガル教育を成功させる過程に採用した1つの方法です。既得権益や派閥のようなこだわりを捨てて「社会の益となること」に取り組むために、垣根を越える。この考え方が社会を底上げする時に大きく役立ちます。

そして、ある程度英語が話せる彼女たちなら、他のインターナショナルスクールの高校生と交流して、自分たちの社会課題を同年代と共有することもできます。きっと、同じようなことを考えている高校生は学外にもいると思うのです。

その繋がりから公教育の小学校へと足を運んで授業をしてみたり、社会課題に実際に取り組んでみることで見えてくる景色もあるかもしれません。「これまでそんなことした人はいない」という枠を越えて、社会課題にアプローチする。私たち大人はそれを見守る、ルートを作ることで、高校生が「社会課題は自分たちの手で解決できる(かもしれない)」という成長の一助となることができます。

社会課題は解決されていないからこそ課題としてそこにある訳なので、「今まで誰もやったことのないこと」を積極的に取り組むための勢いや、時に突拍子もない考えが求められます。それは時に「若さ」だったりすると思うのです。彼女たちなら、現実的なアプローチを担ってくれるんじゃないかなと思いました。

高校生のlearn by doingをあたたかく見守れる大人が必要

繰り返しになりますが、高校生、やっぱり希望に満ち溢れてるな〜と思いました。もちろん私が話をしたのは、とても一部の高校生ですが、ゼロではなく、「そういう高校生がいる」ということが希望だと思います。

私たちにできることは、彼ら/彼女たちの挑戦を否定しないこと。助言をして導くこと。時に失敗させること。でも、失敗は成長のために欠かせない要素だから、肯定的に捉えることができると伝えること。そして、また次のステップで生まれた挑戦を否定しないこと。

日本の教育界隈、暗い話も多いですが、人間は実際のところネガティブな要素に引っ張られるので、そういう情報を俯瞰して捉え直す必要もあると思います。

オランダの教育もそうなのですが、教育現場にいる教職員と、それを外から見ている人が語る教育の温度差や感覚の違いって結構大きいし、見えている景色が違うなと思うことも多いです。外野が知った感じで色々言うのは勝手なのですが、本当に起きていること、本当に教育に携わっている人たちが泥臭い毎日の中で感じたり、思ったりしていることって、実は希望に溢れていたりする部分もあります。（悲観的に語りたい教育者もいますが。笑）

今日は久しぶりに高校生と対話をして、自分が何故「先生」という職業にやりがいを感じるのかを再確認できた気がしました。この感情や感覚はきっと、実際に学校という場所で彼ら/彼女たちと関わる人にしかわからない、とても人間臭い、でもだからこそ何にも変えられない、未来を作る人たちとの関わりの中にある希望に触れる瞬間の積み重ねのことなのだと思いました。

あぁ、日本の学校に戻りたいなぁ。（私たちはまだ修行編…）