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中野剛志『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』
🔹高校時代の数学のテストで「6点」という
前代未聞の点数を叩き出したほどの
数字にめっぽう弱い人間ですが
昨今のわが国およびわが家の経済状況を鑑みると
いつまでも経済オンチなんて言ってられないので
本書タイトルに謳う「目からウロコ」「奇跡」
これを信じて頑張って読みました。
文中で作者はこう述べています。
「国民一人一人が正しい知識を身につけること」
政府の無策に怒れる国民の必読の書です。🔹
日本の経済政策の失敗
・平成3年(1991)バブル景気が崩壊
デフレ不況はかれこれ30年間。
名目GDP(=経済成長率)は世界最下位。
・その原因は政府の経済政策の失敗である。
デフレ対策が求められるタイミングで
「構造改革」と称するインフレ対策を行いつづけた。
・政府は企業(家計)運営の方法と国の経済運営を
混同しているんじゃないか。
デフレとは
・需要(消費と投資)<供給
・物が売れない・企業は投資をしない・賃金下落
・ものよりも金を欲しがる(貯金・内部留保)
お金の流通量が減り貨幣価値が上昇。
・誰もお金を借りなくなり金利が下がる。
・経済成長止まる
・デフレ下では
企業や個人が消費や投資を控えて貯蓄にはげむ
→ミクロで見れば経済的で合理的で正しい
→マクロで見れば国内の経済を停滞させるので正しくない
・つまりミクロとマクロで反対の現象となる
(これを合成の誤謬という)
・改善するには政府が介入する。政府の存在意義はそこ
・デフレを止めるには
1)需要を拡大
・公共投資の拡大・社会保障費の拡大
・減税して消費行動を促進させる
・金融緩和・金利引き下げ
2)供給を抑制
・企業の生産性を向上させない。
・産業や労働者を保護し競争を抑制する
ポイント
「国民が節約しているのだから政府も節約しろ」
という気分になりがちだが、これが大きなまちがい。
感覚を切り替えよう。
デフレ下で「身を切る改革」はもってのほか
インフレとは
・需要(消費と投資)>供給
・供給が需要に追いつかない・企業は投資拡大・賃金UP
・お金の流通量が増え貨幣価値が下がる。
・銀行は融資をしまくり金利が上がる。
・経済が成長する
・経済成長にはマイルドなインフレを維持する。
・ただし過度なインフレを防ぐために
政府はインフレ政策とデフレ政策を組み合わせることが必要
・ インフレを止めるには
1)需要の抑制
・民間の消費や投資を減らす
・消費税の増税
・金利の引き上げ
2)供給力の拡大
・規制緩和・自由化・グローバル化
貨幣とは
商品貨幣論 (金本位制・仮想通貨)
・「物々交換の不便の解消のために貨幣が生まれた」
とされているが、これには証拠がなく
逆にエジプトやメソポタミア文明には
信用貨幣論に基づいた記録がある。
信用貨幣論
・財・サービスの取引は無数の主体間で行われるが
このとき主体間には「信用」と「負債」が発生する。
・貨幣とは負債。第三者に譲渡することができる借用証書
・負債を共通の単位で計算するのが円やドルなどの通貨単位
・貨幣の創造=負債を発生させること
・中央銀行権と鋳貨・および銀行預金はデフォルトの可能性がない
信頼される特殊な負債なので貨幣として受け入れられている
・銀行は貸出によって預金という貨幣を創造する。
借り手が債務を銀行に返済すると預金通貨は消滅
政府の借金
・自国通貨建国債は返済不能に陥ることはない。
(ギリシアやアルゼンチンは外貨だったので破綻した)
政府(財務省)が「財政破綻」と言っているのはウソ
・財政赤字の限度額はインフレ率(物価上昇率)に制約される。
・赤字の額は問題ではなく経済においてどのように機能しているかで判断
(これを機能的財政論という)
・日本の政府債務は2018年でGDP費で230%
(2024は258%) G7で最悪の水準。
・しかしインフレになっていない。
逆にまだ財政赤字がたりないくらい。
でないとデフレから脱却できない。
・ちなみに19世紀前半の大英帝国最盛期は300%
税
・税は財源確保の手段ではない
・税は経済活動の「機能」
1)物価調整の手段
2)所得再分配の手段
低所得者にお金を回す方が消費需要が拡大するので
消費税は廃止すべき
3)自動安定化装置
不景気のとき→所得税や法人税が軽くなり不況対策になる。
好景気のとき→税負担が重くなり景気の加熱を防ぐ
プライマリーバランス(財政収支)
黒字化目標は意味がない
国内民間部門の収支
+
国内政府部門の収支
+
海外部門の収支
=0
あらゆる支出は誰かの所得であり
誰かの債務が別の誰かの債権。