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不幸な眼鏡を外す時

不健全なのだけど、凪が怖い。わかりやすい言葉を借りてくるのであれば、幼少期から虐待やいじめと傷つけられて生きていたから、傷が怖いはずなのに、打って変わって凪のような日が続くと「私は堕落しているのではないか」と焦燥にかられる。不幸の蜜に漬けられてドロドロになった身体を洗い流して、綺麗に装飾を身に纏ったはずなのに、着心地が悪い。ただ、明確に一つだけわかることは、その身に纏っている装備がチグハグであるとこは理解しているのだけど、それは、不足なのか過剰なのかがわからない。


耳鳴りのような日々から解放されたのに、いざ解き放たられて連れてこられた土地は、瑞々しさがあふれんばかりだと理想に期待を胸膨らまし、生きる希望を託していたが、辿り着いた土地は思った以上に殺伐としていて、むしろ何もない更地でゼロだった。溢れるどころかカラカラで、自分が再度建築をし、参入をしなければなければならない現実に眩暈がする。新しさに希望や緊張を抱く季節は過ぎ去り、面倒臭さを抱くようになった。私はその土地から鮮やかな街を作ることや、馴染むことができるのであろうか、トンネルを抜けた先は、びっくりするほど何もなかった。

期待というトンネルの先は何もない。びっくりするほどに。

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