【C向けサービスのPMF達成ステップ】⑤PMFを示す
ベンチャーキャピタルW fundの佐藤です。
スタートアップやメガベンチャーでPM・事業企画の経験を経て、現在シードアーリーステージの主にBtoC/BtoBtoCサービスを中心に投資活動をしています。
今回から5回に渡り、日々創業期〜シリーズAのスタートアップの皆さんと話す中で中心的なトピックとなるPMFについてその達成のステップを整理していきたいと思います。
皆さんご存知の通り、PMFは事業成長やシリーズA以降の資金調達の必須要素になりますのでプロダクト開発/運営中の皆さんのヒントになれば幸いです!
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シリーズ第1回目となりますが、目指す姿からお話しした方が分かりやすいと思い今回は「ステップ⑤PMFを示す」を紹介したいと思います。
1. PMF(プロダクトマーケットフィット)とは
まず、PMFについて簡単におさらいです。
PMFについては多くの記事や書籍で語られており人により様々な定義がありますが、今回のシリーズではMarc Andreessenさんの定義に基づき話していきたいと思います。
PMFした状態に至ると、上記定義の通りユーザーはプロダクトをすぐに購入し、アクセス過多でサーバーが落ちたり、機能追加やサポートの要望で手に負えなくなったり、採用しないと顧客の要望に対応できない、という状態になります。Twitch創業者は"PMFまでは巨大な岩を押しながら山を登る感覚、そしてPMFで頂上に着くと山から勢いよく落ちる岩を追いかける感覚"だと表現しています。
スタートアップが失敗する大きな理由が「マーケットニーズを捉えられなかったこと」によることもあり、Benchmark CapitalのAndy Rachleffさんはスタートアップが成長出来るかどうかは「プロダクトマーケットフィットに至るかどうかのみが重要。」と言います。
2. PMFを示すための4つの観点
それでは、「口コミでアプリをDLするユーザーが出てきた」「月次500万円の売上を作れた」状態になればPMFを達成したと社内外に示せる状態でしょうか?
個人的にはそれだけの情報では判断出来ないと考えています。このnoteでは「PMFした状態」を要素分解し、達成できている状態をよりわかりやすい言葉にしていきたいと思います。
「PMFを示すための4つの観点」
Marc Andreessenさんの定義に立ち戻りますと、この言葉には「良いマーケット」、「顧客のニーズ」、「満足させるプロダクト」、「提供できること」の4つの観点が含まれているかと思います。
今回のシリーズでは、この4つの観点から「PMFした状態」と「その達成の道筋」を整理していきます。
各観点の詳細については残り4回のnoteでそれぞれ説明していきますので、このnoteでは概要のみ紹介します。PMFを示すためには各観点で以下のような状態に至っていることを定性・定量的に説明出来る必要があると考えます。
①「Market:良いマーケット」(詳細はこちらのnoteにて)
Benchmark CapitalのAndy Rachleffさんが上記表現をするように、スタートアップにとって「どこで戦うか」、市場選定は大変重要な要素です。
スタートアップとは5~10年間で売上ゼロから数十億円~数百億円のビジネスを立ち上げることを期待されている企業の形ですので、大きな市場・急成長する市場で勝負しない限り、この時間軸、このスケールでの急成長を実現できる可能性が低いことは想像に難くないと思います。
将来収益 = 市場規模 x 市場成長率 x 市場シェア、のように表せることから、PMFに向けてMarketの観点からは以下のポイントを説明出来る必要があると考えます。
✔ 市場規模が大きく、今後も成長が見込まれているタイミングであること
✔ 既存代替手段/先行企業の存在を考慮した上で参入機会があること
②「User Need:顧客の課題」(詳細はこちらのnoteにて)
大きな市場・急成長する市場のニーズを満たすプロダクトがあることが定義そのものとなりますが、リソースの限られているシードアーリーステージでは想定市場の全顧客セグメント*の全ニーズに答えるプロダクトを開発、マーケティングすることは難しいです。
(「顧客セグメント」= 同じ解決策で解決可能な課題を持ち、同じマーケティングチャネル・メッセージでリーチ可能な集団)
大きな事業を作るにあたり直感に反するかも知れませんが初期は、課題が深く既に顕在化している超具体的な個人を見つけ、無数にある小さな課題や改善点は無視し、本質的で大きな課題の解決を目指して解決策を作っていくことが王道となります。
PMFに向けてUser Needの観点からは以下のポイントを説明出来る必要があると考えます。
✔ 初期のコアとなる顧客セグメントが説明できること
✔ 顧客の背景、代替手段、本質的な課題を当事者のように説明できること
③「Product:満足させるプロダクト」(詳細はこちらのnoteにて)
前述のポイントとも関連しますが、初期は少人数のユーザーでも良いので愛されるプロダクト作りが肝要です。"N1(一人の顧客)"の熱狂にフォーカスしプロダクトに必要な要件を磨き、ActivationやRetentionがしっかり出来ているのか、その結果満足されるプロダクトになっているのかを測っていきます。PMFに向けてProductの観点からは以下のポイントを説明出来る必要があると考えます。
✔ 既存の方法よりも10倍良くなる、実現可能な解決策がわかっていること
✔ 誰がいつなぜどのくらいどのようにプロダクトを使うのか、カスタマーサクセスが言語化できていること
④「Channel:提供できること」(詳細はこちらのnoteにて)
優れたプロダクトであっても多くのユーザーへ届けられるチャネルがなければ大きく拡大することはできません。
どのようなユーザー数xARPUの構成で売上数億~数十億円を形作るのか、どのような手法でその規模までスケールしていくのか、PMFに向けてはその道筋やエコノミクスの検証を進める必要があります。例えばバイラルで成長するモデルならバイラル係数が、広告やセールスで成長するモデルならLTVとCACの改善が、コンテンツ/SEOの場合は狙っているプラットフォームで検索上位を取れるかを検証しつつ、事業成長の兆し「トラクション」を作ることが求められます。PMFに向けてChannelの観点からは以下のポイントを説明出来る必要があると考えます。
✔ 顧客にどのチャネルでどのように訴求するかわかっていること
✔ デリバリー方法のエコノミクスが成立していること
3. PMFしているtoCサービス例
弊社W fund支援先でPMFしている「High Link」の会社紹介資料の内容を基に簡単に当てはめてみますと、以下のようにクリアに4つの観点に答えられていることがわかるかと思います。
話は変わりますが、会社紹介資料に記載の通り各ポジション募集中ですので「わくわく」した方は是非ご応募ください!
4. まとめ
今回はPMF達成に向け、PMFを示すための4つの観点について紹介しました。次回以降それぞれの観点からPMF達成の道筋をより詳細に整理していきたいと思います。
現在サービスを企画・運営中の皆さんは是非これらの観点からサービスを説明できるか考えてみてください。
次回のnoteでは、ステップ①魅力的な市場に挑戦するを整理します。
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最後までお読みいただきありがとうございました!
引き続き、起業家・PM・エンジニアの方々がベストプラクティスをシェアしていけたらと思っています!
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それでは次回のnoteでまたお会いしましょう!
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