まだ選べていない君へ
阿部広太郎さんの著作、「あの日、選ばれなかった君へ」読了。
これまで「心をつかむ 超言葉術」「それ、勝手な決めつけかもよ?」と読ませていただき、阿部広太郎さんの言葉に対する熱意や造詣とともに、優しさも感じてきた。
その優しさが、ご自身の来し方にある「選ばれなかった」経験に由来しているのだろうと腑に落ちた(それ、勝手な決めつけかな?)。
本著で印象深いのは、過去の自分に対して「君」と呼びかけていることだ。
なんというか、過去の自分に愛しさと他人感を抱く感覚が、すごく納得できる。
過去があるから今があるのだが、過去はもう別物でもある。
今の私も、過去のあいつの積み重ねでできている。
阿部さんの文章を読みながら、私もまた過去の自分に呼びかけたくなった。
翻って、今。
居場所づくりをしたいと想いを抱いているのに、家族を養うことを優先して(と同時にそのせいにして)踏み出そうとすらいていない。
やむを得ない正しい判断なのか、やむを得ないと言い訳して逃げているだけなのか…
今の私にはわからない。
将来、未来の自分が今を過去として振り返ったとき、「まだ選べていない君へ」何を語ることができるだろう?
「大丈夫、その後○年後に実現するよ」と言ってくれるだろうか?
「その時の君の判断は間違っていなかった」と認めてくれるだろうか?
それとも、もうすっかり諦めた“私”に「あの時君が踏み出していればよかったのだ」と恨まれるのだろうか?
焦りと落胆は山ほどあるのに、きっかけと自信は微塵もない。
そんな今が、意味のある過去になりますように。
なんだか本のレビューとは程遠くなってしまったけれど、それだけ自分を見つめ直すきっかけを与えてくれる本なのだと思う。