長女が幼稚園に入園した

2021年4月、まだまだコロナ禍真っ盛りだが、私の愛する長女が幼稚園に入園した。3月生まれの長女はつい2週間前までまだ2歳だった。入園式で周りのお友達よりも、どう見てもひとまわり小さい娘。3年間、私のそばを離れることのなかった娘。

私の元を離れて幼稚園に通う姿なんて、全く想像ができなかった3年前の3月。産まれたての娘は、産まれたてなのに私のことが母だとわかるのか、私が抱くと必ず泣き止んでいた。生後4ヶ月くらいになると、他の子と比べても圧倒的な早さで人見知りを始めた。凄まじい毛量と、早すぎる人見知りと、なぜかこちらも早すぎた運動発達のせいで、早生まれだということを周囲に勘付かれることなく、成長していった。

しかし、娘の情緒は正直言って幼児というよりは赤ん坊に近かった。それもそうだ、先日まで2歳だった。まだまだがんがんのイヤイヤ期。オムツだって取れていない。というか本人にオムツを取る気がない。なんでもママじゃないと嫌だ!そんな子だ。そんな子が幼稚園に行けるんだろうか。

幼稚園というものについて、年が明けてから繰り返し伝えてきた。「幼稚園にはママは行かない」「幼稚園はたのしい」「お友達と仲良く遊ぶ」こんなことを伝えた。今は便利な時代で、幼稚園に通い始める子供に幼稚園がどういうところか伝える教材なんかも山ほどある。そんなものをよく見せた。ママが行かないというところに何度か突っかかってきたが、理解はした様子だった。しかし入園式のその日がくるまで、娘は園服に袖を通さなかった。無理強いはしたくないので、私も頑張って着せることをやめた。


ドキドキの入園式。早く起こして、園服をきせる。もちろん拒否される。でもこの日ばかりは着せる。色んなものでご機嫌をとって、とって、とりまくって、なんとか幼稚園についた。娘は泣いていた、ぐずぐずしていた。帰りたい帰りたいと言っていた。私はあくまでもクールに接した。優しくしたらきっともっと甘えてくるに違いない。幼稚園にはママは行かない。これを徹さなくては。ママはいない。いないと思うんだ!!!!!と、言わんばかりにクールに接した。


幼稚園の門を潜ると、娘は途端にふざけ出した。おお、早速適応し始めた。さすが我が娘。いそいそと娘の教室で、2人で一緒に娘のロッカーを探す。ここに靴を入れるよ、ここにカバンをかけるよ、と伝えるが、まずい、全く私の話を聞いていない。まあいい。このあたりは先生が教えてくれるんだろう。。幼稚園に通うからには、先生に任せる心も必要になる。母も修行なり。

2人で入園式の行われるホールに向かった。着いた我々の目の前にさっそく繰り広げられている、母子分離!そう、母と子と座るゾーンが別だった。大体の子は普通にママとバイバイして、自分と同じ園服を着たお友達と一緒に座るのだが、うちの娘には絶対にできないだろうな、と思ったら、案の定、私はママの膝に座ると確固たる意思表示をしてきた。娘の意思は硬い。ベテラン教諭がママここにいていいからというので、私はさも園児なのかと思われるゾーンの床に座り、娘はそんな私の肩に永遠に手を置きながらスタンディングで入園式を聞いた。席にさえ座れなかったものの、途中で泣くこともなく、大人しく、むしろリアクションとかもとりつつ、なかなかお利口さんに入園式を終えられたと思う。


問題は初登園の日だ。朝早く起きれるだろうか。幼稚園に行くということに抵抗しないだろうか。バスに乗れるだろうか。泣かないだろうか。

不安なんて言葉では言い尽くせない、娘の初めての登園は私にとってものすごい緊張感のあることだった。

だってあんなにずっと一緒にいたのに。3年間ずっと一緒にいたんだ、24時間ずっーーーーーーと。娘は、こんな私だけれども、ママ大好きなんだ。幼稚園バスに乗れるわけがないよ。ママの手を離して乗れるわけがない。どんだけ泣くだろう。

そんなことを色々考えていたけど、なんとか朝の支度を終え、娘と幼稚園バスを待っていた。娘は少し緊張した面持ちで、でも泣いてなかった。

バスが来た!先生がでてきた!!そそくさと挨拶をしてくれた先生が、娘をバスの中に連れて行った!!!!

プロの技を見た。泣かせる隙もなかった。

バスに乗った娘の顔を一瞬見たけど、もう見れなかった。不安な顔をしていた。今にも泣き出しそうな顔だった。その顔をしてる娘を見たら、今までは私がすぐに抱きしめに行ってたんだ。大丈夫だよー!って抱きしめてた。でも今日からは違うんだね。

バスがぶーーーーんと去って行った。よくわからないけど涙が止まらなかった。本当に行ってしまったなあ。あんなに泣き虫なのに、絶対泣くと思ってたのに、泣いたのは私だけだったなあ。母が思うより、娘は成長していたんだな。幼稚園というシステムをちゃんと理解していたんだなあ。びっくり。


3時間後、たった3時間だけれども、365日24時間3年間ずっと一緒に過ごした親子にとっては、とても長い3時間だった。バスのお迎えに行った。娘はルンルンして降りてきた。バスの中では大好きなエルサの話をたくさん先生にしていたらしい。幼稚園たのしかったよ。そう言ってくれた。


入園式から2週間ほどたち、娘は毎日頑張って幼稚園に通っている。朝は苦手だけど、ちゃんと起きて、アレクサにYouTube見せてもらいながら朝ごはん食べて、アレクサにお天気聞いて、トイレ行って顔を洗ってる。バスには泣かないで乗ってる、最近はバスのドアが開くと、娘の名前を呼んでくれるお友達がいる。母にとってはとても嬉しい出来事だった。迎えに行くと、バスを降りて必ず「幼稚園たのしかった!!!」とかなりでかい声で言う。先生にさようなら!と告げて、私の手を握って家に帰る。毎日色んなことがあるらしい、色んなことを話してくれる。会話の中に母の知らない固有名詞がでてくる。お家から飛び出した娘は色んな経験をしているんだろうな。1日でいいから幼稚園を覗き見したい。


可愛い子には旅をさせ、といったような言葉があるが、まさにその通りなのだな。と思う。娘を愛するからこそ、外に出してやらねばならない時が来る。ずっと赤ちゃんじゃなかったんだなあ。少しずつ社会性が出てきた娘は、1人でレジに行くことなども覚えた。あとすごいのはおむつが外れた。本当にすごいと思う。外に出したからこそ、娘はまた少し自立した。寂しいと思うことはない。とても誇らしい気持ちでいっぱいだ。母として3年間頑張ったと思う。ここからは私の他に娘を育ててくれる人がたくさんいる。私は家が安心できる場になるよう、少しだけ甘やかしてやろうと思う。娘よ、これからもさらなる成長を心より願う。今日も大好きだよ。



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