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お肉と脂について

まだまだ勉強段階ですが、脂についてのレポートです。

「飽和脂肪酸」=「SFA」
◎エネルギーとして使われやすく、体内で合成できる脂肪酸。
◎一般に過剰摂取になりやすく、過剰摂取は健康面でデメリットあり。
◎物質として安定(炭素鎖2重結合を持たない構造)
◎肉、乳製品(牛乳、バター)卵黄、チョコレート、ココナッツ、パーム油などに多く含まれる。
(ステアリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸)

「一価不飽和脂肪酸」=「MUFA 」
◎オメガ9系脂肪酸とも呼ばれ、比較的エネルギーとして使われにくく、常温で液体の脂肪酸。
◎物質として不安定(炭素鎖2重結合を一つ持つ構造)
◎オリーブオイル、菜種油、アボカド、タラ肝油、イワシ油などに多く含まれる
(オレイン酸、ミリストレイン酸、エイコセン酸)

「多価不飽和脂肪酸」=「PUFA」
◎オメガ3系、オメガ6系脂肪酸に分類される
◎体内で合成できない必須脂肪酸を含む
◎物質として不安定(炭素鎖2重結合を一つ以上持つ構造)
◎魚油(青魚)、植物油(トウモロコシ油・大豆油・サラダ油等)、クルミ、えごまなどに多く含まれる。
(リノール酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコペンタエン酸(EPA)など)

◎脂肪酸と味
肉の脂身(白い部分)は基本的には「脂質の塊」ですが、口の温度で溶けて豊かな風味を感じる脂身もあれば、固体のまま溶けず味も淡白であったり、胃がもたれるようなギトギトした油っぽさを感じる脂身もあります。この差は何でしょうか?

これも脂肪酸の組成の違いによります。様々な種類の「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の組み合わせにより、一定温度での溶けやすさ、味、風味(香り)が形成されるため、同じように見える脂身であっても違いが出てくるのです。
人の味覚は個人差があり複雑なので一概には言えませんが、良い脂質、悪い脂質を判断する基準として、健康だけでなく食材のやわらかさ、味、風味という側面からの議論もできそうです。

上記は株式会社食環境衛生研究所様のHPから引用し一部編集させてもらってます。

私達は、今現在 鳥取県畜産試験場に協力してもらい、他府県の牛の脂の組成の数値を出してもらっています。

月齢50ヶ月の純血但馬牛のある個体を見たとき、
MUFA (一価不飽和脂肪酸)64.9%
SFA (飽和脂肪酸)32.6%
PUFA(多価不飽和脂肪酸)2.5%
という鳥取の生産者では滅多に出ない数値が出ました。
(ちなみにMUFA +SFA +PUFAの合計は100になります。)

これは血統(純但馬)の特徴なのかなとは思います。鳥取でも但馬牛にチャレンジしてくれている生産者がいるのでまた検体を出す予定です。

MUFA は高ければ高いほど良いわけではないとされていますが、59%前後がベストやら65%前後がベストやら所説あります。

SFA数値が低ければ融点が低くなるというのは確かなようで、MUFA が高ければSFAは低くなるのでMUFA が高い個体は融点も低くなる傾向があるようです。

あと獣医さんから聞いたとこ長期肥育になっていくと飽和脂肪酸を消費する傾向らしい。純但馬の肥育牛は最低でも32ヶ月以上とかなので、長期肥育と言えるのでSFAである飽和脂肪酸が低くなり、融点の低い肉照りのある表現になりやすいと言える。
実際見た目は融点が低く肉照りのあるような脂が旨そうだなぁと思う。

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ただ脂の融点も低ければ脂の酸化も早かったり、肉が溶けて使いにくかったりする。

理想とする脂は常温でゆっくり溶けて、冷蔵庫に戻すとキュッとしまるような脂が使い手からすれば一番理想的かもしれない。

確信に近づいたことは、不飽和脂肪酸で脂の融点や見た目は変わっても味に因果関係はないということ。嫌になるほどの個体をブラインドで食べてきて言えることです。

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ただ絶対的にクドくて胸焼けする食べれない脂は避けるため、これからも個体と数値は照らし合わせていくことは大事なことだと思うので日本一肉を食べ込んでいる肉屋を目指していきますし、生産者の想いを代弁できる肉屋、そしてそれをさらに料理やサービスで膨らませれる想いを共有できる飲食店と共により強い流れを作っていきたい。

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