怪奇

"人は、なんだか暗い雲の中から生まれてきて、光がぱあっと輝いたかと思うと、一瞬後には闇になる。"

Arthur Machen「儀式」南條竹則訳



マッケンは怪奇小説で有名な20世紀イギリスの作家。


すべてを読んでいるわけではないが、彼の小説は言葉にしきれない人と人、もしくは人と大地との空気間を文章にしているような感覚がある。

そこに多次元的なふわふわとした感覚、子供によく見られる神秘的な体感をうまく盛り込んだ感じ。

人は、科学で説明できない不思議なものごとに心惹かれる生物だ。


そして生きるということは、解決できない謎とともに時間が過ぎること、でもあるとわたしは思う。

それは人の脳に起伏する現象なのか、現実に目の前で起こっているのか、わたしたちには分からない。

そういった意味で、怪奇小説とはかなり現実味を帯びている。
登場人物はそういったものごとに心惹かれる。
本能が危ないと感じている不思議な世界に。


ラヴクラフトや江戸川乱歩然り、怪奇小説と呼ばれるものはある種の現実味を帯びているだろう。


現実世界の、皆が決して口に出さない、心惹かれる世界を文章にすると「怪奇小説」になるらしい。


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