充電式で、生きていく。双極症障害の暮らし【3】次の病院
次の病院は、明るくてスタッフさんがたくさんいて入りやすかった。
先生はニコニコしながら「どうされましたか~」と言ってくれた。
今度は頭ごなしに「うつじゃない、病気じゃない」とは言われなかった。つらい時の症状とともに、仕事の状況や「元気な時はどんなことをしていますか?」と訊かれた。
不思議に思いながらも旅行やランニング、登山やロックフェスが好きなので伝えると、「双極性障害かもしれません」と言われた。なじみのない名前に「双極性…?」と訊き返した気がする。
「元気な時としんどい時の波があるんです」「元気な時は無理できるけど、反動が来るんですよね…」など言われ、特に最近の状態には当てはまっていると感じた。
「波を安定させる治療をしていきましょうね」
先生はとても落ち着いた感じで声をかけてくれた。
まさに大波のような不安に襲われていた私にとって、その診断は少しだけほっとさせてくれるものだった。
双極性障害については何も知らないけれど、ちゃんとした病名があるんだ。病気じゃないのに病気のように言ってるわけじゃなかったんだ、と。
対処の仕方があれば、すぐにじゃなくても治るんじゃないか。そう思った。
病名がはっきりし、治療がスタートした。
薬は3種類出た。睡眠導入剤と、気分の波を安定させる薬と、とくに双極のうつ状態に効果のある薬。
睡眠導入剤は、寝るのがラクにはなった。しかし十分な睡眠時間は取れず、夜明け前に目覚めた。脳が落ち着いていない感覚がはっきりとあるのだ。目覚める前からずっと考え事をしているような感じだった。
あの仕事の締め切り3日後だったな…とか、あとあれとあれをしないと…とか、仕事のことばかり考えていた。目覚めても家事をするには早すぎるし、ごそごそと部屋のものを整理してみたり、夜明けをぼーっと眺めたりしていた。
先生に相談すると、だんだんと睡眠導入剤の量が増えていった。波を安定させる薬はリチウムの血中濃度を測りながら、先生が量を見てくれた。増減は特にしていない。うつ状態に効く薬は、5か月くらい飲んだ。
まだ、始まったばかりだった。