変わりたいのにずっと変われなかったわたしへ ②
先週に続き、今週もヨガインストラクターの八木あずささんのインタビューをお届けします。
*前回の記事はこちら↓↓↓
前編では、あずささんが幼少期から抱えていた、体型コンプレックスや自分を受け入れられない悩みが、ヨガを通して少しずつほぐされ、過去の自分も肯定できるようになってきた、というストーリーをお伝えしました。
わたしとあずささんはお互い、Rio淵江さんが主宰するYoga with RioのRYT200の講座の卒業生で、現在は、あずささんが担当している月額オンラインクラスのV.V.Yogaをわたしが受講しているため、週何度かはオンラインでつながり、一緒にヨガをしている間柄。
あずささんは現在、中学生と小学生の男の子4人を育てながら、パーソナルレッスンや体質改善プログラムの指導も行うヨガ講師として、意欲的に活動しています。
インタビュー後編となる今回は、「仕事」にフォーカスしながら、あずささんにお話を伺います。
3年前、コロナ禍でのダイエットを目的に始めたというヨガ。
数ヶ月後にはRYT200、その後はRYT500というインストラクター資格も取得し、今ではヨガインストラクターという仕事について「自分が世の中に貢献できることがはじめて見つかった感覚」と話すあずささん。
これまでの仕事遍歴も含めて、仕事に対する思いを語ってくれました。
誰かのゴールに伴走していく仕事に喜びを感じる
「大学時代にアルバイトをしていたのが、結婚式場もあるホテルのカフェで、その隣にあった螺旋階段では、ウェディング用の写真をよく撮影していたんです。それを見ていたら、みんな本当に幸せそうで。自然にウェディングプランナーになりたいと思うようになり、卒業後は念願の仕事に就くことができました。
でも、ここでもまた容姿コンプレックスに悩まされることに(苦笑)。ウェディングプランナーになる人って、なぜか華やかできれいな人がとても多いんです。わたしも夜会巻きやメイクを教えてもらったりしたけど、相変わらず『自分なんて』って思っていました。でも、仕事は好きで真剣に取り組んでいたし、お客様からの評価も高かった。勤務先が遠すぎて、通うのが辛くなって転職したけれど、いつかまたやりたいって今でも思っているくらい、やりがいを感じられた仕事でした」
事務職に転職した後、結婚。すぐ妊娠し、2年おきに出産をくり返しながら子育てをするなかで、そのときどきで地元の飲食店などでパート勤務を経験した。
ベビーマッサージやリンパケアの資格も取得したが、それを使って本格的に仕事をするまでには至らず、難しさも感じていたとき、Yoga with Rioのオンライン朝活RYT200を2期連続で受講。資格取得後は、近所のスタジオを借りて、ヨガ指導者としての道を歩み始めた。
「ヨガを始めたときは、インストラクターになるつもりなんてまったくなかったのに、今すごく楽しい。自分が世の中に貢献できることが、はじめて見つかった感覚があります。
思えば、大好きだったウェディングプランナーの仕事も、お客様の生涯一度の本番の日に向かって伴走していく役目だったし、わたしは、目標を持って進もうとする誰かに寄り添う仕事に、やりがいと喜びを感じるんだとわかりました」
当初は少人数のグループレッスンを開催していたが、今年から、メインはパーソナルレッスンにシフトした。
「ヨガは、体を動かすだけではなく、心も大切。パーソナルなら、生徒さんとしっかり深く話して、その思いに寄り添いながらレッスンを組み立てられる。ヨガだけでなく、食事法を含めた体質改善プログラムやボディメイクの指導もしていて、まさにウェディングプランナーの仕事にも通じているんです。計画的にやってきたわけでもないのに、結局、全部つながっていて、こういうことか!って思います」
あずささんのこれまでの歩みを聞いていると、まさに「カルマヨガ=行為のヨガ」を実践してきたんだな、と感じる。
*カルマヨガに関しては過去の記事にも詳しく書いています。
道をそれたように見えて、実はつながっていた
いつも、目の前に置かれた課題にまっすぐに取り組み、その中でのフィット感や違和感を大切に、軌道修正しながらも歩みを止めない。
