シンプル is best は本当⁈#24
心理学・行動経済学の記事 第24回
「メッセージを伝える時に、どのように伝えたらいいんだろう?」
伝えるということに対しての難しさは、アウトプットをしていると、いつも考えます。
特に、難しい内容だと、影響を与えようとするあまり、たくさんの情報を入れがちになります。
私に限らず、あなたも考えたことはあると思います。今日はそのような記事です!
利得と損失
誰かに伝える時に、こうしたら得するよ!という伝え方と、こうしたら損するよ!という伝え方があります。
メッセージを受け取る側は、得するから行動するのか?それとも損するから行動するのか?
このような影響を知りたい時は、こちらの例を見てみましょう!
例 治療法の説明
ある治療を勧めたい時に、どのように伝えたらいいのか?6つのグループに分けて考えてみた研究がある。
①「残念ですが、がんに対する治療をこれ以上行うことはできません。もし、どうしてもということであれば治療Cもありますが、医学的に十分な効果は示されておらず、副作用が生じます。」→基本メッセージ
②「治療Cという方法もありますが、医学的に十分な効果は示されておらず、副作用が生じます。以上の話をまとめると、残念ですが、私としては、これ以上の治療を行わないことがあなたにとって最善の選択だと考えます。」
→医師が直接、積極的治療を推奨しない
③「治療Cという方法もありますが、医学的に十分な効果は示されておらず、副作用が生じます。あなたと同じような状況では、多くの患者さんが、これ以上治療をしないことを選ばれています。」→多数派を強調したもの
④「治療Cという方法もありますが、医学的に十分な効果は示されておらず、副作用が生じます。治療をしないことで、副作用がなくなるだけでなく、退院してご自宅で過ごしたり、外出したりすることができるようになります。」
→本人への利得を強調したメッセージ
⑤「治療Cという方法もありますが、医学的に十分な効果は示されておらず、副作用が生じます。治療をしないことで、副作用がなくなるだけでなく、退院してご自宅で過ごしたり、外出したりすることができるようになります。そうすることで、あなただけでなく、ご家族にとっても良い時間を過ごすことができると考えられます。」→本人と家族の利得を強調
⑥「治療Cという方法もありますが、医学的に十分な効果は示されておらず、副作用が生じます。なお、治療を受ける場合、社会保険料が1000万円かかります。」
→コストを強調した
少し長かったので、休憩……。
はい!では、結果はそれぞれ詳しくあるのですが(これは何%が治療して、これは何%が治療したなど)、④の本人の利得を強調すると、本人が満足した回答が得られた。
しかし、その次は、①の基本メッセージであり、②.③.⑤.⑥では、満足のいく回答が①.④に比べて低かった。
ここで面白いのは、⑤の本人と家族の利得を伝える方法は、④よりも良い情報を入れたけど、効果は低かった。
おそらくメッセージが複雑になったのだろうと考えられる。
シンプルさが軸に
渡したいメッセージを送る時、その人のことを考えて沢山の内容を入れたいし、伝えたい!
そう考えると、メッセージは良い情報を沢山伝えるのが良いと考えます。
もちろん、沢山伝えることに悪いことはないし、むしろ嬉しいとさえ思う人も多いと思います。
ただ、難しく、説明の伝わりにくいものを伝えるためには、伝えたい内容をシンプルに伝えたり、相手のためを考えて、メッセージをシンプルにする方がいいのかもしれません。
むしろ、その方が、「相手に伝える」ことにつながるのかな?と思います。