【詩】 それを個性と呼ぶならば

年を重ねて
しわが増えて
いろんなことを経験したけど
失ったものもたくさんある

それは人だったり
物だったり
考え方だったり

修理を続けた船みたいに
元と変わっている部分もある

できることなら
変わることより
変わらないことを選びたかった

誰にも反発されない生き方
誰にも口出しされない生き方

自分の杭を他人に打たれないために
わざと自分で均した地面

「丸くなった」とは良い例え

丸くなれば角がない
角がなければ叩かれない

誰にも触られないように
誰かに傷つけられないように

自分で叩いて
自分で壊して
目立たないように作り替えた

それが個性だったとして
「本当の自分じゃない」なんて嘆いても

もう戻れない
戻せない



それなら

それならば

変わっていくことを楽しもう

いまは無理でも
これから先に

新しい自分を見つけよう

元と違う船だとしても
知らない景色を見に行ける

何度作り直しても
この船は未完成なままだ

何度でも壊れて
何度でも作り直せるんだ


たった一つの「本当」なんてない
たった一人の「本当の自分」はどこにもいない

どれも自分で
どれも本当
嘘も真実も持っている
綺麗も汚いもの混じってる

何度も作り替えた船の中には
雑多に荷物が積まれてる

それを個性と呼ぶならば
私は喜んで船を直そう

新たな港に着くたびに
何度も作り直していこう



そして、いつか



この船が沈むとき
海原に浮いた荷物を眺めて


「こんな人生も悪くない」なんて

そう思えるように


顔を上げて


少し無理して笑って見せて


今日も明日も前を向こう


前を向いて生きていよう




変わらないことより
変わることを
楽しもう



【次】

【前】本当にやりたいこと

【その他の作品】→ こちら へ どうぞ


////////////

見出し画像には、『フナトリサコ』様の写真をお借りしました!

ありがとうございます!