【詩】 強さの証
何も知らない他人が
私を指差してこう言うんだ。
あなたは独り、いつだって独り。
この先あなたの側には誰もいない。
ご愁傷様、お独り様。
一緒にいることが素晴らしい?
集団の「一人」で満たされる?
「一人」と「独り」は違うのに、
誰も私を見ないから、
みんな好き勝手言えるんだ。
だけど、それは私も同じだった。
誰かのことなんて考えられない。
いつもでも主語は「私」で、
「あなた」になることは滅多にない。
「あなた」の孤独に気付かない。
気付くないまま生きてしまう。
気付けないまま生きれてしまう。
みんな、自分が満たされることだけを考えて、
誰かを傷つけても知らない振り。
誰かが孤独でも知らない振り。
遠い昔、私の師匠が言っていた。
『この世に強い人なんていない』って。
「みんな」という名の集団に、
強い人はいないのかもしれない。
それじゃあ、独りの私は、
「強い人」なのだろうか。
きっと、そんなことはない。
私も弱い人間だ。
後ろ指を刺されて、
集団の輪から外れた人間だ。
そんな人間が、強いはずがない。
だから、少なくとも、
私は「独り」でいることを、
「強さの証」だなんて、思いたくない。
そんな風に、勘違いしたくない。
強い人間なんていない。
誰かを馬鹿にすることで、
強さを見せびらかす人がいる。
自分を高めていくことで、
強くあろうとする人もいる。
強さの意味は、人それぞれ。
だから、私は私なりに、
強さの意味を見つけよう。
強さの証を手に入れよう。
私の弱さは、自分の心を、
きちんと伝えようとしないこと。
伝えてやろう。
私の強さを。
今日もまた、私を知らない他人が、
私を指差してこう言うんだ。
あなたは独り、いつだって独り。
この先あなたの側には誰もいない。
ご愁傷様、お独り様。
今日の私は、昨日の私より少し強い。
喉も足も震えている。
自分の心を伝えるのは怖いけど、
昨日の私より、強くあろう。
私は、独りじゃない