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英語史って面白い?
英語史(英語の歴史)という学問分野がある。近年は、高校の英語科教科書でも話題として取り上げられることがある。例えば、Landmark English Communication I では、 "gr8" or great? のユニットが、My Way English Communication IIIでは、A Variety of "Englishes" のユニットが設けられている。
英語史の知見から、現代英語に見られる不規則性を歴史的に説明することができる。関心を持った方は、寺澤 盾『英語の歴史:過去から未来への物語』(中公新書、2008年)を勧めたい。
勤務先の図書館報に、「おすすめ図書紹介」として、同書を紹介した。以下に再掲しておく:
なぜ家畜(cow, sheepなど)はお皿に載る(beef, muttonなど)と大きく語形が違うのか?、なぜwisdomとwiseの母音の発音は違うのか?、疑問文・否定文にdoが現れるのはなぜ?など、疑問に思ったことはありませんか。
答えの一つは、英語の歴史を紐解くと見えてきます。
本書は、『朝日ウィークリー』に連載された記事をベースにして、上記のような疑問が、専門家以外にもわかるように書かれています。興味を持ってくれた学生は、QA形式で書かれている本ではないので、じっくり読んでみてください。
もちろん、英語が話せるようになるだとか、書けるようになるだとか、目先の利益は少ないうえ、語学を使う上では、理屈よりも慣用(こうなるものである、と覚えること)が重要になる側面も多いですが、それだけでは機械翻訳に代わられてしまうかもしれません。
英語をちょっと学問的に眺めることで、意識的に言語が使用できるきっかけになるうえ、英語史を学べば、世界史の教養も一緒に身につきます。
余談ですが、学生時代、著者である寺澤先生の授業に参加する機会を得ました。毎回、分厚い手書きのノートを持参され、真摯に授業をされる先生の姿は、私の「規範」になっています。
とはいえ、英語の授業中に下手に話すと、単なるトリビアで終わってしまうし、歴史がらみの話も多くなってしまうので、興味のない学生にとっては退屈だろう。授業中に話すことは推奨しないが、英語教員の自己研鑽として、また、英語学習の息抜きとして、英語史を選択肢の一つにお勧めしたい。