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パリ10区 ブイヨン・ジュリアン(Bouillon Julien):アール・ヌーヴォー様式の傑作、世にも美しいお手頃レストラン

パリには魅力的な飲食店が数多くあるが、今回紹介するブイヨン・ジュリアン(Bouillon Julien)はその歴史もまたお店のコンセプトもとても素敵なお店である。

場所はパリ10区、お店のモットーは「ここでは、すべてが美しく、美味しく、お手頃」( Ici, tout est beau, bon, pas cher)である。

写真を見ただけでも、一体なんのお店だろうと俄然興味が湧いてくるであろう。

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まずはお店の歴史から紐解いていきたい。


1.ブイヨン・ジュリアン(Bouillon Julien)の歴史と内装

19世紀半ば、肉屋のピエール=ルイ・デュヴァル(Pierre-Louis Duval)は、市場で働く人々のために、シンプルだが心のこもった食事を提供する大衆食堂「ブイヨン」を作った。

その後、カミーユとエドゥアールのシャルティエ夫妻がこのアイデアを取り入れ、ブイヨンに豪華な内装を施すようになった。

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お手頃だがシックな内装のブイヨンは、パリ市内にどんどん広まっていき、1906年、ついにエドゥアール・フルニエ(Edouard Fournier)が、食堂ブイヨン・ジュリアン(Bouillon Julien)を完成させたのである。

アール・ヌーヴォー様式のお店の装飾は、当時の一流の職人たちが担当した。

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バーカウンターは、木工職人ルイ・マジョレル(Louis Majorelle;1859-1926)が、孔雀のパネルは画家アルマン・セゴー(Armand Segaud;1875-1956)が、そして壁に描かれる4人の花の妖精(femmes-fleurs)たちは、ガラス工芸の巨匠ルイ・トレゼル(Louis Trezel;1863-1912)が、アルフォンス・ミュシャの図像に着想を得て作成したものである。

店内にはチューリップの花束をモチーフとしたブロンズの燭台が立っており、植物をモチーフにした鮮やかなガラスの天井が存在感を放っている。

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月、星、白い花も背景に描かれた孔雀のパネルを見ていると、まるで楽園にいるかのような印象を受ける。

またこのお店は多くの文化人たちの行きつけでもあり、歌手のエディット・ピアフ(Edith Piaf)と恋人であったボクシングのチャンピオン、マルセル・セルダン(Marcel Cerdan)は、24番テーブルでいつも食事をしていた。




2.セラドン色(青磁器色)の内装を蘇らせた改修作業

実はブイヨン・ジュリアンは、2018年にイギリス人デザイナー、ジョン・ウィーラン(John Whelan)率いるパリのデザイン会社The Guild of Saint Lukeによって一度改修工事がなされている。

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この時の調査の結果、誰もがベージュだと思っていた壁の色が、実はブイヨン・ジュリアン創業時には「セラドン色」(中国の青磁器の色)であったことが判明した。

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こうしてブイヨン・ジュリアンは、アール・ヌーヴォーを象徴する鮮やかな青みがかったグリーンに塗り替えられ、20世紀初頭の心浮き立つ雰囲気を今に伝えているのである。

ここからは写真が多めになるが、見てもらった方が早いと思うので、美しい内装を十分に鑑賞していただきたい。

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(可憐な床の花模様)
(ブレてしまったがレジ)




3.ブイヨン・ジュリアン(Bouillon Julien)のお手頃なメニューたち

それでは肝心の料理の紹介をしていくことにしよう。

ブイヨン・ジュリアンでは、前菜は3.3ユーロ、主菜は8.9ユーロ、ワイングラス1 杯2.3ユーロからとお得な価格のメニューが揃っている。

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初めて訪れた時には食事をするには微妙な時間帯だったので、私は前菜二つで軽めの食事、ランチ後だった友人はデザートという中途半端な注文になってしまったが、色々楽しむことができた。

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こちらは鯖とレモンのペースト4.8ユーロ、パンにのせて食べる。

鯖とレモンという文字を見てマリネみたいなものかと一瞬思ったが、鯖にはしっかり火が通されていてさっぱりした仕上がりであった。

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こちらはさつまいものペースト2.8ユーロ。

素朴な一皿であるが、まったりと甘く美味しい。

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ちょうど空いている時間帯だったので食後はお茶を飲みつつ、のんびりした。

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また別日にはランチタイムに訪問した。

前回はランチタイムとアペリティフの時間帯の合間に訪れたため、とても空いていたのだが、さすがランチタイムは大賑わいであった。


前菜のウフマヨネーズ3.9ユーロ。


マヨネーズとゆで卵という簡単な料理なのだが、手作りマヨネーズがまったりとした食感かつちょうど良い味付けでパクパクと食べてしまった。


メインとして筆者は魚と米の料理12ユーロをオーダー。

魚はふっくら、お米はパラパラ、ホワイトソースがこれらをうまくまとめている。

食後はコーヒーで一服。

コーヒーも2ユーロ以下で安い。

10数ユーロでお腹いっぱいになれる、しかもきちんとしたフランス料理というのがポイントである。


こちらはブイヨン・ジュリアンの最寄り駅であるストラスブール = サン・ドニ駅(Strasbourg Saint-Denis)の様子。

この辺は色々なお店があり賑やか、様々な国籍の人が歩いている。


ブイヨン・ジュリアンは、その内装もさることながら、本格的なフランス料理を手頃に味わうことができるので色々な人におすすめしやすいお店である。

メニューも定期的に変わるみたいなので、またパリ滞在中に訪れたいと思っているお店の一つである。


ブイヨン・ジュリアン(Bouillon Julien)

住所:16 Rue du Faubourg Saint-Denis, 75010 Paris, France

営業時間:11:45-24:00

公式ホームページ:

参考:「BOUILLON RÉPUBLIQUE:本場のフレンチをパリでお手軽に」『O'bon Paris』(2022年9月7日付記事)




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