デイヴィッド・ハーヴェイの『都市の資本論』を1章まで読んだ感想

一応は、自分の能力と気力の限界を感じたため、ハーヴェイ本の最初の方を読んだまとめというか、感想を書きたいと思います。

ハーヴェイは、一応は近年、マルクス主義者として括られがちですが、学問を志した当初からそうだったわけではなく、1970年代前半にマルキストへ転向したようです。また、基本的には革命論者ではなく、むしろ、資本主義の問題点を探り、それへ主にはブルジョワジー、または労働者階級が行った対処を紹介することで、読者に考えさせるスタイルを採っていると思われます。

ハーヴェイに従えば、都市に関しては、郊外化や持ち家政策が、主に支配層が講じた、革命につながるかどうかも怪しい暴動などへの対策だったのではないか、と考えられます。実際、革命運動としては失敗に終わったパリ・コミューンの話などを引き合いに出していましたし、そういう悲劇をブルジョワジーや支配層が繰り返さないようにするようにした対策を、ハーヴェイは、都市論として述べていたのではないかと思われます。

読んでいて特に興味深かったのは、そういった欧米における革命運動の周期が、住宅・不動産市場における富の蓄積と恐慌の周期と一致していたことの指摘です。当たり前の話ですが、マルクスが指摘したように、下部構造たる経済状況が上部構造たる政治を規定するのですから、ハーヴェイの話も当然と言えば当然なのですが、やはり、改めてデータ付きで述べられることは重要だったのではないでしょうか。とりあえずは以上です。

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