リサイクルセンター
自然な循環を生み出す仕組み
○リサイクルされるモノを置きに来ている
デンマークの各コムーネ(自治体のようなもの)に、平均1、2カ所はある巨大なリサイクルセンターにはとても驚いた。運営は税金でまかなわれており、切り倒した木から、土、大きな金属や木材、家電製品、電気製品、布製品…と〝家庭ゴミ〟以外は自由に持ち込むことができる。老若男女がせっせとものを運んでいる様子は「ゴミを捨てに」というよりも「リサイクルされるモノを置きに来ている」というように感じた。
○社会全体がかかわる大きな循環だ
実際に回収されたものは素材や事業別に引き取られ、しっかりとリサイクルされる。例えば、木や枯葉なんかはコンポスト化され無料か格安で持ち帰れる。衣服関係は別のリサイクルセンターに運ばれ、人の手で選別された上で、エネルギーとして、あるいは繊維としてリサイクル、まだ着用可能なものは各地域のセカンドハンドショップのオーナーが買い付けできるようにし、再び販売される。社会全体がかかわる大きな循環だ。
○センターとして大きく「モノ」が循環する心臓部の役割を果たしている
一方、まだ使えるものや使って欲しいものを置く場所もあって、個人が自由に持って帰ることもできる。できないところは、社会貢献の事業をしている団体と契約して引き取ることになっている。これは個人の間での小さな循
環。こうした毛細血管のような大小の循環とそれに伴ったスピード感、規模、人の能力、他にも様々なことが関係して、センターとして大きく「モノ」が循環する心臓部の役割を果たしているように見えた。
○Rethink
デンマーク環境省の長官が「デンマークでは物の循環の考えの3Rにもう1つRをつけた考えが始まっている。『Rethink』だ」と言っていた。従来の方法や考えを見直すことが必要で「消費者だけではなく、企業側がまず変わること、全ての固定観念を覆す必要がある」と。ここにも繋がっているようにも思う。
尚工藝/風と地と木 合同会社 代表・宮田尚幸
シルバー新報 2021年(令和3年) 6月11日(金曜日)発刊号より
なにかのヒントになっていたら幸いです。