【詩】 開拓者の進む先に
いくら本を読んでも
いくら話を聞いても
本当のところは分からないまま
読んだことを自分でやってみて
聞いたことを自分でやってみて
分かることもあるんだろう
「あの人だからできたんだ」
その言葉に嘘はないけれど
本当のことも言っていない
「あの人」が成し遂げた素晴らしい功績
見るのはいつも結果だけ
暗い洞窟に光る宝石みたいに
刺激的な結果だけ
汗と血にまみれた過程を見ているかい?
使い古されたピッケルが見えてるかい?
「あの人」の作った道の後ろには
いくつも道ができている
行き止まりができている
みんな刺激に飢えている
100年にひとりの逸材とか
国内有数のノーベル賞とか
起爆スイッチは欲しいのに
古いピッケルは見ないふり
「あの人だからできたんだ」
その言葉に嘘はないけれど
本当のことも言っていない
「あの人」の足元には
瓦礫の山ができている
新たな道を作るため
まだ見ぬ景色にたどり着くため
「あの人」はいまも掘り続ける
暗い洞窟を掘り続ける
ヘッドライトだけを頼って
ひたすら前に進み続ける
「あの人」はいまも開拓者
いまも 昔も 開拓者
世間のもてはやす結果には
さして興味を示さない
あるのは徹底した努力だけ
自分事にできない他者が口にする
正当化なんて興味がない
「あの人だからできたんだ」
誰かが口にする間
開拓者は進み続ける
道を掘り進めたその先の
輝く景色を知っているから
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見出し画像には、『Junichi Mae』様の写真をお借りしました!
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