D・J・マッキントッシュ「バビロンの魔女」
ジョン・マディソンは、ニューヨークの青年美術商。年の離れた異母兄で、高名な考古学者だったサミュエルを、自分の運転する自動車の事故で失う。
罪悪感と傷心をひきずりながら、幼馴染みで商売相手の大学講師、ハル・ヴァンダーリンを訪ね、借金の返済を迫るが、ハルはすげない態度をとり、ジョンの手を通さずにある大きな取引をするつもりであることをほのめかす。
しかし、ハルはその夜のうちに殺害され、ジョンはその容疑者にされてしまう。
ハルが関わっていたのは、生前のジョナサンが戦乱のイラクから持ち帰った、古代史を書き換えかねない重大な秘密を秘めた石板だった。
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翻訳ものは久しぶりなのと、古代メソポタミアの知識が乏しいのとで、ちょっと入り込みづらかったのはあるけれど、読みごたえある歴史サスペンス。
歴史を揺るがす大発見と、それをめぐる陰謀、巻き込まれた主人公の苦闘、と定番といえば定番なつくりではあるけれど、登場人物たちそれぞれにジョンとは違った思惑があって、まさかの裏切りや抜け駆けもあって驚かされる。