ヌンツィアティーナ教会(Chiesa della Nunziatina):トーディのシスティーナ礼拝堂?煌びやかな教会がここに
ウンブリア州の城塞都市トーディ(Todi)には、トーディのシスティーナ礼拝堂と銘打っているヌンツィアティーナ教会(Chiesa della Nunziatina)という小さな名所がある。
場所は、トーディの中心部ドゥオーモ(Duomo)の裏、徒歩3分ほど。
筆者も当初訪れるつもりはなかった。
2019年5月、文書館の調査を終え、昼休みにぶらぶらしている時にたまたま入った教会である。
その起源は、17世紀初頭にさかのぼる。
1602年6月5日、司教アンジェロ・チェーチが、トーディの聖アンウンツィアータ信心会(Confraternita della Santissima Annunziata)に後に現存する聖エリジオ教会(Chiesa di Sant'Eligio)に建て替えられることになる教会を与えた。
一方、同年6月20日、カロッチ家(Carocci)によってこの教会に隣接するコッラディ邸(Palazzo Corradi)が購入され、1609年、この邸宅が、現在のヌンツィアティーナ教会として建て替えられることになる。
1613年に完成したこの教会は、多くの芸術家たちによって美しい装飾が施された。
1700年に火災に遭った後、ジュゼッペ・ピアネッティ(1672-1709)の主導で修復が進められた。
1712年に司教のフィリッポ・アントニオ・グアルティエーリがこの教会を購入してからは、建物は、神学校として使用されるようになる。
その後、宗教的役割を持たなくなった20世紀以降も、こちらの教会の中には17世紀以降の作品がまるで宝石箱のように詰まっている。
まず入ると圧倒される天井画は、1700年の火災以降に作られたもの。
フレスコ画は、バロック時代のローマの教会を模している。
特徴的なのが、周りのカラフルな絵と金の枠とは対照的に、セピア色のフレスコ画。
セピア色で描かれるのは、聖書外伝のエピソードであるという。
他、左右の壁には4つずつ、計8つの宗教画が設置されている。
それぞれ17世紀から20世紀にかけて制作された作品である。
コンパクトな空間であり、特に有名な作家の作品があるわけではない。
ところが、まるで普通の家という外観とは裏腹に、細部まで作品で埋め尽くされた教会である。
筆者も駆け足で見てしまったが、次回は、ゆっくり聖書のエピソードを思い浮かべながら観覧したい。
ヌンツィアティーナ教会(Chiesa della Nunziatina)
住所:Via del Seminario, 31, 06059 Todi, Perugia, Italy
入場料:2ユーロ
開館時間:10:00-12:30/15:00-18:00
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