【詩】ごきげんよう、世捨て人
好きなことだけやってても
「良い大人」にはなれないよ
そういうあなたは
「良い大人」なんですか?
こっちは我慢してるんだ
あなたも我慢してくれよ
そういうあなたは
我慢してるんですか?
好きなことを好きと言えない
したくもない我慢をしている
そんな自分を正当化するために
他人に「正義」を強いている
それはホントに「正義」ですか?
矛盾 矛盾 矛盾だらけ
勇者気取りの人間が
善良な民に剣を向け
「正しく生きろ」と言うだけで
ホントの悪を倒さない
この世にはびこる勇者たち
「閉じた世界」で 「閉じた村」で
自分の正義を振りかざす
村人たちを傷つけて
平気な顔をするくせに
世界に平和をもたらさない
だから私は
だから僕は
「閉じた世界」を捨てたんだ
いますごく困ってる
そのときが来たら助けてね
そういうあなたは
私の声を聴いていない
ポーカーフェイスもいいけどさ
少しは笑顔を見せてほしい
そういうあなたが
僕の笑顔を奪っていった
言いたいのに 言えない
笑いたいのに 笑えない
自分の意見を言うだけで
他人の声に耳を傾けない人ばかり
「掲示板」は役立たない
そこに言葉をつづっても
「正義の番人」が剣を振り
無残に折られて 捨てられる
だから 私は
だから 僕は
その村から逃げ出した
閉じた世界を捨て去った
雑音 雑言 聞こえない
澄んだ空気に 開けた視界
「さよなら」の声がこだまして
鼓膜と胸を震わせた
「世捨て人」と指差すくせに
誰も「あの世界」から出ようとしない
誰も「この世界」を知らぬまま
世捨て人と指を差す
おかしい世界を捨てるのは
間違ったことじゃない
「この世界」にも 人がいた
自然と 自分と 自由を知る人たち
捨てることは 悪くない
正しいものを守るため
真っすぐな心を守るため
「あの世界」を捨てたんだ
ごきげんよう、世捨て人
自由を手にした気分はどうだい?
そう尋ねる旅人に
私と僕は微笑んだ
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見出し画像には、『ハートヘッド』様のイラストをお借りしました!
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