ミラノ フォーリ・サローネ2019 レポート(17): ロッサーナ・オルランディ(Rossana Orlandi)
ミラノ・サローネでの注目の的の1つが、ロッサーナ・オルランディであろう。
前記事でも会場として何度か言及しているが、彼女は何者なのか?
なお、本記事では、肖像権の問題を考慮して、ロッサーナ本人の顔写真は掲載していない。
いくつもロッサーナについてのインタビュー記事など他に公開されているため、気になった方は検索してみていただきたい。
とてもお洒落なマダムである。
ミラノ市内に位置する「ロッサーナ・オルランディ」(Rossana Orlandi )とは、2002年に、ネクタイ工場であった建物を改築して作られたセレクトショップである。
このショップを経営している人こそ、インテリアの目利きとして名高いロッサーナ・オルランディ。
ここでは、彼女がセレクトした一流のインテリアが並べられており、まさにデザインの宝庫である。
彼女のギャラリーは、ショールーム、小売店、オフィス、イベントスペースなどが渾然一体となっている。
ロッサーナ・オルランディとはどのような経歴の持ち主なのか?
ロッサーナは、20年以上も、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)、ダナ・キャラン(Donna Karan)、そして彼女の一族の会社のコンサルタントとして働いた後、デザイナーの作品を集めるために、2002年、個人のギャラリーを設立した。
それはまさに、デザインやライフスタイルに関するロッサーナ自身の感性によるショーケースである。
また、彼女は、美に対する愛によって培った情熱を持っているが、芸術(arte)とデザイン(design)を区別することは難しいという。
それと同時にキュレーターとして働いていたロッサーナは、ファッション界の様々なブランドとコラボレーションを行ってきた。
当初は、ピート・ヘイン・イーク(Piet Hein Eek)やマーティン・バース(Maarten Baas)といったオランダのデザイナーや、ナコー・カルボネール(Nacho Carbonell)といったスペインのデザイナーに着目していたロッサーナ。
後に、スロベニアのニカ・ズパンク(Nika Zupanc) 日本の栃木県を拠点とするスタジオであるフロント・デザイン(Front Design)、アムステルダムで活躍するイタリアのデザインユニット・フォルマファンタズマ(Formafantasma)、イタリアのデザインスタジオ・マヌエラ・クロッティ(Manuela Crotti)、ロンドン生まれのセバスチャン・ロング(Sebastian Wrong) 、オランダ出身のデザインユニットであるショルテン・バーイングス(Scholten and Baijings)、トリノ生まれのエンリコ・マローネ・チンザノ(Enrico Marone Cinzano) など、彼女の関心はヨーロッパからアジアにまで広がっていった。
さらに、ダミアーノ・スペルタ(Damiano Spelta)、サンダー・ワシンク(Sander Wassink)、ウォンミン・パク(Wonmin Park)といったアーティストや、 チェコのデザインスタジオStudio Deform、デザインユニットJan and Henryなど、「新しい才能を発見することが好き」だと言い、若いデザイナーの発見にも一役買っている。
今年のサローネ期間に、会場に展示されていた作品の一部を紹介しよう。
ICEBERGの真っ青な絨毯には、ニュージランドのウールと中国のシルクが使われているという。
フランスのインテリア用品店Maison&Objectのブースには、レバノン、イギリス、フランス、スウェーデン、イタリア、中国など、世界中から集まり、厳選された家具が並ぶ。
日本の佐賀県有田から発信するUTSUÀ(うつあ)は、あえてWの文字を抜くことで世界中の人が発音しやすいことを意識するテーブルウェアのブランド。
有田に滞在したオランダ人デザイナー、タイメン・シュメルダースのデザインが、職人の手によって形となった。
またロンドンのインテリアメーカーによるSé Collection。
韓国のブランドTHIS ISNTも。
先の記事で紹介したEmanuela Crottiのブースもあった。
またショップもあるが、こちらも見応えがある展示室のようである。
緑豊かな敷地であるため、窓からの木漏れ日も美しい。
サローネ期間中、ロッサーナを会場で何度も目にすることができた。
丸い眼鏡に特徴的なナイロンの服を着ていたため、存在感がある。
また、Perugina 社製の同名のRossanaというキャンディーが会場で配られていたが、赤に金の包み紙は、ロッサーナ本人の雰囲気にもよくあっている。
そんなミラノにとって欠かせない人物であるロッサーナが、特にミラノの中で愛着を持つ地は、ロッサーナ・オルランディのギャラリーからも近いスフォルチェスコ城(Castello Sforzesco)とセンピオーネ公園(Parco Sempione)だという。
ミラノの歴史が刻まれているこのエリアは、トリエンナーレ美術館(Triennnale)も位置しており、ミラノのデザインと建築にとって重要な場所となっている。
(サローネ期間中会場に設置される屋外カフェスペース)
ロッサーナが、もし彼女自身が愛するミラノの行政に携わることができたら、どうするかという質問に対し、彼女は次のように答えている:
「歩道と道路の管理。穴が空いていたり、欠落部分があったり道は、車でも運転するにも歩くにも大変危険だから。」
ミラノの都市中心部は意外にも小さい。
それゆえに、自身の足で歩いて、伝統的な都市の気質を感じることができる街できると同時に、常に新しいイベントが開かれ、国内外から多くの人が訪れる都市である。
道路の管理という現実的な答えは、芸術とデザインを通してミラノと世界をつなぎ、伝統と革新を大切にするロッサーナの態度が現れている。
芸術とデザインに対する旺盛な好奇心と探究心によって、今でも彼女は、デザインの世界のカリスマとして精力的に活動を続けている。
Rossana Orlandi
住所:Via Bandello 14/16, 20123, Milano, Italy
※最寄駅は、赤線(M1)の場合コンチリアツィオーネ(Conciliazione)、緑線(M2)の場合サンタンブロージョ(S. Ambrogio)。
電話番号:+39 24674471
公式HP : rossanaorlandi.com
公式Instagram:@rossana_orlandi
開館時間:10:00-19:00 (月曜〜土曜)
※最寄駅は、赤線(M1)の場合コンチリアツィオーネ(Conciliazione)、緑線(M2)の場合サンタンブロージョ(S. Ambrogio)。
電話番号:+39 24674471
公式HP : rossanaorlandi.com
公式Instagram:@rossana_orlandi
開館時間:10:00-19:00 (月曜〜土曜)
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