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日々の記録 

 今日は天気がよいので、両親のお墓参りへ行ってきた。今月は母の一周忌。月末にまた行くので、お供えする花は定番の萎れにくい菊ではなく、白いガーベラと黄色いバラの花を持っていった。水色の空の下、風にそよぐ白や黄色の花たち。お墓らしからぬ爽やかさを感じながらお線香をあげる。
「私は幸せだから心配しないで。ふたりあの世で仲良く暮らしてね」
と、いつものように目を閉じる。
 お墓の近所にある、もう誰もいない実家には寄らずに帰った。そこには、まだ二人の息吹が残っているようで、閉じかけた淋しい思いが漏れだしてきそうで行く勇気がない。今月末には実家の空気の入れ替えと掃除をしにいかなくては。こんな時、兄妹がいればよかったと思いもするけど、ひとりだから気兼ねせず随分早めの一周忌の法要もできたのだ。丈夫に生んでくれただけでも、充分感謝しなくては。


 家に戻る途中、昼食のメニューを考えた。昨日作って余ったミートソースを茹でたじゃがいもにかけ、チーズをのせてオーブントースターで焼こう。豆腐が冷蔵庫にあったから、生姜と長ネギをたっぷりかけた冷奴も食べよう。夕飯は鳥もも肉を小さく切り、ネギと一緒に串刺しにして塩胡椒をふって焼き鳥を作ろう。あと、これまた冷蔵庫に眠る茄子を焼いて、醤油で食べよう。そういえばキムチもあるじゃないの。塩味、醤油味、そして辛いキムチと食欲が進む取り合わせに、幸せホルモンが溢れてくる。帰る家があって、食べるものがあって、午後からは楽しみにしているオンラインの読書会もある。
 

 
 オンラインの読書会の課題本は「ヘミングウェイの「老人と海」だ。
 年老いた漁師サンチャゴは、年下の漁師たちからは終わった人と見られていた。彼に懐いていた少年マノーリンも親から他の船に乗るよう命令され、サンチャゴはひとり小舟で海へ向かう。八十五日ぶりにかかった魚は想像を絶する巨大なカジキマグロだった。たったひとりで四日間にもわたる死闘の末仕留めるが、船に乗り切らず海の中を引きずっていたカジキマグロをサメが襲う。時間軸に沿って海や魚など自然の描写、サンチャゴや彼を慕うマノーリンの心理が丁寧に描かれていて面白い。
 六名の参加者それぞれが、本を読んで心に残ったことが違うのが興味深かった。わりと硬派な読書会で背伸びしながら参加するのも刺激的だ。



 なんて良い休日だっただろう。行きたかったお墓参りにも行けて、美味しい昼食をいただけた。そして趣味の読書会にも参加できた。いつか主人の介護が始まったり、自分の体調が悪くなったり、予想出来ないことが降りかかってくるかもしれない。そんな時、些細な幸せを甘受できた日々(まさに今!)を杖にして生きて行くのだろう。それまで、たくさんの幸せを見つけていこうと思う。
 とりあえず、明日の食事のメニューを考えながら、幸せホルモンを作り出す私がいる。






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