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ガンダ人には苗字がない -ナントンゴの名前の由来

ブガンダ王国のクラン(氏族)の伝統の為に、キノコ族はキノコを食べないというお話を2回続けてしてきました。現代のウガンダでの社会生活で、クランの伝統が実行されている事は、食べ物の他にもありますというお話を。

ガンダ語の名前の付け方

ガンダ人には苗字がありません。ウガンダ人(ガンダ人)の夫と結婚するまでは、どの民族にも日本人のように姓と名があるものと思っていましたので衝撃でした。

夫のパスポートの記載は下記のようになっています。

Surname(姓):Kawere(カウェレ) Given name(名):Ronald(ロナルド)

だけど、実は「カウェレ」も「ロナルド」も生まれてからつけられた名前なので、どちらもGiven name です。ですが、国際的には色々な場面で、姓と名がないと不便なので、姓の部分にガンダ語の名前、名の部分にクリスチャンネームを書く方式を、多くのガンダ人が採用しているようです。因みに、義父は「ナムテテ・フレデリック」という名前でした。息子には引き継がれていません。

ガンダの社会では、子供は、父親のものではなく、クラン全体の財産と考えられます。その為に、子供が父親の姓を引き継ぐという発想はないそうです。その代わりに、クランによって、使える名前が数十通り、男の子版と女の子版が決まっていて、キノコ族の男子なら、キノコ族男子の名前の中から、選んで名付けられるそうです。(The Buganda.com  http://www.buganda.com/ebika.htm より)

「カウェレ」も「ナムテテ」もキノコ族の男子の名前なのですね。

クラン内結婚はタブー

ガンダ人なら、ポピュラーな名前なら、誰でもどのクランの名前なのかわかるようです。ですが、クランが52もあり、それぞれに数十通りの名前があるのですから、全て覚えてはいないようです。そこで、初めて会った時に、クリスチャンネームだけではなく、ガンダ語の名前を聞いて、属するクランも確認する事が大事になります。特に、若い男女の出会いの時には、重大です。同じクラン同士は、家族ですので、クラン内の結婚は許されないからです。万が一、恋愛に発展してしまって、後から、同じクランだったとわかると大変です。700年前の先祖は親戚同士だったかも知れないけど、生まれてから今まで会った事もない程、遠縁なのだから、結婚できる。という考え方は許されないようです。ですから、若い男女が出会っても、もし同じクラン同士だったら、絶対に恋愛には発展しないそうです。

ナントンゴと名付けられた経緯

日本人である私が、ナントンゴと名付けられたのは21年前、夫と交際を始めて間もなくの事でした。ガンダ人とか、クランについては全く知りませんでしたが、ウガンダ語の名前ってエキゾチックでワクワクしたのを覚えています。恐らく、日本に住んでいるウガンダ人の間で、部族語の名前を日本人のガールフレンドに名付ける事が流行っていたのだと思います。夫にしてみれば、キノコ族の名前を付けると結婚できなくなるけど、それ以外なら何でもよかったのでしょう。当時、日本に住んでいて、夫と仲良しだったウィリアム・セントンゴさんが、「ナントンゴはどう?」と提案してくれて、即決でした。セントンゴさんは、私を自分の妹にしたかったようで、自らのクラン名の女子版のナントンゴを推してくれたのです。セントンゴさんのクランはモンキー族でした。その日以来、私はモンキー族の名前のナントンゴを名乗り、モンキー族のメンバーとなったのです。

noteの最初の投稿で、ナントンゴの名前が、ウガンダで有名な懐メロソングのタイトルでもあると書きましたね。そのおかげで、ナントンゴと名乗ると、ガンダ人のうけが非常に良いです。

更に、ナントンゴと名乗ると相手がガンダ人であれば、ほぼ確実に、

「クランは何ですか?」と聞かれるので、

「モンキーです。」と答えると、とても喜んでもらえます。

モンキー族は、キノコ族よりも規模が大きいのかも知れません。

「僕もモンキーです。」とか「母がモンキーです。」

とか言われて、瞬時に姉妹とか、母親呼ばわりされる事がこれまでに、何度もありました。急に親しくされて、とまどう事もありますが、名前だけで、特別扱いして貰えるなんて、ナントンゴの名前に感謝です。例えば、ウガンダでお買い物の時に、お店の人がモンキー族の人だったりすると、値段交渉がスムーズになったりします。ガンダ語もわからない自分が、本当のガンダ文化を理解できているとは、まだまだ言えませんが、モンキー族の名前のお陰で、ガンダ社会に一歩近づき安くなっているように感じます。セントンゴさんとは、彼がウガンダに帰ってからは、連絡を取りあっていませんが、名付けてくれて有難う!そして、21年前に、夫が、どこまで深く考えていたのかは分かりませんが、ガンダ語の名前を付ける事を思いついてくれて良かったです。

見出し画像は、私、ナントンゴが初めて人形作りをした頃の作品で、女の子の人形を「ナントンゴちゃん」と呼んでいます。隣に居るのは、モンキーではなく、チンパンジーのチンプくんです。


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