見出し画像

クリヴァーティ(Pasticceria Clivati):1969年創業、青い内装が素敵なミラノの人に愛される老舗カフェ

今回紹介するのは、1969年創業のミラノの老舗カフェ クリヴァーティ(Pasticceria Clivati)である。

(ギフトも豊富に揃っている)

1969年にアンジェロ・クリヴァーティ(Angelo Clivati)が創業したクリヴァーティ(Clivati)は、伝統的なミラノの菓子店として評判のお店であった。

(パスティチーノたち)

創業者アンジェロ・クリヴァーティの時代には、ズコット(ドーム型のケーキ)、ヘーゼルナッツのケーキ(Gran Gianduia)、りんごやナッツを使った秋のケーキ(Torta Autunnale)、そしてパスティエラ(Pastiera)が、クラシカルなレシピに忠実な主力商品として作られていた。

ちなみにトスカーナ地方発祥とされているズコットは、クリヴァーティではその昔、週に200個も売れる看板商品だったが、今では他の商品に人気の座を渡している。

またパスティエラとは、リコッタチーズ、砂糖、卵などから作られ、オレンジやレモンなどの柑橘系のフルーツで香り付けされたタルトのことである。

(Gran Gianduiaの画像、Clivati公式HPより)


2007年、ジャンピエトロ家(Giampietro)がクリヴァーティを買収すると、クリヴァーティは、菓子だけではなく、サンドイッチやミニピザ、甘くないパスティチーノなどセイボリー、つまり塩気のある食べ物(Salato)も提供するようになった。

そのために朝食からおやつ、そしてアペリティーボまで楽しむことができるお店となった。

現在クリヴァーティを率いるのは、1995年生まれの若きオーナー、ロレンツォ・ジャンピエトロ(Lorenzo Giampietro)である。

新オーナー ロレンツォ・ジャンピエトロは、これまでに挙げたクリヴァーティの伝統的なメニューを、レシピに忠実に作り続けるとともに、新しいメニューの開発にも取り組んだ。

また現在、クリヴァーティの菓子を担当するパティシエ ルカ・ダニエレ(Luca Daniele)は、ミラノの高級食材店ペック(Peck)と菓子店クナム(Knam)で経験を積んだ実力の持ち主である。


参考:


クリヴァーティの価格帯としては、ブリオッシュ2€から、普通サイズのケーキ(Monoporzione)は7€くらい、一口サイズのケーキであるパスティチーノ(Pasticcino)は1つ1.5€から(カウンターで食べた場合と持ち帰りの場合)である。

マリトッツォやケーキ、チョコレートなどが美しくディスプレイされている。

お菓子だけではなく、ワインやカクテルに合うアペリティフセットや、プロシュートやチーズ、サーモンが挟まったクロワッサン、サラダ、パンケーキ、オムレツなども提供されている。

現在のクリヴァーティを率いるロレンツォ・ジャンピエトロは、白ワインをベースに香草やスパイスを配合して作られるフレーバーワイン、ベルモット(Vermouth)の専門家でもある。

クリヴァーティでは、ワインやカクテルメニューのほか、ベルモットの扱いもあり、ベルモットのボトルの販売もされている。

(マリトッツォのパン生地に野菜などが挟まっているのが見える)

クリヴァーティが他のパスティチェリアと少し異なる点は、このようなお酒に合うケーキやお菓子を提供している店である。

例えば、カノンチーノ・アッラ・ミラネーゼ、ビニェ・カルボナーラ、カノンチーノ・カチョ・エ・ペペ、マリートッツォ・アッラ・カポナータなどなど。

名前だけ聞いても分かりにくいかもしれないが、カノンチーノ(シチリア菓子カンノーロのミニバージョン)やマリトッツォの中にカルボナーラソースやカポナータが入っている、つまりお菓子の見た目をしたおつまみなのである。


さて説明が長くなったが、クリヴァーティで実際に注文してみた。

こちらがバーカウンターでの立ち飲みでのメニュー表。

エスプレッソ1.5ユーロからであるが、テーブル席に座った場合、エスプレッソは3ユーロになるとのこと。

青い気球とストライプが爽やかでとても可愛らしい。

頼んだのはフレッシュな生クリームが入ったシュークリーム1.5ユーロとマキアート1.5ユーロ。

コーヒーにはチョコレートがついてくるのが嬉しい。

値上げが激しい今、このおまけがなくなっているお店もある。

よく見るとベルモットの広告がお店に貼られていた。

1916年と書かれているので第一次世界大戦の時のプロパガンダであろうか。

会計の際にふとテーブル席の方を見てみると、イタリアの新聞だけではなく、Le MondeやThe New York Timesなどの外国の新聞もあり、ここに来るお客さんの文化度の高さを垣間見た。

店内には所狭しと色々なお菓子があるので、どれもまた次に食べたいと思ってしまう。

ただの甘いお菓子を提供するお店であるだけではなく、お酒とのペアリングを楽しむことができる洗練されたフードを提供する店として、街の大人たちからの支持を得ているのである。



クリヴァーティ(Pasticceria Clivati)

住所:Viale Coni Zugna, 57, 20144 Milano, Italy

営業時間:7:30-21:00

公式ホームページ:pasticceriaclivati.it

参考:
「Da Clivati 1969 l’esperienza vermouth + pasticcini (salati) funziona」『Dolcegiornale』(2022年3月2日付記事)

いいなと思ったら応援しよう!