出産と育児で、好きだった仕事を離れたように見えても、3年前に出会ったヨガを通して、「人が変わりたいという思いに寄り添ってサポートする」という道に、いつのまにかまた戻っている。
「でも、わたし自身がまだ全然、変化の途中です。
V.V.Yoga(Yoga with Rioの月額オンラインクラス)の講師をするのも、実はすごく荷が重かったんですよ。V.V.Yogaを受ける人には、すでにRYTを取ってヨガインストラクターをしている人、もともとダンスやバレエをやっていた人、わたしより体が柔らかくてスキルが高い人もいる。そんな人たちの前で、自分が先生として動いていいの?って思いがあって、Rioさんにも相談しました。
悩みながらも続けているうちに、結局、わたしの価値をそういうところではない部分に認めてくれる人がレッスンには来てくれるわけだから、自分ができることをやるしかないんだなって吹っ切れてきました。RYT講座のアシスタントとして、大勢の人の動きを見るうちに『人それぞれみんな違うんだ』という当たり前のことに気づいたおかげもあります」
意図せず、アシスタントというポストを任されることで、講師であるRioさんと、受講生たちに「寄り添う」役にいつのまにか就いていることもまた興味深い。自分のダルマ(社会における役割)は、こんなふうに知らぬ間に見つけているものなのかもしれない。
「アシスタントの仕事を具体的に教わったわけでもないから不安だったけれど、自分自身がRYT200を受講して、生徒側の気持ちがわかることは強みだと思っています」
今でも変わりたいけど、変わることを焦らない
根深い体型コンプレックスは今でもある、とあずささんは言う。
「指導している生徒さんも、『心を変えたい』『体を変えたい』って言うんだけど、たぶん根っこの部分では、まだそこまで強く思っていないんじゃないかなっていう人も多くいる。なぜ変わりたいのか、自分の奥にしっかり深く向き合っていくことを、何度も何度もくり返すなかで、少しずつ変化していくのであって、わたしもまさにそうなんです。
そのくり返しの実践こそがヨガで、だからヨガで変われるといっても、目に見えてわかりやすい体型の劇的な変化とかではなくて、静かに脱皮するような進化、というのが近いかなと思います」
わたしも、ヨガを20年以上続けてきて、たしかに変わったと思う。
でも、ここがこんなふうにこれくらい、と言葉ではうまく説明できない(言葉を仕事にしているにもかかわらず!)。
まさにあずささんが言うように、ヨガに出会う前と後の自分が別人のようだというわけではなくて、過去の自分の続きに今がある。それを前提にしながらも、おそらくヨガをしていなかったから、今立っているこの場所から見える風景とは全然違うものを見ていたんじゃないか、という気がするのだ。
「わたしのように、体を変えたい、やせたい、という動機でヨガを始めた人にも、『それなら心を変えないと』って哲学を突きつけられるのが、ヨガのおもしろいところですよね。実際、心が変わると、体も変わってくるのが体感できるところも。
でも、そこに時間差があって、まず頭や心で理解しても、体が受け入れるタイミングはしばらく後だったりする。そのことがわかってきて、『もっとやせたい』という気持ちは今もまだあるけど、焦らなくなってきました。
少しずつ脂肪も落ちてきているし、でもまだ落ちる気がするし、まだまだこれから変わっていけるって思えている。先を急がないことで、昔はつねに抱えていた、食べることへのストレスも、いつのまにか感じなくなっていました」
変わりたいのに、なかなか変われない。
そのことに悩む人に、響く部分もきっと多かったであろう、八木あずささんのインタビュー、いかがでしたか?
「ヨガで変わる」「実際に変わった」という実感は、あずささんもわたしも持っていて、でもそれは即効性を謳える類のものではない、という見解も一致していました。
だからこそヨガはおもしろく、一生続けていくのにふさわしいものだ、という思いも。
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