有元葉子さんのレシピ「アジのカレーソテー」にハマりました
最近の私の愛読書(というか愛用書)に、「暮しの手帖のクイックレシピ」(暮しの手帖社)がある。
忙しい人のための簡単レシピ集で、
1.主材料は3つまで
2.かかる時間は5~20分
3.家にある基本の調味料で
この3条件にあてはまるレシピを、10人の料理家(有元葉子、大庭英子、コウケンテツ、冷水希三子、脇雅世、上田淳子、川津幸子、堤人美、前沢リカ、ワタナベマキ)が114品紹介している。
もし自分が料理研究家だったら、敬愛する「暮しの手帖」からそういう仕事が来たら大いに張り切って、一番自信あるレシピを出すだろうと思う。
じっさい、本書に紹介されているレシピはどれもこれも簡単で素晴らしい。
その中でも特にハマっているのが、写真に挙げた「アジのカレーソテー」。
ミニトマトとレタスにレモン汁とオリーブオイルと塩コショウをかけておき、その上にカレー粉と小麦粉を1:1の割合で混ぜた粉をまぶしたアジ(三枚おろし。スーパーで200円程度で買える)をフライパンで表裏こんがり焼いたものを乗っけて、上から塩(粒の大きいものが良い)をパラパラと振るだけである。
これが本当に旨い!
アジのさくさくふんわりとした食感、少量の塩なのにカレーの風味とともにしっかりと舌に感じられる刺激が、レモンのさわやかさとレタスとミニトマトのジューシーさと中和して、絶妙のハーモニーを口の中で奏でるのだ。
さすが有元葉子先生のレシピで、シンプルなのに奥が深い。これは本当に夏場にはピッタリで、先日実家に戻った際、母にこれを作ってあげたほどだ。
ネット上には、youtubeやcookpadなどで、有名無名の人々によって、さまざまなレシピが無料で公開されており、もはや料理本などなくても美味しいものができるのは確かだが、やはり信頼できる料理研究家が自分の名前と責任において、しっかりした本で紹介しているレシピには、良質なものが多いように思う。
詩人の長田弘さんは、幸福とはHappinessのことではなく、Well-beingであると「誰も気づかなかった」(みすず書房)の中で書かれているが、料理とはまさに日常をWell-beingにするためのものではないだろうか。
大急ぎで付け加えておくけれど、私はそんなに凝った料理は絶対にしない。でも、自分の好みに合うような、飛びきり旨いものを、可能な限り安い値段で、一日に一回くらいは食べたい。ただそれだけである。